クアドロフォニアは突然に

七星満実

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第7章 「夜を征く十字軍」

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 木曜日の夕暮れ。3人もの犠牲者を出した忍足の村は、その事を悲しむかのように、やさしい夕立に包まれていた。
「祐樹、もう少ししたら出発するわよ」
 見慣れない喪服姿で部屋に呼びに来る母さんを見て、圭介の死が何かの間違いじゃないことを、改めて思い知らされる。
「ああ、すぐ降りるよ」
 僕の返事を聞くと、無言で頷きながらドアを閉めて、母さんは階段を降りて行った。
「……と見られており、名取さんの自殺の可能性も視野に入れ、捜査を続ける模様です」
 勢いよくリモコンでテレビの電源を切り、キャスターの戯言を黙らせる。
 自殺なんて、圭介がするはずがない!
 僕は、わなわなと怒りに震えた。ワイドショーは面白がって好き勝手言っているし、警察の捜査状況も芳しくはなかった。圭介が芦間さんと秋浜さんを殺し、自殺を図ったなどという、無茶苦茶な推察をしているのがいい証拠だった。
 正体不明の殺人鬼に、無残に焼き殺された圭介。同級生の、親友の死というものが、これほどまでに辛いものなのかと、僕は深く痛感していた。
(じゃあ、また明日)
 最後に会った圭介は、そう言った。確かに、そう言ってたんだ。また、目頭が熱くなってくるのを感じる。
 ……いけない。今は、悲しんでいる時じゃない!頭に巣くう絶望を振り払うかのように、僕はスックと立ち上がった。窓の外に、目をやる。雨は、まだ止みそうに無かった。



「有沢さん、わざわざすいません。……祐樹君も、ありがとうね」
 圭介の家に着くと、玄関に出てきたおばさんが、気丈に振舞ってそう言った。だけど、目は腫れ上がって充血し、深いクマができていたから、事件の夜からまともに眠れず泣き明かしていたであろう事は、すぐにわかった。
「本当に、こんな事になって……。ごめんなさい、言葉が見つかりませんが……お悔やみ、申し上げます」
 そう言うと、母さんが深々とお辞儀をしたので、僕もそれに倣って深く頭を下げた。
「遺体の状況が酷かったものですから、顔は見ていただけませんが……圭介は、そこで眠っています」
 おばさんの後を追ってわざわざ出迎えてくれたおじさんはそう言うと、僕らを中に入るよう促した。とても、疲れた表情をしている。僕はやり切れない気持ちのまま、昔造りの家の大きな玄関に入り、靴を脱いでおじさんが顔で指した居間へ向かった。
 そこでまず、袈裟を着たお坊さんが座っており、念仏を唱えてるのが目に入った。その目の前の白い布を被せたテーブルの上に、ろうそくやお供え物に囲まれて照れ臭そうにはにかんだ、圭介の写真が飾ってあった。
(よう、祐樹。ゆっくりしていけよ)
