アークナイト物語

わっしー

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5.魔導騎士

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「アークナイトが起動している?」
俺は目の前の光景を信じられない気持ちで見ていた。どのパイロットも拒絶した欠陥機である5番機が起動したのだ。
「いや・・・。これはチャンスか!」
そして、俺は通信回線を開く。
「君!名前は何というんだ?」
『カイ・・・。カイ・スギナミです。』
「カイ、その機体はアークナイトという機体だ。それがこの場で唯一ウィザードに対抗できる機体だ。俺が援護する!それで戦ってくれ!」
『・・・ああ!』
そう言ってカイが乗る5番機は俺の機体と並ぶ。
「行くぞ!」
俺達はウィザードに向かって走り出す。

『行くぞ!』
オッサンの声で俺はナイフを構えて近くにいるウィザードに切りかかる。ウィザードも魔光剣でその刃を受け止める。
『はあ!』
すると、オッサンは盾でウィザードに体当たりをして体勢を崩す。その隙をついて俺はナイフをウィザードに突き刺す。
ウィザードは火花を散らして爆発した。
『残り、2体だ!』
オッサンの声がコックピット内に響く。
「ああ!やってやる!」
そう言って俺は残りのウィザードと距離を詰める。ウィザードは銃を取り出し、発砲する。データによるとアレは「魔導銃」と呼ばれる武装だ。
そこから放たれた火炎の弾が俺に迫る。
しかし、火炎の弾が俺に当たる直前にオッサンが盾で防いでくれた。
『防御は任せろ!お前は目の前の相手を倒すことに集中するんだ!』
「ああ!」
俺はオッサンの後ろから躍り出て魔弾を放ったウィザードと距離を詰める。
そして、ナイフをコックピット付近に突きつける。
それによってウィザードは機能を停止した。
『残り一体!』
俺達は最後のウィザードに目を向ける。

「くそ!まさか、ウィリアムとジョスターがやられるとは・・・。」
俺は歯噛みをする。目の前にはナイトモデル1番機「ロングソード」と白いアークナイトが立っていた。
「こんなのデータにはなかったはずだ!?アークナイトは全部で4機のはず・・・。でも、あの機体は俺達の魔力障壁に干渉して既に2機のウィザードを撃墜した・・・。」
俺の額に汗が浮かぶ。このままでは負ける。
「しかし、アレを倒さねば後々、我々の障害になる・・・。なら、やるしかない!」
俺は覚悟を「杖」を構え「魔光剣」を起動する。
俺の体内からマナが吸われていく。
「行くぞ!」
俺は二機の騎士に向かう。その刃を白いアークナイトに向けるがそれをロングソードが盾で受け止めて杖を弾く。
「しまった!?」
ガラ空きになった俺の胴体に白いアークナイトがナイフを叩きつける。
「ぐふっ!?」
その刃はコックピットの俺に刺さる。
「こ・・・ここで、お・・れ・・・は・・・。」
それが俺の最後の記憶となる。

「やったな!カイ!」
そう言ってクウヤが俺の肩を抱く。
「ああ・・・。」
俺は少しの倦怠感を覚えながらもなんとか答える。
『よくやった、カイ。君の働きが無ければ俺は負けていた。本当にありがとう。』
「いえ。俺達も生き残るためにやっただけですから・・・。」
その時だった。新たにもう一体の騎士が飛来する。
『グラン大佐!無事ですか!?』
『ユウキか・・・。俺は無事だ。彼に助けてもらった。』
オッサンは答える。
『よかった・・・。あの、他の人は?』
『俺以外は全滅だ。アークナイトも強奪された・・・。』
『そんな・・・。』
二人の声は重い。
「あの・・・。とりあえず、俺たちはどうすれば?」
『・・・ああ。君達には俺たちの船に来てもらう。多分、避難民の誘導が行われていると思うからな・・・。』
オッサンが答える。
「それは、どういう意味ですか?」
『ソラドは間もなく崩壊する。』
オッサンの言葉に俺たちは言葉を失うのだった。
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