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第三章
43話
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「ふう・・・。」
僕は書類の処理に追われていた。
僕の領地は約27㎢ほどの平原だ。
元々は他の貴族の領地だったのだがその領主もゴブリンの媚薬に関わっておりその座を追われた。
そして、新しく僕が来たという訳だ。
受け入れてもらえるか不安だったが領民は前の領主にかなり不満があったみたいで歓迎された。
「現在の村の人口は前から住んでいる領民が300人。そして、今回のゴブリンの被害者やこの領地を守る領兵を合わせて150人・・・と。」
現在、国からの補助金で被害者たちの家や畑を耕しているところだ。
やることが沢山ある。
「ショウマ様。こちらもお願いします。」
そう言ってソーマさんは書類をもう一枚積み上げて行く。
そこには数字がびっしりと書かれていた。
「これは?」
「今回の移民に掛かる費用と領兵の月々の給与、家屋の建築費や田畑の整備費等々です。」
「凄いね・・・。」
正直、この書類を見ただけではわからないことが多い。
「慣れてください。ショウマ様はここの領主なのですから。」
ソーマさんは僕の代わりに財務を担当してくれている。
他にもカーラさんは領兵のまとめ役として働いてくれているし、農業などは元々個々の領民である村長さんにお任せしているところだ。
僕がやっていることは書類を確認して判を押すことだった。
その書類の確認にしてもソーマさんが分かりやすく説明をしてくれている。
「ごめん、ソーマさん。僕こういうの慣れてなくて、皆に負担を強いているよね?」
「気にしないでください、ショウマ様。ショウマ様は十分仕事をしてくれています。」
「そうかな?」
「はい。ショウマ様の肩書や人脈によって優秀な人材を確保することが出来ました。」
領兵の多くは元冒険者だった。
その冒険者たちは僕が冒険者として働いていたころに知り合った人物ばかりで腕もさることながら人格にも問題はない。
「ショウマ様のアイデアも良いと思います。ギルドの支店化や新たに創設した非戦闘冒険者制度なども素晴らしいです。」
「ありがとう。」
ギルドは街に大きなギルドハウスがあるのみで依頼をする際、街まで行かなくてはならなかった。
街にギルドが一つだったの理由は代々ギルド長を務めていたブライダル家が利権を握るためとのことだった。
そこで、僕は現在のギルド長と話し合って試験的に支店を創設したということだ。
そして、もう一つは冒険者の事業拡大だ。
今までの冒険者の仕事は魔物の討伐や護衛任務、危険地帯の材料採取など主に戦う専門だったのだが冒険者をやっていてそれ以外のニーズがあるということに気が付いた。
非戦闘冒険者の仕事は戦闘行為以外の依頼の対応だ。
主なものは農作業の手伝いや店などの売り子やウエイターなどが挙げられる。
要はフリーターみたいなものだ。
「冒険者になる人の多くは実家を告げない人たちが大半だからね。新しく仕事を始めようとなるといろいろと大変になる。どこかに勤めるということになると辞めるのは難しいしね。」
職にありつけたとしても思っていたのとは違う職場だった場合でもすぐに辞めることは出来ない。
この国に限ったことではないが基本、雇い主が強い世界だ。
「でも、非戦闘冒険者なら契約が切れた段階で辞めることが出来る。契約期間にも上限を設けたしね。」
非戦闘員冒険者との雇用契約期間は最大3ヶ月。
その後の契約更新は雇い主と労働者の間で相談するということにした。
「まあ、お試し期間みたいなものかな?例えば商人になりたいけど具体的にどうすればよいのかわからない人は体験できるみたいな・・・。」
「なるほど・・・。」
話している間も僕たちは手を動かす。
「さて、これで今日の分は終わりかな。」
「はい、お疲れ様でした。」
僕は最後の資料に判を押す。
「じゃあ、僕は休むからソーマさんも切りの良いところで終わってくださいね。」
