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第2章
12.アンダー・ザ・ガン(1)
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飛び出してすぐに、泥だらけになってエントラスに向かってくる真崎と明に出くわし、戸惑いながらも、はいこれ、と差し出された材料を受け取って美並は部屋に戻った。
とりあえず一汗流すわ、と明が先に浴室に飛び込み、続いて真崎が入ってから、こっそり明に確認する。
「一体何やってたの?」
「さあね」
「明」
「男同士の話し合い」
「………バスケットボールで?」
「そう」
ぷしゅっと缶ビールを開けて一口呑んだ明が、レンジで手早く豚肉とキャベツを炒めながらぼそりと続けた。
「……やばかったなあ」
「え?」
「京介ってさ、見えてる以上にアブナイやつだよね?」
何かを思い出すように視線を上げる。
「もうちょっと溜まってたらやばかったなあ」
「……ちょっと」
今とんでもないことを言わなかったか、あんたは。
思わず立ち上がって、明の隣へ行って顔を見上げると、微妙にひきつった複雑な表情になって見返してくる。
「なんか、わかったよ」
「何が」
「あいつ、まだ男じゃないんじゃない?」
「う」
いや、女性経験はあるはずだけれど、と相子や恵子のことを思い出し、ついでに男性経験もあるんだけどなと続けそうになって、危うく美並は自制する。
「なんで?」
「そうなの?」
「ある、と思う」
「……じゃあさ」
焼そばの麺を放り込んで解し、明が中華鍋の中を凝視しながら低い声で続けた。
「どっちもいけるクチ?」
「………」
「あたり、か」
やっぱりなあ、と溜め息をつくのに、美並は眉を寄せた。
「課長の趣味、というなら違うよ?」
「…どういうこと」
「たぶん、好みとしては女性なんだと思う」
「思う、かよ」
「でも、いろいろ事情があって、男性でもできるっていうか、できたっていうか」
でもなんでそんなことを?
尋ねる美並に明がひょいひょいと中華鍋を煽り出す。じゃあっ、と鮮やかな音をたてて焼そばがくるんと鍋の中で翻り、香ばしい匂いが広がる。一旦手を止めて、また側に置いていたビールを一口、いや、一気にごくごくと飲み干して美並は呆気に取られた。
「あ、明」
「呑まなきゃ言えない内容なんだ」
「はい?」
「俺は俺なりに納得できないものがあって、京介を呼び出してバスケ勝負を仕掛けたんだよね」
「うん」
勝てなかっただろうと思ってしまった。真崎がスポーツをやっていたとは聞かなかったし、明はバスケットは十八番だ。
「三回勝負、一回目は俺が入れて、二回目は京介が入れて」
「課長が?」
「見事なフェイク喰らった」
「…フェイク…」
そんなことができたんだ、そう思うのと同時に、なるほどそれなら可能性はあったか、と頷く。
「三回目は俺。まあ、勝負ははっきり言ってどうでもよくてさ」
俺は、あいつが、美並を受け止められる男かどうか見たかったんだ。で、そういうのって『負けた』時に見えるからさ、もちろん全力で潰すつもりだったけど。
「でも、その最中に勝てないって煮詰まったんだろうな、飛びかかってこられて」
「えっ」
真崎が腕力勝負という、なおさらあり得ない構図を聞かされて美並は驚く。
とりあえず一汗流すわ、と明が先に浴室に飛び込み、続いて真崎が入ってから、こっそり明に確認する。
「一体何やってたの?」
「さあね」
「明」
「男同士の話し合い」
「………バスケットボールで?」
「そう」
ぷしゅっと缶ビールを開けて一口呑んだ明が、レンジで手早く豚肉とキャベツを炒めながらぼそりと続けた。
「……やばかったなあ」
「え?」
「京介ってさ、見えてる以上にアブナイやつだよね?」
何かを思い出すように視線を上げる。
「もうちょっと溜まってたらやばかったなあ」
「……ちょっと」
今とんでもないことを言わなかったか、あんたは。
思わず立ち上がって、明の隣へ行って顔を見上げると、微妙にひきつった複雑な表情になって見返してくる。
「なんか、わかったよ」
「何が」
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「う」
いや、女性経験はあるはずだけれど、と相子や恵子のことを思い出し、ついでに男性経験もあるんだけどなと続けそうになって、危うく美並は自制する。
「なんで?」
「そうなの?」
「ある、と思う」
「……じゃあさ」
焼そばの麺を放り込んで解し、明が中華鍋の中を凝視しながら低い声で続けた。
「どっちもいけるクチ?」
「………」
「あたり、か」
やっぱりなあ、と溜め息をつくのに、美並は眉を寄せた。
「課長の趣味、というなら違うよ?」
「…どういうこと」
「たぶん、好みとしては女性なんだと思う」
「思う、かよ」
「でも、いろいろ事情があって、男性でもできるっていうか、できたっていうか」
でもなんでそんなことを?
尋ねる美並に明がひょいひょいと中華鍋を煽り出す。じゃあっ、と鮮やかな音をたてて焼そばがくるんと鍋の中で翻り、香ばしい匂いが広がる。一旦手を止めて、また側に置いていたビールを一口、いや、一気にごくごくと飲み干して美並は呆気に取られた。
「あ、明」
「呑まなきゃ言えない内容なんだ」
「はい?」
「俺は俺なりに納得できないものがあって、京介を呼び出してバスケ勝負を仕掛けたんだよね」
「うん」
勝てなかっただろうと思ってしまった。真崎がスポーツをやっていたとは聞かなかったし、明はバスケットは十八番だ。
「三回勝負、一回目は俺が入れて、二回目は京介が入れて」
「課長が?」
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「…フェイク…」
そんなことができたんだ、そう思うのと同時に、なるほどそれなら可能性はあったか、と頷く。
「三回目は俺。まあ、勝負ははっきり言ってどうでもよくてさ」
俺は、あいつが、美並を受け止められる男かどうか見たかったんだ。で、そういうのって『負けた』時に見えるからさ、もちろん全力で潰すつもりだったけど。
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「えっ」
真崎が腕力勝負という、なおさらあり得ない構図を聞かされて美並は驚く。
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