 遺影の中の圭介は、いつものように元気な声で、そう言っているように見えた。それは、僕にとってたまらない光景だった。これが本当に現実なのかと、愕然とするより他なかった。
 テーブルの後ろには、真っ白の棺が横たわっている。そのすぐ脇に、丸焦げになった陸上競技用のスパイクが置かれていた。圭介は部活を引退してからも、なぜか普段からそれを愛用していた。最後に会ったあの日も、確かあのスパイクを履いていたように思う。きっと、圭介なりの思い入れがあったのだろう。静かに眠る、圭介。そのそばにスパイクを置いた時のご両親の悲しみは、途方も無く計り知れなかった。
 間の障子を取り払い、ふた部屋続きの広々とした居間には、親族やそのお子さん達に混じって、制服姿の女子が二人で座っていた。凛と、来栖川だった。僕が黙ってそのそばに座ると、母さんも無言のまま隣に腰掛けた。
「それでは、順番にご焼香を……」
 ちょうど念仏を唱え終えたお坊さんが、圭介のおじさんにそう言った。
「はい……」
 おじさんは小さくそう答えると、ゆっくりと圭介の遺影の前で座り込んだ。静まり返った室内で、しばらく、じっと写真を見つめる。おじさんの背中は、いつもよりずっと小さく僕の目に映った。焼香を指につまむと、顔の前に手を持ってきて念を込める。それを二度繰り返すと、うつむいてから両手を合わせてお祈りを始めた。
「……圭介……」
 おじさんが、力なくつぶやく。たっぷりと時間をかけ、最初の焼香が終わる。おばさんがそれに続くと、次いで親族らしき人達の焼香が始まった。そうして一通り焼香し終えた時、おばさんがさっきより目を真っ赤にして僕に言った。
「祐樹君。圭介に、お別れしてあげて」
 おじさんも、隣で頷いた。先に来ていた凛と来栖川を一瞥すると、同じように二人も頷いてくれた。僕は、今自分がすべきことは、心から誠実にこの儀式を遂行することだと思い、深呼吸して気持ちを静かに整えてから、圭介の前に向かった。
(……何をかしこまってんだよ。いつも通りでいいんだぜ)
 棺の中から、圭介が茶化す声が聞こえた気がした。おじさんがそうしたように、僕は正座しながらじっと圭介の遺影を見つめた。写真の中の圭介は笑っていたが、少し、悲しそうにも見えた。見つめるうちに、僕の意思とは無関係に、涙が頬を伝っていることに気付いた。
「圭介……。ごめんな。ごめんな、助けてやれなくて。……俺、なんにもできなかった。親友だ、一番の友達だ、なんて言ってたのに、俺、圭介を助けてやれなかったよ。……ごめん。……ごめんよ、圭介」
 心の奥で秘めていた思いが涙とともに溢れ出し、言葉として流れ出る。圭介がいたから、僕は友達の大切さを知った。圭介さえいてくれれば、生きてさえいてくれれば、他に何もいらなかったのに。そう思いながら何度も謝る僕に、おばさんが近づいてきて、優しく背中をさすってくれた。と同時に、堪えきれずすすり泣く凛の声が、後ろから耳に入ってきた。
「祐樹君と一緒に大人になっていける。……圭介は、そう思っていただろうにな」
 僕の様子を見て、おじさんが無念そうにポツリとそう呟いた。