「そうさせていただきます。」
ソーマさんの返答を聞いて僕は執務室から出るのだった。
僕は書類の処理に追われていた。
僕の領地は約27㎢ほどの平原だ。
元々は他の貴族の領地だったのだがその領主もゴブリンの媚薬に関わっておりその座を追われた。
そして、新しく僕が来たという訳だ。
受け入れてもらえるか不安だったが領民は前の領主にかなり不満があったみたいで歓迎された。
「現在の村の人口は前から住んでいる領民が300人。そして、今回のゴブリンの被害者やこの領地を守る領兵を合わせて150人・・・と。」
現在、国からの補助金で被害者たちの家や畑を耕しているところだ。
やることが沢山ある。
「ショウマ様。こちらもお願いします。」
そう言ってソーマさんは書類をもう一枚積み上げて行く。
そこには数字がびっしりと書かれていた。
「これは?」
「今回の移民に掛かる費用と領兵の月々の給与、家屋の建築費や田畑の整備費等々です。」
「凄いね・・・。」
正直、この書類を見ただけではわからないことが多い。
「慣れてください。ショウマ様はここの領主なのですから。」
ソーマさんは僕の代わりに財務を担当してくれている。
他にもカーラさんは領兵のまとめ役として働いてくれているし、農業などは元々個々の領民である村長さんにお任せしているところだ。
僕がやっていることは書類を確認して判を押すことだった。
その書類の確認にしてもソーマさんが分かりやすく説明をしてくれている。
「ごめん、ソーマさん。僕こういうの慣れてなくて、皆に負担を強いているよね?」
「気にしないでください、ショウマ様。ショウマ様は十分仕事をしてくれています。」
「そうかな?」
「はい。ショウマ様の肩書や人脈によって優秀な人材を確保することが出来ました。」
領兵の多くは元冒険者だった。
その冒険者たちは僕が冒険者として働いていたころに知り合った人物ばかりで腕もさることながら人格にも問題はない。
「ショウマ様のアイデアも良いと思います。ギルドの支店化や新たに創設した非戦闘冒険者制度なども素晴らしいです。」
「ありがとう。」
ギルドは街に大きなギルドハウスがあるのみで依頼をする際、街まで行かなくてはならなかった。
街にギルドが一つだったの理由は代々ギルド長を務めていたブライダル家が利権を握るためとのことだった。
そこで、僕は現在のギルド長と話し合って試験的に支店を創設したということだ。
そして、もう一つは冒険者の事業拡大だ。
今までの冒険者の仕事は魔物の討伐や護衛任務、危険地帯の材料採取など主に戦う専門だったのだが冒険者をやっていてそれ以外のニーズがあるということに気が付いた。
非戦闘冒険者の仕事は戦闘行為以外の依頼の対応だ。
主なものは農作業の手伝いや店などの売り子やウエイターなどが挙げられる。
要はフリーターみたいなものだ。
「冒険者になる人の多くは実家を告げない人たちが大半だからね。新しく仕事を始めようとなるといろいろと大変になる。どこかに勤めるということになると辞めるのは難しいしね。」
職にありつけたとしても思っていたのとは違う職場だった場合でもすぐに辞めることは出来ない。
この国に限ったことではないが基本、雇い主が強い世界だ。
「でも、非戦闘冒険者なら契約が切れた段階で辞めることが出来る。契約期間にも上限を設けたしね。」
非戦闘員冒険者との雇用契約期間は最大3ヶ月。
その後の契約更新は雇い主と労働者の間で相談するということにした。
「まあ、お試し期間みたいなものかな?例えば商人になりたいけど具体的にどうすればよいのかわからない人は体験できるみたいな・・・。」
「なるほど・・・。」
話している間も僕たちは手を動かす。
「さて、これで今日の分は終わりかな。」
「はい、お疲れ様でした。」
僕は最後の資料に判を押す。
「じゃあ、僕は休むからソーマさんも切りの良いところで終わってくださいね。」
「そうさせていただきます。」
ソーマさんの返答を聞いて僕は執務室から出るのだった。
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