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第52話 闇の中で
エルステッド家が断罪されてから数週間。
ラヴィーナは王宮の地下牢に拘束されていた。
石造りの冷たい部屋。
窓はなく、光も差し込まない。
しかし──
彼女は光を求めていなかった。
むしろ、
光を恐れていた。
ラヴィーナの腕に刻まれた黒い痣は、
日に日に広がっていた。
光が近づくと、
痣が焼けるように痛む。
牢の前を通る衛兵が持つランプの灯りでさえ、
ラヴィーナは悲鳴を上げた。
「やめて……!
光を……近づけないで……!」
衛兵は眉をひそめる。
「光が怖いとは……皮肉なものだな」
ラヴィーナは震えながら壁に背を押しつけた。
(どうして……
どうして光が……こんなに痛いの……)
それは禁術の代償。
“光を奪おうとした者”が受ける、
逃れられない罰だった。
取り調べが始まっても、
ラヴィーナはまともに答えられなかった。
「禁術を行ったのは誰だ」
「……わからない……
わたしじゃない……
でも……わたし……?」
「祝福候補者の失踪について話せ」
「知らない……
知らないはずなのに……
どうして……血が……」
記憶が曖昧になり、
現実と幻覚の境界が崩れていく。
禁術の反動は、
彼女の精神を少しずつ蝕んでいた。
ある日、取り調べ官が言った。
「ルーチェ様の証言によれば──」
その名を聞いた瞬間、
ラヴィーナは耳を塞ぎ、
床に崩れ落ちた。
「やめて……!
その名前を言わないで……!」
「ルーチェ……
光……
光が……来る……!」
彼女の瞳は恐怖で見開かれ、
何かを見ているようだった。
(光が……
わたしを……焼く……)
それは罪悪感ではなく、
禁術が生み出した“闇の呪い”だった。
エルステッド侯爵夫妻は、
禁術への関与が認められ、
爵位を剥奪されたまま地方へ流刑。
ラヴィーナのことを案じる余裕もなく、
家は完全に崩壊した。
ラヴィーナは、
家族からも国からも見放された。
ある日、
牢の前にレオンハルトが現れた。
ラヴィーナは怯えたように後ずさる。
「ひっ……殿下……
光を……近づけないで……!」
レオンハルトは静かに言った。
「光を恐れるのは、
君が光を奪おうとしたからだ」
ラヴィーナは震えながら叫ぶ。
「違う……!
わたしは……祝福の子……
殿下の隣に立つはずだった……!」
レオンハルトは首を振った。
「祝福の子はルーチェだ。
君は……
自分の欲望のために闇に堕ちた」
ラヴィーナの瞳から、
涙がこぼれた。
「……どうして……
どうしてあの子ばかり……
光に愛されるの……」
レオンハルトは答えなかった。
ただ静かに、
牢を後にした。
その後、
ラヴィーナは禁術の反動で
徐々に魔力を失い、
光に触れることすらできなくなった。
最後は、
自分の名を呼ぶこともできず、
ただ暗闇の中で震えていた。
光を奪おうとした者が、
光を永遠に失うという
皮肉な結末。
それが──
ラヴィーナの“その後”だった。
ラヴィーナは王宮の地下牢に拘束されていた。
石造りの冷たい部屋。
窓はなく、光も差し込まない。
しかし──
彼女は光を求めていなかった。
むしろ、
光を恐れていた。
ラヴィーナの腕に刻まれた黒い痣は、
日に日に広がっていた。
光が近づくと、
痣が焼けるように痛む。
牢の前を通る衛兵が持つランプの灯りでさえ、
ラヴィーナは悲鳴を上げた。
「やめて……!
光を……近づけないで……!」
衛兵は眉をひそめる。
「光が怖いとは……皮肉なものだな」
ラヴィーナは震えながら壁に背を押しつけた。
(どうして……
どうして光が……こんなに痛いの……)
それは禁術の代償。
“光を奪おうとした者”が受ける、
逃れられない罰だった。
取り調べが始まっても、
ラヴィーナはまともに答えられなかった。
「禁術を行ったのは誰だ」
「……わからない……
わたしじゃない……
でも……わたし……?」
「祝福候補者の失踪について話せ」
「知らない……
知らないはずなのに……
どうして……血が……」
記憶が曖昧になり、
現実と幻覚の境界が崩れていく。
禁術の反動は、
彼女の精神を少しずつ蝕んでいた。
ある日、取り調べ官が言った。
「ルーチェ様の証言によれば──」
その名を聞いた瞬間、
ラヴィーナは耳を塞ぎ、
床に崩れ落ちた。
「やめて……!
その名前を言わないで……!」
「ルーチェ……
光……
光が……来る……!」
彼女の瞳は恐怖で見開かれ、
何かを見ているようだった。
(光が……
わたしを……焼く……)
それは罪悪感ではなく、
禁術が生み出した“闇の呪い”だった。
エルステッド侯爵夫妻は、
禁術への関与が認められ、
爵位を剥奪されたまま地方へ流刑。
ラヴィーナのことを案じる余裕もなく、
家は完全に崩壊した。
ラヴィーナは、
家族からも国からも見放された。
ある日、
牢の前にレオンハルトが現れた。
ラヴィーナは怯えたように後ずさる。
「ひっ……殿下……
光を……近づけないで……!」
レオンハルトは静かに言った。
「光を恐れるのは、
君が光を奪おうとしたからだ」
ラヴィーナは震えながら叫ぶ。
「違う……!
わたしは……祝福の子……
殿下の隣に立つはずだった……!」
レオンハルトは首を振った。
「祝福の子はルーチェだ。
君は……
自分の欲望のために闇に堕ちた」
ラヴィーナの瞳から、
涙がこぼれた。
「……どうして……
どうしてあの子ばかり……
光に愛されるの……」
レオンハルトは答えなかった。
ただ静かに、
牢を後にした。
その後、
ラヴィーナは禁術の反動で
徐々に魔力を失い、
光に触れることすらできなくなった。
最後は、
自分の名を呼ぶこともできず、
ただ暗闇の中で震えていた。
光を奪おうとした者が、
光を永遠に失うという
皮肉な結末。
それが──
ラヴィーナの“その後”だった。
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