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第一章
6話
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『誰か・・・。助けて・・・。』
その声に目が覚める。
「誰?」
声は僕の頭に響き渡る。
『助けて・・・。』
しかし、僕の問いかけに答えることなくただ言うだけ。
僕は馬車の外を見る。
焚火がある場所ではカーラさんとソーマさんが見張りをしてくれていた。
反対側を見ると暗い森が広がっているのみだった。
しかし、森の方を見ていると頭に響いてきた声が大きくなった。
「・・・これは?」
まるで、呼ばれているような気がして僕は森の奥に向かった。
森の奥に入るとそこには大きな銀の獣が倒れていた。
「これは・・・。」
銀の獣に近づくと血の匂いが充満していた。
「うっ・・・。」
僕は思わず鼻を覆う。
銀の獣を良く見て見ると、その獣は狼みたいだ。
その全身には酷い傷がついておりそこから血が流れていた。
「これはもう助からないな・・・。」
この狼は虫の息だ。
『きて・・・くれたのね?』
すると、頭にまた声が響く。
「君が、呼んだの?」
『私は、もうダメ・・・。どうか、この子のことをお願い・・・。』
その時、鳴き声が聞こえた。
よく見ると、その狼の近くに子供の狼がいた。
『お母さん・・・お母さん・・・。』
声が聞こえてくる。
その声の調子はとても悲しそうだ。
『貴方にこの子を・・・託します・・・。どうか、この子を・・・。』
それを最後に狼は息を引き取る。
『お母さん・・・?』
子供の狼は首を傾げる。
『お母さん、起きてよ。お母さん・・・。』
その時、後ろから物音が聞こえる。
「なんだ?」
後ろを見るとそこには緑の肌の小人が立っていた。
「ギギギ・・・。」
緑の小人は狼の子供を見るとこん棒を振りあげて向かってくる。
「危ない!」
僕は盾を構えてこん棒を受け止める。
「ギギ!?」
「はあ!」
そのまま盾で押し返すと小人は尻もちをつく。
「今の内に!」
僕は子供の狼を抱えて走り出す。
「ギギ!!」
後ろから小人の叫び声が響き渡る。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・!」
僕は子供の狼を抱えながら暗い森の中を走る。
その後ろからは小人たちが奇声を上げながら迫って来る。
「くっ!しつこいな・・・!」
僕は舌打ちを打ちつつ足を動かす。
『・・・大丈夫?』
「大丈夫!しばらく逃げていれば・・・。」
そう言って後ろを見ると、小人の数は増えていた。
「・・・ダメかも?」
『ええっ!?』
僕は冷や汗をかきながら全力で足を動かす。
そうしていると行き止まりに辿り着いてしまった。
「やばい・・・。」
僕は後ろを振り返ると小人の数が十数匹まで増えていた。
「ギギギ・・・。」
「時間を稼ぐから逃げなさい。」
そう言って僕は狼の子供を地面に下ろす。
『貴方はどうするの?』
「僕は・・・まあ、何とかなるんじゃないかな?」
そう言いながら盾を構える。
勝算なんてない。
僕の魔法、破魔魔法は魔法に対しては脅威だが物理攻撃に対しては無力だ。
(正直、攻撃に使える魔法がないんだよな・・・。訓練をしている訳でもないから大して使えるわけでもないし・・・。)
魔法の使い方はマードックさんに教わったけど、実戦で使えるほどではない。
落ち着いた場所で三回に一回成功する程度にしか魔力は練られていない。
(でも、時間は稼げるはず・・・。この子を逃がす程度の時間は・・・。)
僕は覚悟を決めて小人たちの群れに飛び込もうとした時・・・。
「伏せろ。」
僕は声の通りにその場に伏せると頭上から一陣の風が駆け抜けた。
「ギャア!!!」
前方で叫び声が聞こえて見て見ると、戦闘にいた小人の頭がゴトリと落ちていた。
その胴体は後ろ向きに倒れて頭があった場所からは大量の血が流れている。
「下がっていろ・・・邪魔だ。」
そう言うのは漆黒の剣を携えた男性だった。
年は30歳くらいで黒髪の人だ。
男性が近づくと小人たちは怯えたような声を上げながら下がる。
そして、男性は小人たちの首を刎ねていった。
その光景は戦いというには一方的で凄惨なものだった。
数分後、小人たちは一匹残らず立っていなかった。
「大丈夫か、お前?」
「はい・・・。」
男性が僕を見下ろす。
「あの、助けてくださりありがとうございました。」
「気にするな。それよりも・・・。」
そう言って僕の隣を見る。
隣には狼の子供が居た。
「君、まだ逃げていなかったの?」
『そんなこと、出来るわけない・・・。』
「ほう・・・。お前、そのシルバーウルフと話すことが出来るのか?」
「えっ・・・?」
そういえば、普通に話していたな・・・。
「まあ、今はそんなことはどうでもいい。それより、なぜお前はこんな場所に?」
「いえ、なんか森の奥から声が聞こえたので向かっているとそこで、この子の親が倒れていて、そこで小人に襲われて逃げていたらこんな所に・・・。」
「なるほどな・・・。」
「ショウマ様!どこに居るんですか!?」
「居たら返事してください!」
遠くからソーマさんとカーラさんの声が聞こえた。
「どうやら、お仲間が来たみたいだな・・・。」
