物置部屋に追いやられた伯爵令嬢ですが、公爵様に見初められて人生逆転しました〜妹の引き立て役だったのに、今では社交界の花と呼ばれています〜

丸顔ちゃん。

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翌朝。
公爵家の医師が呼ばれ、
セレナは寝室で静かに診察を受けていた。

レオンは部屋の外で落ち着かず、
何度も扉の前を行ったり来たりしていた。

(……セレナ……
 どうか……何でもありませんように……)

普段は冷静な彼が、
今は完全に“ただの夫”だった。





診察が終わり、
医師はしばらく黙っていた。

セレナは不安になって尋ねる。

「せ、先生……
 わたし……
 どこか悪いんでしょうか……?」

医師は微笑んだ。

「いえ……
 悪いところはどこにもありません」

セレナはほっと息をつく。

だが医師は続けた。

「むしろ……
 とても良いことが起きています」

「……良いこと……?」

医師は優しく頷いた。

「セレナ様。
 おめでとうございます。
 ご懐妊です」

セレナの世界が、
一瞬で静まり返った。



「……わたし……
 赤ちゃんが……?」

医師は微笑む。

「はい。
 まだごく初期ですが、
 間違いありません」

セレナの目に、
大粒の涙が溢れた。

(……わたし……
 母になれるの……?
 こんなわたしが……
 新しい命を……)

胸の奥がじんと熱くなり、
涙が止まらなかった。




扉が開き、
医師がレオンを呼んだ。

「レオン様。
 お入りください」

レオンは勢いよく部屋に入り、
セレナの顔を見て青ざめた。

「セレナ……!
 泣いているのか……?
 どこか痛むのか……?」

セレナは首を振り、
震える声で言った。

「レオン様……
 わたし……
 赤ちゃんが……」

レオンは一瞬、
言葉を失った。

そして――
膝から崩れ落ちるように
セレナの前に座り込んだ。

「……本当に……?」

「うん……
 先生が……」

レオンはセレナの手を取り、
額に押し当てた。

「……ありがとう……
 セレナ……
 ありがとう……」

その声は震えていた。

普段は強く、
誰よりも冷静な男が、
今はただの“父になる男”だった。



レオンはセレナをそっと抱き寄せた。

「セレナ……
 君が……
君が私に……
 こんな奇跡をくれるなんて……」

セレナは涙を流しながら微笑んだ。

「わたし……
 レオン様の子を……
 守りたい……
 大切に育てたい……」

レオンは強く頷いた。

「私も守る。
 君も……
 この子も……
 命に代えても」

セレナは胸に手を当てた。

(……ここに……
 新しい命が……
 わたしたちの未来が……)

その瞬間、
セレナは確信した。

自分はもう、
過去の痛みに縛られた少女ではない。

未来を抱く、
ひとりの母になるのだと
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