弱小種族の冒険譚

わっしー

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第一章

1.始まりの街ランバルド

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僕たちは徒歩で森を抜けた。その先には大きな門が広がっていた。
「凄い大きな門ですね・・・。」
「そう?」
そうして僕たちは門に近づくと門番二人が待っていた。
「これは、ミネア様。お帰りなさいませ・・・。」
「ええ。門を開いてくださるかしら?」
「・・・あの、そのチビット族は?」
「わたくしのお客様です。」
「なるほど・・・。では、門を開けますので少々お待ちください。」
そう言って門番は鈴を取り出し大きく振る。その音が合図となって門が開いた。
「では、行きましょう。」
そう言ってミネアさんは歩き出す。その後ろにアランさんが続き、僕も急いで門を抜けるのだった。
門の先では、にぎやかな声が響き渡っていた。
「ようこそ、始まりの街、ランバルドへ!」
そう言ってミネアさんは微笑みながら言った。
「始まりの街?」
「ええ。この街は数多くの有名な冒険者が最初に旅立った町として有名なんです。」
「そうなんですか・・・。」
僕はあちこち見渡す。中心には噴水があり、その中央にはこの街の偉人のものだろうか男性の像が飾られている。その奥を見ると両側に石造りの家が立ち並びその前では商人たちが日用品を販売していた。
「わたくしの家は奥にありますのでついて来てください。」
「は・・・はい!」
僕はその短い脚でミネアさん達についていく。歩幅が違うので物凄く大変だ。
しばらく進むと、開けた場所に出た。
「ここからが、わたくしの家の敷地です。」
「ほえぇ・・・。」
僕はつい声が漏れてしまう。その先には鉄の門が向こうまで続いておりその奥に大きな豪邸が建っていた。
「ミネアさんって物凄い大金持ちなんですね・・・。」
「ええ。これでも、この街の領主の娘ですからね。」
そう言われれば、いろいろと説明が付く。アランさんみたいな騎士を連れていたり言葉遣いやしぐさから育ちの良さがうかがえる。
「とりあえず、中に入りましょう?いろいろとお話を伺いたいですし・・・。」
「わかりました。」
そうして僕たちはミネアさんの豪邸に入るのだった。

僕は豪邸に入ると、そのままお風呂に入れられた。メイドさんに連れられて大きなバスタブに浸かり、大量の泡で体を隅々まで洗われた。そして、着替えの服は綺麗な絹の服だった。
「これって、いくらぐらいなんだろう?」
そう思いながら、絹の服とズボンを履く。すると、メイドさんに連れられて大きな食堂へ通された。
「ふふ・・・。よく似合っているわ、ポムさん。」
「ありがとうございます。お風呂や服まで用意してもらって・・・。」
「いえ、ポムさんはわたくしのお客様ですもの。それよりもどうぞ、席にお付きください。ウチのシェフが腕によりをかけて作った自慢の料理を召し上がって・・・。」
「はい!いただきます!」
そう言って僕は手を合わせて、「いただきます」と言った後にパンを一口つまむ。
「うわぁ・・・。このパン、凄くふわふわで美味しい!」
「喜んでもらえたようで、良かったわ。さあ、どんどん召し上がってくださいな。」
「はい!」
どうやら、僕は思った以上にお腹が空いていたみたいでどんどん料理を平らげた。
料理を食べ終わり、食後のお茶を飲んでいると・・・。
「それで、ポムさんはどうして、あの森に居たのですか?ポムさんのようなチビット族はこの近辺には住んでいるというお話を聞きませんので・・・。」
僕はティーカップを置いて少し考えた。
「僕にもよくわからないんです。気が付いたらあの森の木の幹で目を覚まして・・・。」
「そうなんですね・・・。何か覚えていることはありませんか?」
そう聞かれても答えに困る。この世界を少し見ただけで僕が居た世界とは異なる世界だということは分かる。
まず、あの盗賊。日本にあんな刃物を持った男たちが居たらすぐに警察が飛んでくるだろう。それに、ミネアさんとアランさんの服装。中世ヨーロッパみたいな服装だ。そして、僕の子の姿。どう考えても人間ではない。鏡があったので顔を見て見たらそこに映っていたのはゲームで作ったキャラクターの顔だった。
そのキャラクターというのがチビット族のポム。
「いえ、名前以外は何も・・・。」
「・・・そうなんですね。」
本当のことを言ってもミネアさんを混乱させるだけだと思ったのでとりあえず話を濁した。
「そうなると、これからのことを考えないといけませんね・・・。」
「そうですよね・・・。いつまでも、ここでお世話になる訳にも行きませんし・・・。何か良い働き口はないのでしょうか?」
そう聞くと、ミネアさんは微笑みながら言う。
「それなら、冒険者などはいかがでしょうか?もちろん適性試験はありますが・・・。」
「冒険者ですか・・・。それって、どんなお仕事なんですか?」
すると、ミネアさんが冒険者について説明してくれた。冒険者とはつまりは何でも屋とのこと。
ギルドに所属し、いろいろな町を転々とするとのことだった。
「なんか、面白そうですね!」
「ふふ・・・。やはり、ポムさんも男の子ということなんですね・・・。」
ミネアさんは可笑しそうに笑った。
「では、明日この街のギルドに一緒に行きましょうか?ポムさん一人だけじゃ心配ですから。」
「えっ?でも、そこまでお世話になるのは・・・。」
「わたくしもギルドの方に久しぶりに顔を出したいと思っていましたので、ついでですよ。」
「なら、お言葉に甘えて・・・。」
そうして、しばらくこの街のことなどをミネアさんと話してそして、寝室に案内されるのだった。