 その場にいる全員が焼香を終えた後、隣の部屋でおばさんが用意してくれた食事が振舞われた。お寿司に、忍足の郷土料理に、圭介の好物だった料理。そして、ビールや日本酒、色んな種類のジュースなどが並んでいる。母さんは離れた席で、おじさんやおばさん達と話し込んでいた。
「有沢、新木は?」
 オレンジジュースを一口飲んで、来栖川が言った。
「……そう言えば、姿が無いな。学校で話した時は、兄貴と一緒に来るって言ってたけど」
 僕は、周りを見渡しながら答えた。今夜美術室に行くことを、憲ちゃんにも話そうと思っていたのに。
「どうして、こんなことになっちゃったのかな。あんなに、みんなで平和に、仲良く過ごしてたのに……。なんで、こんな……」
 泣き止んでいた凛が、再び目に涙を溜め込んで言った。
「……わからない。わからないから、なんとかしなきゃいけないんだ」
 僕は圭介の遺影に目をやりながら言った。
「……なんとかって?」
「圭介のスマホ、まだ見つかってないの知ってるか?……実は、思い当たることがあるんだ」
「……どういうこと?名取君のスマホがどこにあるのか、知ってるの?」
 凛が驚いて言う。
「確実にそこだ、とは言えないけど、多分そうだと思う。さっき、学校の帰りに思いついたんだ」
「いつ、探しに行くの?」
 僕の答えに、凛が続けざまに聞いた。
「……今日だよ。この後に行く」
 残ったコーラを飲み干すと、僕は力を込めて言った。
「そんなの危ないよ、祐樹!警察に、任せようよ」
 凛は真っ当にそう言いながら、声を荒げた。
「それじゃ遅いんだ。たった3日間で、3人もの人が殺されてるんだぞ。急がないと、もっと犠牲者が増えるかもしれない。……スマホが見つかれば、何かわかると思うんだ」
 僕がそう言うと、凛はさらに強く反対した。。
「かもしれない、かもしれないってさ……。それじゃ言うけど、事件に関わろうとしてる祐樹が、殺されることだってあるかもしれないじゃない!」
 凛の言ったことは、心のどこかで覚悟していた事だった。
「それでも、やらなくちゃいけないんだよ。警察でさえ知らない事を知ってる、僕が」
 何を言われようと僕の意志は変わらない。しかし、凛も引き下がらなかった。
「犯人は、二人いるかもしれないんだよ?祐樹一人でどうこうできるわけないよ!」
 それを聞いて、僕はドキリとした。
「犯人が、二人だって?」
 それは考えてもみなかった事だった。
「芦間さんと千雪ちゃんを殺した犯人が同じだとしても……。名取君を殺した犯人は、別にいるかもしれないじゃない」
 僕は、虚をつかれた気分になった。僕は全ての事件の犯人は同一人物だと、勝手に決めつけていた。しかし凛の言う通り、犯人が他にもいる可能性も、絶対に無いとは言い切れないのだ。
「ねぇ、私も気になってたんだけど……」黙って聞いていた来栖川も、堪えきれず口を開く。「犯人は、どうして火をつけたのかしら。何か、理由があって?」
 確かに、その事は僕も気になっていた。芦間さんと秋浜を殴り殺した後に屍姦した犯人は、なぜ、圭介を殺した時に火をつけたのか?……しかも、一連の事件に、犯人が二人存在している?
 事件解決に寄与したいと強く思っていた僕だったが、凛の意見によって新たな疑念が生まれた事で、新たな恐怖も覚えることになってしまった。
「わからない事が多すぎるし、私は反対よ。……ねぇ、お願いだから、危ない事はやめて、祐樹」
 再び、凛に釘を刺される。が、僕は無言だった。
 ピリリリリリリ。
 ピリリリリリリ。
 その時、いきなりスマホの着信音が響いた。
「いけない!マナーモードにし忘れちゃってた」
 慌てて電話に出る凛。
「……はい、もしもし。……。うん、うん。わかった、今出るね」会話もそこそこに、電話を切って立ち上がる。「パパがもうすぐここに着く、って。私、行かなきゃ」
 おじさんが車で迎えに来てくれたらしい。
「そうか、わかった」
「また明日ね、里見さん」
 僕と来栖川も、凛を見送ろうと立ち上がる。
「うん。恵那ちゃんも、祐樹の事止めておいてね」
「わ、わかった。有沢の事、説得しとくね」
 まさか自分も同行するつもりだなんて言えるはずもなく、来栖川は慌ててそう返事をしたのだった。



