転生した気がするけど、たぶん意味はない。(完結)

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本編

47.擦合

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 その夜、ベッドにがっちがちになって座っている俺を見て、瑛士君は涙目になる位に盛大に笑った。

 その少し前まではジッと座ってるのがとにかく苦痛で、部屋中をうろうろ歩き回っていたのだが、腹をすかせたハイエナみたいだと思って止めたというのに。一体どちらがマシだったんだろう。

「緊張し過ぎな、分かるけど。リラックスしろって」
「無理だよ。妄想が溢れて止まらないんだよ」
「え、嘘だろ。すげープレッシャーかけてくんじゃん」
「違っ……断じてそんなつもりは……!」

 あわあわと否定しながらも、夕飯を食べて交代で身体拭いたりして準備している間に、随分と煮詰まって我ながら変な仕上がり方になっている気はする。

 ローズ先生から教わった手練手管が頭を過るのだ。話し方が妙に上手いせいで臨場感たっぷりに語られた諸々が、瑛士君の姿を伴って脳内で鮮明に再生されてしまうから手に負えない。

「俺ら初心者じゃん? なら、まずはベタな所から始めよっかなって……もっと玄人向けにする?」
「初心者コースでお願いします!」

 答えた途端に、よし、と瑛士君がガバっと上着を脱いだ。それは惚れ惚れするほど男気のあるいい脱ぎっぷりだった。咄嗟に半裸の瑛士君からそっと目を逸らしたは良いが、ここは俺もひとつ脱いでおくべきだろう。

 けれど、決意して服の裾を掴んだ手を何故か瑛士君に取られてしまい、頭に疑問符を浮かべたままベッドに導かれる。そのまま瑛士君がうつ伏せに寝てしまうから、こっちは予想より筋肉質な綺麗な背中に見惚れて立ちつくすしかない……お、俺はどうすれば?

「なぁ。マッサージして?」

 交差した腕を枕に、うつ伏せたまま顔だけこちらに向けて瑛士君が言った。それでライキの実を消費しちゃおうと。その意図はすぐに理解出来たのだが、おねだり瑛士君という初めての光景が衝撃的で思わず鼻血が噴き出るかと思った。

 待って待って。して? って何。引くほど可愛いんだけど。ちょっと可愛いが過ぎて怖い。

「お、俺がして良いの?」
「本当は俺がしたいけど、後で良いよ」

 きっと俺の緊張を見越しての提案なんだろう。マッサージなら性的なご奉仕よりは随分ハードルが低くなったと思う。ただ純粋に健全に、身体を揉み解すだけで良いんだから別に難しく考える必要もないのだ。やれる、やってやる。

 鼻息荒く寝室に準備していたライキの実を二つ両手に握りしめ、曝け出された瑛士君の魅惑的な肢体に……いや美術品みたいに綺麗な背中に……え、本当綺麗なんだけどこれ作り物じゃないの? なんて考えていたら、両手でパーンと実が割れた。

「ウケる、マジ何やってんの。ほら、それ塗って」
「え、あぁ……うん」
「じゃ、背中に跨って」
「え、こうかな。え? 重くない?」

 放心状態で言われるがまま動く俺を瑛士君が笑っている。

 ライキから出た軽い質感の油は伸びが良く、背中の上でスルスルと薄く広がった。肌なじみが良いのかすぐに乾いてしまいそうで追加で二、三個割って、ようやく手のひらが滑っていく感覚に変わる。

 体温で温められたのか、あの独特の香香が部屋にじわじわ広がっていく。今日も嗅ぎ慣れてるはずなのに、状況が状況だけに今は美味しそうな香りとは思えない。エキゾチックなお香でも焚いてるみたいだった。空気もどこか湿っぽい。

「フィーの手が温かくて気持ち良い」

 技術も何もないけれど、下から上に滑るに任せてゆっくり背中を撫でる。何度も繰り返していたら瑛士君が穏やかな声で言った。

 俺もポカポカして気持ち良い。瑕のない引き締まった背中にのる筋肉は彫刻めいているのに押せば程よく弾力があった。枕元にだけ置いたランプの橙色がライキを塗った背中の凹凸をてらてら照らしている。

 それが綺麗で、手を動かしながら見惚れているうちに、この広い背中に抱きつきたい衝動が襲って来るから困った。上げられた腕の下、脇に出来た空間にズボッと自分の腕を差し込み、厚い胸板をギュッと抱えて、肩甲骨と肩甲骨の間の窪みに顔を埋めて思いきり頬擦りしたい。堪能したい。さっきからそんな考えに囚われている。

「なんか……あっついね」

 片時も目を離せずに上着を脱ぐ。背中の上に変質者が居ると思われたくなくて必死に息を殺すがその分鼻息がヤバい。あー抱きつきたい。ウズウズが止まらない。生肌ヤバい。

「フィー? ちょっと……」
「……うん」
「や、フィー。聞いて」
「うん――えっ、ふぁっ?!」

 ぽけーっと生返事していたら、突然瑛士君が腕立てみたいにグワッと身を起こしてきてビビる。そのまま俺の下で身体を反転させようとするから、腰を浮かせたものの不安定さにグラついた。瑛士君に腰を支えられて、何とか着地する。