「アランさん、案内ありがとうございます。」
「気にするな。お前はお嬢様の大事なお客様なのだから・・・。」
「はは・・・。でも、今日は本当にありがとうございます。盗賊に襲われているところを救っていただいて・・・。」
「それこそ、気にするな。俺はお嬢様の命令でお前を助けただけだ。」
「それでも、ありがとうございます。」
すると、アランさんは笑い出す。
「お前は、本当に面白いな。」
「そうですか?」
「ああ。お嬢様がお前をほっとけない気持ちが分かったような気がする。」
そうして、歩いていると寝室に到着した。
「ほら、お前の部屋だ。じゃあな。」
そう言ってアランさんはさっさと行ってしまった。僕はそれを見送ってから部屋に入る。
「広いな・・・。」
日本に住んでいた時の部屋に比べても2倍くらい大きかった。
「この身長だと、余計にそう感じるな・・・。」
そう思いながら僕は靴を脱いでベッドにダイブする。スプリングが効いて身体が50cmくらい浮いた。
「これは、凄いな!!」
少し楽しくなったしばらくベッドの上で跳ねる。それに飽きてくると暗い部屋の中でベッドに寝転がりながら考えた。
「これは夢じゃないのかな・・・?」
夢なら早く覚めて欲しいと思いながら目を閉じる。すると、すぐに睡魔が襲ってきて僕は眠りに落ちるのだった。

夢を見ていた。その中で僕は6つの台座の置かれた魔法陣の中心にいた。それぞれ赤・青・黄・緑・白・黒の球体とその球体の下には絵が描いてあった。
剣・弓・杖・槍・拳・斧の絵だ。
「何だろうこれ・・・。」
そう思い、赤い球体を触る。すると物凄い量の情報が流れ込んできた。その情報の濁流にもまれながら意識を失わないように必死に耐える。
「はぁ・・・はぁ・・・。」
頭に鈍い痛みを抱えながら僕はその情報を整理する。
球体が火・水・土・風・光・闇の6元素を表している。そして、その下の台座の絵はそれぞれ剣士・ハンター・魔術師・僧侶・格闘家・戦士のジョブを表している。
「つまり、この中から選べということか・・・。」
どうやら、これはゲームでいう所のキャラメイクみたいなもんみたいだ。
「なら、もう決まっている。」
このキャラで僕が遊んでいた時と同じように白と緑の球を選び、そして、台座の絵は拳と槍を選んだ。
その瞬間、また、物凄い量の情報が流れ込んだ。

キャラクター名 ポム
種族 チビット族
性別 男
守護属性 風 光
天職 格闘家 モンク 僧侶 僧兵

よろしいですか?
➡はい
いいえ

「もちろん、「はい」で!」
僕がそう言うとまばゆい光が溢れた。
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