 その後、僕も来栖川と一旦別れて家に帰った。お風呂に入り、体を拭きながらさっきの凛の言葉を思い返していた。
(犯人は、二人いるかもしれないんだよ?祐樹一人でどうこうできるわけないよ!)
 殺人鬼は一人だと思い込んでいた僕にとって、その言葉は意外な可能性だった。そしてそれは、犯人の事を何もわかっていない今、簡単に否定できるものではなかったのだ。
 共犯者がいるかもしれない……。それは、犯人に立ち向かおうと奮い立った気持ちに亀裂を与えかねない、とても危険な想像だった。
 秋浜と圭介が会ったのは、パステルの事からも間違いないはずだ。なら、その後二人は別れて、別々に殺されたのだろうか?そもそも、二人の遺体が見つかったのにも大きな時間の開きがあるのだ。そして、なぜ圭介は殺された後(殺される前かもしれないが)、火をつけられたのだろう。アリバイ工作?強い恨み?何か理由がなければ、わざわざ目立ちやすく火を放つ必要はなんて無いはずだ。転校してきた青山君が、まさか本当に事件に関わっているとしたら?彼がやってきてすぐに連続殺人が起きたのは、偶然なのだろうか。そして、10数年前に自殺したという月島雨美の事件は、僕の予想通りに今回の事件と本当に繋がりがあるのか。
 考えれば考えるほど、わからなくなった。着替えを終えると、僕は二階へ上がる。
 わからないからこそ。わからないからこそ、なぜ、どこで、圭介と秋浜が事件当日に会ったのか。まずはっきりとその事実を確かめない事には、前に進めない。……今夜の事、憲ちゃんに話すべきか。僕は部屋に戻ると、スマホとにらめっこしながら、憲ちゃんへの連絡をためらっていた。
 ピロリーン。
 深刻な僕とは裏腹の間抜けな音色で、メッセージの受信音が鳴った。……来栖川だ。
「準備OK。いつでも出れるよ」
 来栖川も、やる気満々だ。だけど……。
 僕は、返信の代わりに電話をかけた。来栖川の連絡先はクラスの連絡グループから知っていたけど、電話をかけるなんて、もちろん初めての事だった。
「もしもし、有沢?」
 そんな事を考えていると、驚くほどすんなりと来栖川に繋がる。
「ああ、来栖川。……あのさ、俺、考えたんだけど……」
「やっぱり一人で行く、なんて言い出すんじゃないでしょうね」
 言い終わらないうちに、要件を見透かされて面食らってしまう。
「確かに里見さんの言う事もわかる。だけど、なんとかしたい気持ちの方が強いのよ、私は。有沢だって、そうなんでしょう?」
「それは、そうなんだけど……」
「万が一何か起こったとして、一人の方が危ないっていうのは放課後も言ったよね。逆に、私に何かあったとして、私一人守れないようじゃ、あなたに事件の解決なんてとても無理だと思うけど」
 次々と正論をぶつけられ、僕は言い淀んでしまう。だけど、来栖川の言う通りだった。
「私じゃ足手まといだって言いたいの?」
 ……そうではなかった。僕は、青山君が教室でお漏らしした時の来栖川の機敏な対応を思い出していた。それに限らず、今まで彼女を見てきた僕にとって、来栖川が付いてきてくれるというのは、とても心強いというのが本音でもあった。
「違うよ。そんなことないさ。ただ、来栖川を危ない目に合わせたくなくて……」
 矛盾しているようだが、これも本音だった。
「わかってるわよ、そんなこと。……でもね、名取のスマホを取りに行くことを決めた時の有沢の顔、すごいカッコよかったよ!だから、私も力になりたいって思ったんだもの」
「か、からかうなよ来栖川」
「からかってないってば。本当のことよ」
 こんな事が起きているのに不謹慎かもしれないが、僕は飛び上がりそうになった。
「と、とにかく、家まで迎えに行くよ。せめてそれぐらいはさせてくれるだろ?落ち合う前に何かあったんじゃ、僕も来栖川を守りようがない」
「……それもそうね。わかった、待ってる。気をつけて来てね」
 来栖川が素直にそう答える。
「ああ、ありがとう。じゃあ、後で」
 電話を切ると、僕は急いでウインドブレーカーを着て、こっそりと家を後にした。

 外に停めてあった自転車にまたがりながら、僕は思った。聖地エルサレムを奪還するため、意を決し遠征した十字軍。僕と来栖川は、彼らのように勇敢に戦えるだろうか。……いや、違う。勇敢に戦うと決めたから、今こうして僕は忍足中学校に向かっているんだ。そんな風に考えながら、秋浜の死体発見現場であり、来栖川の家に続く山道がある、忍足地蔵の社にまで差し掛かった。そこまで来て、僕は自分の身体中に熱いものが駆け巡っているのを実感していた。これは、忍足の平和と安寧を、自分たちの手で奪還するための戦いなのだ。

 秋夜の寒空をひた走り征く道を、満月がの光が淡く照らしてくれている。僕は、忍足を包んでいた悲しみの雨も、いつの間にか上がっていることに気付いたのだった。



第7章 「夜を征く十字軍」
ー了ー
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