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第3章
10.ドローゲーム(4)
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「きょう、すけ、が…………ああ……っ」
小さく悲鳴を上げた伊吹が跳ねる。水面に魚が飛び出したように体を反らせる動きは、京介の指がもたらしたもの、指先がしっとりと濡れた部分に呑み込まれて嬉しくなった。
「ほんとだ、濡れてる………気持ちいいんだ、伊吹さん?」
はっとしたように目を開いた伊吹が京介の指に嬲られて喘ぐ。少し動かしただけでも逃げそうになる腰は、京介が指を引こうとすると無意識のように押し付けられてきてほっとした。
「よかった……僕を待ってる……」
封を切った中身を引っぱりだした。もうかなりまずい感じだ。早く入りたい、でないと、弾けてしまいそう。少し
でも自分で揺れ始めたら、きっとすぐに限界が来る。
「動けないよ、美並……脚…開いて……僕…欲しい」
膨れ上がったものが入る前に外側を擦っていくと思っただけで、体の奥に火花が散る。
なのに、京介の声のせいでできるものできないなんて言われたから、自分だけが煽られているようで悔しくなって、膝を割って指を進めた。
「ん、あっ」
伊吹の腰に手を回し、指をもっと深く押し込む。喉の奥で呻いた伊吹が切なそうな顔で眉を寄せて堪えている。
その顔を見たとたん、京介の奥底に何かが膨れ上がった。
「ねえ、美並……一本じゃ足りない?」
「っく」
指をゆっくり動かし始める。ただ単に前後させるだけじゃなくて、中の柔らかな窪みも襞も、全て覚え込むように撫で摩っていく。
『一本じゃ足りないんだろ』
脳裏に響く声に操られていくような気がした。
「ねえ」
探るに従って絡みついてくるうねりを、京介は自分の体でも感じ取る。奥の方で繰り返し痙攣するように絞り込む感覚、そこを何度も擦られて。
『同じ場所ばっかりじゃつまんないだろ』
「っっあ!」
いきなり指を引き抜いた自分に大輔が重なっているのを意識していた。
軽く跳ねた体を押さえつけるのも、一番弱いと気付いた部分を一気に強く擦るのも、相手を快感に落とし込む手技、そこに集中してしまうのを外させないように強い愛撫をたて続けに与えられると、それしか考えられなくなっていく。
指先に濡れて固く尖っているものが触れた。
京介のより固くて小さくて、けれど感度はきっと。
「っや」
「僕と同じ……?」
伊吹ががくっ、と跳ねる。
「ここ好き?」
たぶん、京介のと同じはず。思わず自分のものに触れて、濡れているそれと伊吹の感覚を重ねる。自分のものを強く握って扱くように、伊吹のそれをいじめた。
「あ、っああっっ」
高い悲鳴。よくわかる。追い上げられて呼吸がもたない。喘ぎながら仰け反って跳ねるそこを、わずかな隙もないように追い詰められて追い詰めて。
「胸とどっちが好き?」
快感が、もう、誰のものかわからなくなってくる。
「きょう、すけっ」
大きく跳ねた伊吹が名前を呼んで崩れる。指を濡らす温かなぬめり、でも京介はまだだ。
「いっちゃった?」
照れて罵倒してくる伊吹に残酷な気持ちが沸いた。
そんなことで、イッチャウんだ?
「美並は自分で知って、って言ったよね? もう一度してみていい?」
弾けた直後に探られ続けるのは快感と苦痛が入り混じって気が狂いそうになる。
「い、やっっ」
伊吹の怯えた声にそれを感じ取って、無我夢中で被せた。頭の中がもうそれしか考えられない。今伊吹を犯したら、きっと我を失うほど気持ちいい。
会話しながら伊吹の体を引き寄せて、指を埋めて確認すると、今度はその指を吸いつくように包まれて、真っ赤な渦にひやりとした感覚が過る。
「……あいつも同じこと…した?」
京介が大輔の受け入れ方を知っているように、伊吹の体も男の指の受け入れ方を知っている、と気付いた。
「何、ですか、一体」
「だって…美並のここ、こういうの知ってるみたいに僕を誘うよ」
「っん、う」
「腰も揺れてるし」
舌打ちしそうな顔で、知りませんてば、もう、そう言われて京介の中で何かが弾け飛んだ。
消したい。
伊吹の体にある痕跡全部。
過去の男の感触全部。
伊吹を京介だけに染めてしまいたい。
「美並…っ、もう」
指を抜いて間髪入れずに押し込んだとき、伊吹の体がたとえようもなく綺麗に反った。
「……っ」
思い出したら、したくなっちゃった。
京介は思わず眉を寄せて口を押さえる。
「京介?」
「っ、は、はいっ」
ふいに呼ばれて慌てて振り向いた。戸口からひょいと伊吹が覗き込み、訝しそうに問いかける。
「何してるんですか? ……着替え?」
「あ」
何って君に欲情してました。
とは言えないだろう、と思わず自分で突っ込みながら、おさまりの悪い腰にスラックスを動かして楽にする。
「ちょっと出てきていいですか?」
「え?」
伊吹がそう尋ねてきて、相手がもうコートを羽織ってバッグを持っているのに気付いた。
「昼までには戻りますから」
京介もお出かけ?
首を傾げられてぎくりとする。
「あ、うん、ちょっと」
「お昼は?」
「そんなにかからないと思う」
「じゃあ、お昼何か見てきますね」
一緒に食べましょう。
笑って身を翻す伊吹にまた不安が広がる。
どこへ行くんだろう?
誰かと、会うのか?
