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私が記憶を取り戻したきっかけは、仕事中に転んで頭を打ったのが原因みたいだ。
そして、ミリーナについて情報をまとめると・・・。
ミリーナは片田舎の農家の生まれで姉弟は8人いたらしい。
しかし、貧乏で口減らしのためにカルタルト家にアリーナの侍女として奉公に出されたということだ。
「ミリーナ、もう大丈夫なの?」
「はい、ご心配をおかけしましたメイド長様。」
私に声を掛けてくれたのはカルタルト家のメイド長、マルタ・クラールだった。
「体調が良いのなら結構・・・。
では、今日もお嬢様のお世話に励みなさい。」
「はい!頑張ります!」
そして、私達はアリーナの部屋の前に来る。
「貴方はまだここに勤めて日が浅いので私が主にお嬢様の世話をしますので貴方はその手伝いをしてもらいます。」
記憶が戻ってから初めてアリーナと対面する。
どんな子なのだろう?
やっぱり小さいころから我侭だったのだろうか?
「お嬢様、朝になりましたので支度をお手伝いに参りました。」
「どうぞ。」
ノックをしながらメイド長はアリーナの部屋に入る。
そこには、可愛らしい女の子がベッドの上でこちらを見ていた。
「・・・マルタ。
その子は?」
「今日からお嬢様のお世話をするメイドです。
ミリーナ挨拶を。」
「ミリーナ・アーサムでございます。
アリーナお嬢様のお世話をできる栄誉を頂けてうれしく思います。」
こんな感じの挨拶でいいかしら?
「・・・そう。」
その可愛らしい女の子が幼いころのアリーナなのだろう。
しかし、なんというかそっけない態度だ。
笑えば可愛いだろうに・・・。
「さあ、挨拶が済んだところでお嬢様着替えを・・・。」
「ええ、よろしく頼むわ。」
私はメイド長と共にアリーナの着替えを手伝った。
彼女が着るドレスは手触りからもう高級品と判るものだった。
(綺麗な髪・・・。)
私はアリーナの髪に櫛を入れる。
綺麗なブロンドで櫛が全く引っかからない。
その髪からはなんだか安心する香りがする。
「ちょっと、あなた?」
「は・・・はい!?」
「いつまでわたくしの髪を梳いているつもり?
そろそろマルタに代わってくれないかしら?」
「た・・・大変失礼しました!
お嬢様の髪があまりにも綺麗だったものでつい・・・!」
「なっ!?」
私の言葉にアリーナは顔を真っ赤にする。
「そ・・・そんな当たり前のこと面と向かって言わなくていいわ!」
そう言って顔をそむける。
アリーナの頬は赤い。
(あれ?なんか可愛い・・・。)
言動こそ少しトゲトゲしているようだがなんというか感情を完全に隠しきれてない。
だって口元が笑っているし・・・。
あっ・・・。
私が見ているのに気が付くと睨んできた。
(ツンデレなのかな?)
そうして、私はメイド長と共にアリーナの身支度を済ませる。
その後、私はメイド長の計らいでアリーナと二人きりで話す機会を得る。
理由としては専属の侍女になるのだから早い内からお互いのことを知る必要があるとのことだ。
「・・・なによ。」
どう話を切り出すか迷っているとアリーナが話しかけてきた。
「えっと・・・何を話したらいいのでしょう?」
「何かわたくしについて聞きたいことはないのかしら?」
「えっ、教えてくれるんですか?」
私が意外そうな顔をするとアリーナは唇を尖らせる。
「あなたはわたくしの事をなんだと思っているの?」
悪役令嬢・・・と喉元まで出かかったのをぐっとこらえる。
そんなことを言ったらお屋敷をクビになりそうだ。
「えっと・・・ツンデレ?」
「つんでれ?」
「あ・・・その、えっと・・・。」
流石に現代日本のネットスラングを言っても通じないか。
「つまり、とても可愛い方という意味です!」
嘘はついてない。
熱狂的なファンが居るのがその証拠だ。
「かわ・・・・!?」
あっ・・・顔がゆでだこになった。
「あ・・・あなた!よく恥ずかしげもなくそんなことを・・・!」
「素直な感想を言っただけなんですが・・・。」
「なっ!?」
「まるでお人形さんみたいに整った顔に綺麗なブロンドの髪。
まるでサファイヤのような美しい目に白く透き通った肌・・・。」
「が・・・外見ばかりじゃないの!?
内面はどうなのよ!」
「内面も可愛らしいと思います!
褒めると顔を真っ赤にして恥ずかしがって、でも本当は嬉しいけどそれを人に見られると恥ずかしいからつんけんな態度を取るところとか。」
「さっ・・・さっき会ったばかりなのに!?」
「私、人を見る目は確かなんですよ。」
私は自信満々にそう言う。
そして、こんな風に話していてわかったこともあった。
アリーナはとても良い子だ。
そして、違和感もあった。
アリーナ・フォン・カルタルトというキャラは我侭でプライドが高い。
そう、プライドが高いはずなのだ。
私が褒めたのは素直な感想も含まれているが彼女のプライドの高さを確認するためのモノでもある。
もし、この時からプライドが高いということなら彼女は恥ずかしがるという態度を取ることはあり得ないのだ。
プライドが高いということは自信にあふれているということ。
この分野で負けるはずがないという自負があるから自惚れが生まれる。
だから、硝酸も当たり前だと受け止めるはずなのだが彼女にはそういうそぶりが見られなかった。
(つまり、そうなるきっかけがあったということね・・・。
それを取り除けばアリーナは悪役令嬢になることはなくなるはず。)
まだわかったことは少ないが一歩前進したと考えるとしよう。
(とりあえず、この可愛いお嬢様をもう少しからかってあげよう♪)
「お嬢様の良いところは他にも・・・!」
私はアリーナを褒めてその反応を楽しむのだった。
そして、ミリーナについて情報をまとめると・・・。
ミリーナは片田舎の農家の生まれで姉弟は8人いたらしい。
しかし、貧乏で口減らしのためにカルタルト家にアリーナの侍女として奉公に出されたということだ。
「ミリーナ、もう大丈夫なの?」
「はい、ご心配をおかけしましたメイド長様。」
私に声を掛けてくれたのはカルタルト家のメイド長、マルタ・クラールだった。
「体調が良いのなら結構・・・。
では、今日もお嬢様のお世話に励みなさい。」
「はい!頑張ります!」
そして、私達はアリーナの部屋の前に来る。
「貴方はまだここに勤めて日が浅いので私が主にお嬢様の世話をしますので貴方はその手伝いをしてもらいます。」
記憶が戻ってから初めてアリーナと対面する。
どんな子なのだろう?