そう言って男性はその場を去ろうとする。
「あの!貴方は?」
「・・・アンヤ。」
「アンヤ?」
それだけ言うと男性は暗い森の中に消えるのだった。
その声に目が覚める。
「誰?」
声は僕の頭に響き渡る。
『助けて・・・。』
しかし、僕の問いかけに答えることなくただ言うだけ。
僕は馬車の外を見る。
焚火がある場所ではカーラさんとソーマさんが見張りをしてくれていた。
反対側を見ると暗い森が広がっているのみだった。
しかし、森の方を見ていると頭に響いてきた声が大きくなった。
「・・・これは?」
まるで、呼ばれているような気がして僕は森の奥に向かった。
森の奥に入るとそこには大きな銀の獣が倒れていた。
「これは・・・。」
銀の獣に近づくと血の匂いが充満していた。
「うっ・・・。」
僕は思わず鼻を覆う。
銀の獣を良く見て見ると、その獣は狼みたいだ。
その全身には酷い傷がついておりそこから血が流れていた。
「これはもう助からないな・・・。」
この狼は虫の息だ。
『きて・・・くれたのね?』
すると、頭にまた声が響く。
「君が、呼んだの?」
『私は、もうダメ・・・。どうか、この子のことをお願い・・・。』
その時、鳴き声が聞こえた。
よく見ると、その狼の近くに子供の狼がいた。
『お母さん・・・お母さん・・・。』
声が聞こえてくる。
その声の調子はとても悲しそうだ。
『貴方にこの子を・・・託します・・・。どうか、この子を・・・。』
それを最後に狼は息を引き取る。
『お母さん・・・?』
子供の狼は首を傾げる。
『お母さん、起きてよ。お母さん・・・。』
その時、後ろから物音が聞こえる。
「なんだ?」
後ろを見るとそこには緑の肌の小人が立っていた。
「ギギギ・・・。」
緑の小人は狼の子供を見るとこん棒を振りあげて向かってくる。
「危ない!」
僕は盾を構えてこん棒を受け止める。
「ギギ!?」
「はあ!」
そのまま盾で押し返すと小人は尻もちをつく。
「今の内に!」
僕は子供の狼を抱えて走り出す。
「ギギ!!」
後ろから小人の叫び声が響き渡る。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・!」
僕は子供の狼を抱えながら暗い森の中を走る。
その後ろからは小人たちが奇声を上げながら迫って来る。
「くっ!しつこいな・・・!」
僕は舌打ちを打ちつつ足を動かす。
『・・・大丈夫?』
「大丈夫!しばらく逃げていれば・・・。」
そう言って後ろを見ると、小人の数は増えていた。
「・・・ダメかも?」
『ええっ!?』
僕は冷や汗をかきながら全力で足を動かす。
そうしていると行き止まりに辿り着いてしまった。
「やばい・・・。」
僕は後ろを振り返ると小人の数が十数匹まで増えていた。
「ギギギ・・・。」
「時間を稼ぐから逃げなさい。」
そう言って僕は狼の子供を地面に下ろす。
『貴方はどうするの?』
「僕は・・・まあ、何とかなるんじゃないかな?」
そう言いながら盾を構える。
勝算なんてない。
僕の魔法、破魔魔法は魔法に対しては脅威だが物理攻撃に対しては無力だ。
(正直、攻撃に使える魔法がないんだよな・・・。訓練をしている訳でもないから大して使えるわけでもないし・・・。)
魔法の使い方はマードックさんに教わったけど、実戦で使えるほどではない。
落ち着いた場所で三回に一回成功する程度にしか魔力は練られていない。
(でも、時間は稼げるはず・・・。この子を逃がす程度の時間は・・・。)
僕は覚悟を決めて小人たちの群れに飛び込もうとした時・・・。
「伏せろ。」
僕は声の通りにその場に伏せると頭上から一陣の風が駆け抜けた。
「ギャア!!!」
前方で叫び声が聞こえて見て見ると、戦闘にいた小人の頭がゴトリと落ちていた。
その胴体は後ろ向きに倒れて頭があった場所からは大量の血が流れている。
「下がっていろ・・・邪魔だ。」
そう言うのは漆黒の剣を携えた男性だった。
年は30歳くらいで黒髪の人だ。
男性が近づくと小人たちは怯えたような声を上げながら下がる。
そして、男性は小人たちの首を刎ねていった。
その光景は戦いというには一方的で凄惨なものだった。
数分後、小人たちは一匹残らず立っていなかった。
「大丈夫か、お前?」
「はい・・・。」
男性が僕を見下ろす。
「あの、助けてくださりありがとうございました。」
「気にするな。それよりも・・・。」
そう言って僕の隣を見る。
隣には狼の子供が居た。
「君、まだ逃げていなかったの?」
『そんなこと、出来るわけない・・・。』
「ほう・・・。お前、そのシルバーウルフと話すことが出来るのか?」
「えっ・・・?」
そういえば、普通に話していたな・・・。
「まあ、今はそんなことはどうでもいい。それより、なぜお前はこんな場所に?」
「いえ、なんか森の奥から声が聞こえたので向かっているとそこで、この子の親が倒れていて、そこで小人に襲われて逃げていたらこんな所に・・・。」
「なるほどな・・・。」
「ショウマ様!どこに居るんですか!?」
「居たら返事してください!」
遠くからソーマさんとカーラさんの声が聞こえた。
「どうやら、お仲間が来たみたいだな・・・。」
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