「瑛士、く――っ、んん」

 問いかけは遮られ、勢いよくキスされた。首の後ろと腰をがっちりホールドされて逃げ場はなくて、口内の奥深くまで舌でいっぱいになる。口の中を思いきり弄られて溢れそうな唾液を、んくんく懸命に飲み込む。

 勝手に揺れ出す腰を咎めるように瑛士君に引き寄せられると、脚の間で硬い感触同士が密着した。唇が解け、ギュッと抱きしめられる。た、勃ってる。俺は若干自覚あったけど瑛士君も? 

「……聞けって言ってんのに」

 不貞腐れた声で言われた。

「ごめん」
「背中の上でさかんなよ、生殺しか」
「っい、」

 見えてないのに、しっかりバレてて喉がキュウと鳴る。確かにもじもじしてたかも。それを腰の上でやられたら瑛士君も気になって仕方ないだろう。

「なぁ、剥いて良い?」

 ズボンに手をかけて問われ、挙動不審になりつつも了承する。剥くって言葉が的確だと思うくらいツルンとズボンが下ろされ、すぐに尻が剥き出しになった。前が引っ掛かって半ケツ状態なのが余計に恥ずかしくて、瑛士君の首に縋ってぎゅうぎゅう抱きつく。

「あ、無理だ。フィーちょっと立てれる? 一瞬だけ」
「自分で脱げる……から、その、エイジも……」
「ん、脱ぐ。さっきから痛ぇし」

 痛いとは……具体的にどの辺りが痛いか詳しく聞きたい所だけれど、そんな変態親父みたいな真似よりこっちも脱ぐのが先決だ。勢いよく立って、邪魔なズボンを脱ぎ去ってポイッと投げて座り直すと、尻に人肌が触れて大げさなまでにビクッとした。火傷しそうに熱く感じたのだ。

 しかも陰茎には未だかつて感じた事のない感触が。温くて硬いもの同士が、何だかそっと寄り添うようにそこにある。頭が沸騰しそうだった。抗いがたい吸引力に、ついそこを確認して「イケメン……!」と最初に思った。シュッとしたイケメンなのだ。自分のものとは全く違う。これはまるで……。

「王子様……」
「お前、どこ見て何言ってんの」

 俺のアホな発言なんて軽く受け流す瑛士君はライキを手に取り、左手を握り込んで陰茎の上で潰す。手のひらからトロリと滴る粘液がとにかくエロい。そして右手は拳のまま俺の背後に回った。

「握って良い? ……これ、たぶんやべーよ?」
「俺もそんな気がする。あ、待って」

 直前で日和った俺の制止を待たず、瑛士君の滑る手の中に俺の陰茎が包まれる。じわっと温かくて吸い付くような感触に先走りが漏れたのが分かった。回転するように塗りつけられるたび、ぴくぴく身体が小さく跳ねる。扱かれると尚更快感を強く感じた。

「んっ、ん……っくぅ」

 出したくもないのに子犬の鳴き声みたいなのが口から零れる。勝手に背中が丸まってしまうのを嫌って、瑛士君からしっかり手を回せって指示が飛ぶ。やたらとグチュグチュと水音が聞こえるのは、ライキより先端からひっきりなしに出てくる先走りのせいだろう。絶えず噴き出す割れ目に指の腹を添わせて、滑りながらスライドされると腰が抜けそうに気持ち良かった。

 瑛士君が俯きがちな俺の顔に、下から掬うようにして深く口付けてくる。舌の裏側や上顎をぬめった感触が撫でていき、瑛士君のと一緒に陰茎を扱かれる。今にもイきそうなのを必死に堪えた。

「ぅ、あっ……待って、イっちゃう」
「もうちょい我慢して」
「ん、んっ、無理かも……っ」

 キスを解いて、瑛士君の首元に額を擦りつけて耐える。さっきまで抱きつきたくて仕方なかった綺麗な背中にしがみ付いた時、俄かに後ろの方を撫でられる感触がした。

「――っあ、ん」

 後孔を濡れた指先で撫でられる。陰茎で感じる刺激の方が鮮烈なのに、後ろで感じる僅かな刺激を強く感じた。意志とは関係なく孔がひくつく。違和感を誤魔化すように陰茎を扱かれて、脳が混乱した。指先のほんの少しがツプツプと出し入れされて、トプッと陰茎からカウパーを吐き出す。

「っエイジ、……えいじくんっ、もぉ」
「ん、よく我慢したな。いっていいよ」
「あ、っん、あっあ――っく、あああ」

 瑛士君のとまとめて強く握り込まれ、一層激しく擦られる。後孔に指が深く差し込まれるのと同時に果てた。イってからも追い打ちかけるみたいに扱かれて、中の指を食い締める。瑛士君がイって、お腹まで精液が飛んできたのに少しびっくりした。
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