やっぱり小さいころから我侭だったのだろうか?
「お嬢様、朝になりましたので支度をお手伝いに参りました。」
「どうぞ。」
ノックをしながらメイド長はアリーナの部屋に入る。
そこには、可愛らしい女の子がベッドの上でこちらを見ていた。
「・・・マルタ。
その子は?」
「今日からお嬢様のお世話をするメイドです。
ミリーナ挨拶を。」
「ミリーナ・アーサムでございます。
アリーナお嬢様のお世話をできる栄誉を頂けてうれしく思います。」
こんな感じの挨拶でいいかしら?
「・・・そう。」
その可愛らしい女の子が幼いころのアリーナなのだろう。
しかし、なんというかそっけない態度だ。
笑えば可愛いだろうに・・・。
「さあ、挨拶が済んだところでお嬢様着替えを・・・。」
「ええ、よろしく頼むわ。」
私はメイド長と共にアリーナの着替えを手伝った。
彼女が着るドレスは手触りからもう高級品と判るものだった。
(綺麗な髪・・・。)
私はアリーナの髪に櫛を入れる。
綺麗なブロンドで櫛が全く引っかからない。
その髪からはなんだか安心する香りがする。
「ちょっと、あなた?」
「は・・・はい!?」
「いつまでわたくしの髪を梳いているつもり?
そろそろマルタに代わってくれないかしら?」
「た・・・大変失礼しました!
お嬢様の髪があまりにも綺麗だったものでつい・・・!」
「なっ!?」
私の言葉にアリーナは顔を真っ赤にする。
「そ・・・そんな当たり前のこと面と向かって言わなくていいわ!」
そう言って顔をそむける。
アリーナの頬は赤い。
(あれ?なんか可愛い・・・。)
言動こそ少しトゲトゲしているようだがなんというか感情を完全に隠しきれてない。
だって口元が笑っているし・・・。
あっ・・・。
私が見ているのに気が付くと睨んできた。
(ツンデレなのかな?)
そうして、私はメイド長と共にアリーナの身支度を済ませる。
その後、私はメイド長の計らいでアリーナと二人きりで話す機会を得る。
理由としては専属の侍女になるのだから早い内からお互いのことを知る必要があるとのことだ。
「・・・なによ。」
どう話を切り出すか迷っているとアリーナが話しかけてきた。
「えっと・・・何を話したらいいのでしょう?」
「何かわたくしについて聞きたいことはないのかしら?」
「えっ、教えてくれるんですか?」
私が意外そうな顔をするとアリーナは唇を尖らせる。
「あなたはわたくしの事をなんだと思っているの?」
悪役令嬢・・・と喉元まで出かかったのをぐっとこらえる。
そんなことを言ったらお屋敷をクビになりそうだ。
「えっと・・・ツンデレ?」
「つんでれ?」
「あ・・・その、えっと・・・。」
流石に現代日本のネットスラングを言っても通じないか。
「つまり、とても可愛い方という意味です!」
嘘はついてない。
熱狂的なファンが居るのがその証拠だ。
「かわ・・・・!?」
あっ・・・顔がゆでだこになった。
「あ・・・あなた!よく恥ずかしげもなくそんなことを・・・!」
「素直な感想を言っただけなんですが・・・。」
「なっ!?」
「まるでお人形さんみたいに整った顔に綺麗なブロンドの髪。
まるでサファイヤのような美しい目に白く透き通った肌・・・。」
「が・・・外見ばかりじゃないの!?
内面はどうなのよ!」
「内面も可愛らしいと思います!
褒めると顔を真っ赤にして恥ずかしがって、でも本当は嬉しいけどそれを人に見られると恥ずかしいからつんけんな態度を取るところとか。」
「さっ・・・さっき会ったばかりなのに!?」
「私、人を見る目は確かなんですよ。」
私は自信満々にそう言う。
そして、こんな風に話していてわかったこともあった。
アリーナはとても良い子だ。
そして、違和感もあった。
アリーナ・フォン・カルタルトというキャラは我侭でプライドが高い。
そう、プライドが高いはずなのだ。
私が褒めたのは素直な感想も含まれているが彼女のプライドの高さを確認するためのモノでもある。
もし、この時からプライドが高いということなら彼女は恥ずかしがるという態度を取ることはあり得ないのだ。
プライドが高いということは自信にあふれているということ。
この分野で負けるはずがないという自負があるから自惚れが生まれる。
だから、硝酸も当たり前だと受け止めるはずなのだが彼女にはそういうそぶりが見られなかった。
(つまり、そうなるきっかけがあったということね・・・。
それを取り除けばアリーナは悪役令嬢になることはなくなるはず。)
まだわかったことは少ないが一歩前進したと考えるとしよう。
(とりあえず、この可愛いお嬢様をもう少しからかってあげよう♪)
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