『祝福の子は二人いる──本物は孤児院育ちの私でした』

丸顔ちゃん。

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第30話 禁術の代償

祝福検査が終わった夜。
エルステッド家の屋敷の地下室。

ラヴィーナは魔法陣の前に倒れ込んでいた。

「っ……はぁ……はぁ……!」

指先が焼けるように痛む。
黒い魔力が逆流した部分が、
まるで毒を流し込まれたように脈打っていた。

(どうして……
 どうして弾かれたの……?)

ラヴィーナは震える手で魔法陣を掴む。


魔法陣が低く唸り、
黒い文字が浮かび上がる。

『祝福を持つ者の光は、
 神聖にして不可侵。
 穢れし魔力が触れれば、
 その身に災いが返る』

ラヴィーナの瞳が見開かれた。

「……返る……?
 私に……?」

その瞬間、
黒い魔力が腕を走り抜けた。

「っ──あああああああ!!」

悲鳴が地下室に響く。

皮膚の下を黒い線が走り、
まるで“呪い”のように広がっていく。

(痛い……!
 祝福なんて……!
 あんな光なんて……!)

ラヴィーナは床を爪で引っかいた。


ラヴィーナの脳裏に、
祝福検査で見たルーチェの光が蘇る。

柔らかく、温かく、
誰もを包み込むような光。

だが──
禁術書にはこう書かれていた。

『癒しの祝福は、
 穢れを拒絶し、
 触れた魔を焼く』

「……癒し……?
 あれが……?」

ラヴィーナは震えた。

(あの光は……
 私の魔力を“浄化”しようとした……?)

(だから……
 弾かれた……?)


ラヴィーナは歯を食いしばった。

「……あの子……
 自分の光の力を……
 分かっていない……!」

禁術書の別のページが開く。

『真なる祝福は、
 持ち主が自覚せずとも、
 危険から身を守る』

ラヴィーナは愕然とした。

(あの子……
 無自覚のまま、
 私の魔術を弾いたの……?)

(そんな……
 そんな力……
 私が勝てるわけ……)

黒い魔力が再び逆流する。

「っ……あああああ!!」



痛みが収まった時、
ラヴィーナの腕には黒い痣が浮かんでいた。

まるで“祝福に触れた罪”を刻むように。

「……こんな……
 こんなもの……!」

ラヴィーナは震える手で痣を隠した。

(誰にも……
 絶対に見せられない)

(殿下にも……
 父にも……
 誰にも……)


ラヴィーナは鏡を見つめた。

美しい顔。
完璧な微笑み。

だがその裏に、
黒い痣が脈打っている。

「……奪えないなら……
 壊すしかないわね」

その声は、
もはや令嬢のものではなかった。

「ルーチェ。
 あなたの光は……
 私の未来を奪う“邪魔”なのよ」

ラヴィーナの瞳に、
狂気の光が宿った。


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