「……僕も、か」
渡来は公園できりきりしながら待っているだろう。いや、それとも京介が逃げたとでも考えているだろうか。
「……逃げるもんか」
伊吹が誰のものなのか、はっきりさせてやる。
京介は顔を洗い、髪を整え気合いを入れ直した。
小さく悲鳴を上げた伊吹が跳ねる。水面に魚が飛び出したように体を反らせる動きは、京介の指がもたらしたもの、指先がしっとりと濡れた部分に呑み込まれて嬉しくなった。
「ほんとだ、濡れてる………気持ちいいんだ、伊吹さん?」
はっとしたように目を開いた伊吹が京介の指に嬲られて喘ぐ。少し動かしただけでも逃げそうになる腰は、京介が指を引こうとすると無意識のように押し付けられてきてほっとした。
「よかった……僕を待ってる……」
封を切った中身を引っぱりだした。もうかなりまずい感じだ。早く入りたい、でないと、弾けてしまいそう。少し
でも自分で揺れ始めたら、きっとすぐに限界が来る。
「動けないよ、美並……脚…開いて……僕…欲しい」
膨れ上がったものが入る前に外側を擦っていくと思っただけで、体の奥に火花が散る。
なのに、京介の声のせいでできるものできないなんて言われたから、自分だけが煽られているようで悔しくなって、膝を割って指を進めた。
「ん、あっ」
伊吹の腰に手を回し、指をもっと深く押し込む。喉の奥で呻いた伊吹が切なそうな顔で眉を寄せて堪えている。
その顔を見たとたん、京介の奥底に何かが膨れ上がった。
「ねえ、美並……一本じゃ足りない?」
「っく」
指をゆっくり動かし始める。ただ単に前後させるだけじゃなくて、中の柔らかな窪みも襞も、全て覚え込むように撫で摩っていく。
『一本じゃ足りないんだろ』
脳裏に響く声に操られていくような気がした。
「ねえ」
探るに従って絡みついてくるうねりを、京介は自分の体でも感じ取る。奥の方で繰り返し痙攣するように絞り込む感覚、そこを何度も擦られて。
『同じ場所ばっかりじゃつまんないだろ』
「っっあ!」
いきなり指を引き抜いた自分に大輔が重なっているのを意識していた。
軽く跳ねた体を押さえつけるのも、一番弱いと気付いた部分を一気に強く擦るのも、相手を快感に落とし込む手技、そこに集中してしまうのを外させないように強い愛撫をたて続けに与えられると、それしか考えられなくなっていく。
指先に濡れて固く尖っているものが触れた。
京介のより固くて小さくて、けれど感度はきっと。
「っや」
「僕と同じ……?」
伊吹ががくっ、と跳ねる。
「ここ好き?」
たぶん、京介のと同じはず。思わず自分のものに触れて、濡れているそれと伊吹の感覚を重ねる。自分のものを強く握って扱くように、伊吹のそれをいじめた。
「あ、っああっっ」
高い悲鳴。よくわかる。追い上げられて呼吸がもたない。喘ぎながら仰け反って跳ねるそこを、わずかな隙もないように追い詰められて追い詰めて。
「胸とどっちが好き?」
快感が、もう、誰のものかわからなくなってくる。
「きょう、すけっ」
大きく跳ねた伊吹が名前を呼んで崩れる。指を濡らす温かなぬめり、でも京介はまだだ。
「いっちゃった?」
照れて罵倒してくる伊吹に残酷な気持ちが沸いた。
そんなことで、イッチャウんだ?
「美並は自分で知って、って言ったよね? もう一度してみていい?」
弾けた直後に探られ続けるのは快感と苦痛が入り混じって気が狂いそうになる。
「い、やっっ」
伊吹の怯えた声にそれを感じ取って、無我夢中で被せた。頭の中がもうそれしか考えられない。今伊吹を犯したら、きっと我を失うほど気持ちいい。
会話しながら伊吹の体を引き寄せて、指を埋めて確認すると、今度はその指を吸いつくように包まれて、真っ赤な渦にひやりとした感覚が過る。
「……あいつも同じこと…した?」
京介が大輔の受け入れ方を知っているように、伊吹の体も男の指の受け入れ方を知っている、と気付いた。
「何、ですか、一体」
「だって…美並のここ、こういうの知ってるみたいに僕を誘うよ」
「っん、う」
「腰も揺れてるし」
舌打ちしそうな顔で、知りませんてば、もう、そう言われて京介の中で何かが弾け飛んだ。
消したい。
伊吹の体にある痕跡全部。
過去の男の感触全部。
伊吹を京介だけに染めてしまいたい。
「美並…っ、もう」
指を抜いて間髪入れずに押し込んだとき、伊吹の体がたとえようもなく綺麗に反った。
「……っ」
思い出したら、したくなっちゃった。
京介は思わず眉を寄せて口を押さえる。
「京介?」
「っ、は、はいっ」
ふいに呼ばれて慌てて振り向いた。戸口からひょいと伊吹が覗き込み、訝しそうに問いかける。
「何してるんですか? ……着替え?」
「あ」
何って君に欲情してました。
とは言えないだろう、と思わず自分で突っ込みながら、おさまりの悪い腰にスラックスを動かして楽にする。
「ちょっと出てきていいですか?」
「え?」
伊吹がそう尋ねてきて、相手がもうコートを羽織ってバッグを持っているのに気付いた。
「昼までには戻りますから」
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首を傾げられてぎくりとする。
「あ、うん、ちょっと」
「お昼は?」
「そんなにかからないと思う」
「じゃあ、お昼何か見てきますね」
一緒に食べましょう。
笑って身を翻す伊吹にまた不安が広がる。
どこへ行くんだろう?
誰かと、会うのか?
「……僕も、か」
渡来は公園できりきりしながら待っているだろう。いや、それとも京介が逃げたとでも考えているだろうか。
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