物置部屋に追いやられた伯爵令嬢ですが、公爵様に見初められて人生逆転しました〜妹の引き立て役だったのに、今では社交界の花と呼ばれています〜

丸顔ちゃん。

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温室での事件から数日。
セレナはまだ少し怯えが残っていたが、
公爵家の人々の温かさに支えられ、
少しずつ心を取り戻していた。

その日の夕方。
レオンはセレナを庭園に誘った。

「セレナ。
 少し……話したいことがある」

セレナは頷き、
レオンの後を歩く。

庭園は夕暮れの光に包まれ、
花々が金色に染まっていた。

(……綺麗……
 でも……
 胸がざわつく……)

セレナは、
レオンが何を話すのか
少しだけ怖かった。




東屋に着くと、
レオンはセレナの前に立ち、
真剣な瞳で見つめた。

「セレナ。
 君が危険に晒された時……
 私は初めて、
 自分の感情をはっきり理解した」

セレナは息を呑む。

レオンは続けた。

「君がいなくなるかもしれないと思った瞬間……
 胸が潰れそうだった。
 怒りよりも……
 恐怖が先に来た」

セレナの胸が熱くなる。

(……レオン様……
 そんなふうに……)

レオンは一歩近づき、
セレナの手をそっと包んだ。

「私は……
 君を守りたいだけじゃない。
 君と生きたい。
 君と未来を作りたい。
 君の笑顔を……
 毎日見ていたい」

セレナの心臓が跳ねた。

(……そんな……
 そんなふうに……
 誰かに想われるなんて……)

セレナは震える声で言った。

「……でも……
 わたし……
 まだ怖いの……」

レオンは優しく頷く。

「怖くていい。
 無理に強がらなくていい。
 君は……
 もう十分強い」

セレナは首を振った。

「違うの……
 わたし……
 レオン様の隣に立つには……
 まだ足りない気がして……
 自信がなくて……」

レオンはセレナの頬に触れた。

「足りないものなんてない。
 君は……
 君のままでいい」

セレナの瞳が揺れる。

「でも……
 わたし……
 ずっと“いらない子”だと思って生きてきたから……
 どうしても……
 自分を信じられなくて……」

レオンはそっと抱きしめた。

「なら……
 私が信じる。
 君が自分を信じられるようになるまで、
 何度でも言う」

セレナは涙をこぼした。

レオンはセレナの肩を掴み、
まっすぐに見つめた。

「セレナ。
 君は……
 誰よりも優しくて、
 誰よりも強くて、
 誰よりも美しい」

セレナは涙を拭い、
小さく息を吸った。

(……わたし……
 本当に……
 愛されていいの……?)

胸の奥で、
長い間閉じ込められていた何かが
静かにほどけていく。

セレナは震える声で言った。

「……レオン様……
 わたし……
 あなたの隣に立ちたい……
 あなたと未来を歩きたい……
 あなたの“妻”として……
 胸を張って……」

レオンの瞳が大きく揺れた。

「……セレナ……」

セレナは涙を浮かべながら微笑んだ。

「わたし……
 もう逃げない。
 もう怯えない。
 あなたがくれた温かさを……
 信じたい」

レオンはセレナを強く抱きしめた。

「ありがとう……
 セレナ……
 君がそう言ってくれる日を……
 ずっと待っていた」

夕暮れの光の中で、
二人の影がひとつに重なった。
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