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KATARIBE

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金の枠

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「時代の流れを感じましょう」
そう言って、youtubeの画像は終わった。胸躍らせるような言葉で綴られたその動画は、もう何十万と再生されているらしかった。
灰色の空はいつも太陽を隠し、そして人々はそれを求める。
ロンドンには住めまい、そんな気持ちがあったにはあった。

世界は、経済で回っているのだろうか?人は、もはや数字としてしか価値がないのだろうかという陰鬱さが曇り空とマッチしてさらに重苦しくさせていた。

 そんな時に思い出す事があった。
幼き頃に一度海で溺れたのだ。
何の変哲も無い水遊びも、足元をすくわれた途端、命を奪うゲームへと変貌した瞬間だった。
だが不思議と怖くはなかった。
海水ということもあってか、生物の根元に近かったのからだろうか?
スーと入り込んだ水の中は、溶け出した液体が、まるで自分の全てのようにさえ感じたからだ。
きっとこの海もまた我々を無効化しながらもそれでいて一体をなす。
そんなものになるだろうとぼんやりとしていると。
現実が手足の方からビリビリと訪れた。
不恰好な姿で、動画を見ていたツケが回ってきたのだ。

こんな痺れでさえ、生きてることを感じるきっかけになる。
だが数字的な方向性と、持たざる海を漂う生き物が同じようなものであるようにも感じないのが不思議である。

急激に眠気がやってきて、目を閉じようとしたその時
動画のボタンを押したらしい


「君たちには選ぶ力がある」
「だが残念なことに、大抵は、、、、」
そう言いかけで、俯いた動画の男は、悲痛な顔をして最終回らしい動画は終わった。

目が覚めた思いがした。
「まだ何も始まってない」そう自分に呟いて、とにかく家を出た。


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