13 / 26
第2章 迷宮の異変
新魔法を習得せよ
しおりを挟む
「じゃあ私、行ってくるから。」
「お気をつけて。行ってらっしゃいませお嬢様。」
ローランさんと別れてから2日経った今、ナタリアはあるところへ出掛けていた。
ペンタクールは一週間は宿で安静にするようにルナさんに言われたので療養中だ。
私が出かけると言った時、意地でもついていこうとするペンタクールを説得するのにとても苦労した。
結局、ペンタクールの体調をどれだけ心配しているか涙の演説をしたら感動して引き下がってくれたが。
今から私が向かうところは王都近郊の街道だ。魔物はほとんど出現しないし、ただっぴろい草原が広がっている。
そこへ向かう目的は一つ。新しい魔法を習得したいからだ。
初めての迷宮探索は大失敗に終わった。ローランさんがいなければ2人とも死んでいた。我ながら不甲斐ない。
せめてもう少し魔法の扱いが上手ければピンチを切り抜けられたかもしれない。
今から魔法の威力を上げる練習と新しい魔法の練習をしよう。っと流石に街中で魔法をぶっ放すわけにもいかないので外へ向かっていたのだ。
「ここでいいかな?」
主要な街道から数分歩いたところにある草原に私は腰を下ろした。
まずは現状の私の使える魔法を整理しておこう。
私は手に魔力を込め、杖に浸透させる。
魔法というのは元となる魔力回路に全ての効能が記されている。そこをいじれば違う魔法にも変容したりするのだ。
頭の中に魔力回路を描いてそこへ魔力を流す。
そして詠唱を唱えることなく杖を前に出し
「閃光!!」
杖先から眩い光が飛び出した。日中にも関わらず、とてつもない量の光量でしばらく目が見えなくなる。
今のが私の最大光量。攻撃には使えないがひたすら汎用性の高い魔法なので気に入っている。
次に頭の中に思い浮かべた魔力回路を少し変えて魔力を流してみる。
次は威力を絞りに絞って消費魔力を少なくする。
「導火」
杖先から羽の生えた淡い光が飛び出し、私の周りをくるくると廻る。
これは閃光を省エネにし持続力を上げる魔法。小さな灯りとして利用できる。
私は覚えた魔法を無詠唱で唱えることができる。通常は詠唱することで自動的に魔力回路に魔力が流れ発動するのだが、逆に言えば手動で魔力回路に魔力をながしてしまえば魔法を発動できるというわけだ。
私はこれを頭で思い浮かべてやっている。
それなりに難しい技術らしく、初めてやった時にはいろんな人に褒められた。
だからと言って驕るつもりはない。実際死にかけたし。
次は攻撃魔法
私は杖に魔力を込める。杖の先に風の力が集まるのを感じる。
そして魔力回路でその魔力が渦を描くように設定する。
限界まで魔力を貯めて、一気に解き放つ。
「風の渦」
瞬間、突風が巻き起こり飄を形成する。
風は迷宮で作ったものよりも大きく重そうな石を上空へ吹き飛ばすほどだった。
突風で敵を突き飛ばし、落下死させる。凶悪かつ強力な魔法のはずなんだけど‥
空を飛んでる敵や体重の思う敵には効かないのが難点だ。
そういう意味でもう一つ魔法を覚えたい。
魔力回路の他に魔法を使う上で重要なことがある。
それは術者自身の魔力の性質だ。
魔法にはいろいろな属性というものがあり、魔法を使い続けると自身の魔力がその属性に変化していく。
そして性質の違う魔力で性質の異なる魔法は使えない。
簡単にいうと、炎の魔術師は水の魔法を使えないのだ。
私は今まで使ってきた魔法から風と光の性質を持っている。
が、定着しきっていないのでもう一属性なら手を出せるかもしれない。
魔法の属性は主に5つある。
火、水、風、光、闇だ。そしてその5つをベースとしてさらに分かれていくそうだ。
例えば光から雷、水から氷のように。ちなみに闇の派生の死の魔法は禁術として設定されている。
「うーんどの魔術に手を出そうかなぁ。」
私は貴族出身だった頃に買ってもらった魔術書。
「魔術教本」をペラペラめくり習得魔法を探す。
やっぱり仕留めきれない敵を倒せる火力が欲しいよなぁ。
となると、火か闇か…。水魔法と風魔法はバランスがいいが器用貧乏なところがある。
そして光と闇の魔力は決して共存することはない。
うーん、火の魔術か。火の魔術は原初の魔術と言われ、人類が初めて創り上げた魔術の一種である。それ故派生が最も多い魔術なのだ。
その分、火の魔術は魔力が定着しやすい。
私が火の魔術を覚えたら風や光の魔法に影響は出るのだろうか。
「ええーいままよ!やってみるしかない!」
教本のページをペラペラめくる。火の魔術は序章にまとめられていた。さすが原初の魔術。
本には魔術の説明と、詠唱、そして魔術回路の図が永遠と載っている。魔術回路はすごく複雑で覚えるには難しい。ゆえにそうポンポンと魔法の種類を増やせないので、しっかり魔法を吟味しなければならない。
火球は応用が効くし、多分火の魔術でも簡単な方だけど… どうせならもうちょっとカッコいいやつ…。
炎壁は防御系魔法だし…揺炎は…
魔法を見て、あれじゃないこれじゃないと悩んでいるだけで小一時間経ってしまった。
これじゃ決まらん!!
パラパラとページを流しちょうど止めたとこにすることにした。要するに運任せだ。
なんとでもいえー!
目を瞑りページを数枚めくる。
これだ!
私は眼を恐る恐る開ける。
炎塊
それは古代語で書かれた魔術。古代魔術は森林族の得意とする魔術である。
それが意味することはつまり、ヒュームにとっては非常に難しい魔術という事だ。
「そんなに難しい魔術は嫌なんだけどなぁ」
文句しか言わない私であった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「お嬢様首尾はどうですか?」
ペンタクールが鎧と槍を磨く手を止めて聞いてくる。
「ちっとも進んでません。なんだアレは。」
私は本と睨めっこしながら答えた。
アレとはもちろん炎塊のことである。
練習を始めて早3日。炎の塊どころか、火の粉すら出せていない。
「お嬢様、今日はそこら辺にして休息を取られては?明日はルナさんのところへ服を返しにいくのでしょう?」
「え、あーうん、もうちょっとだけ…明日はペンタも来るの?」
「お邪魔じゃなければご一緒させていただきたく…」
「じゃあ一緒に行こ!」
そう言って私は本に目を落とす。
うーん、やっぱり魔力が風と光の性質に染まりきってるからなのか…それとも魔力回路が複雑すぎて…
あれそれと思案しているうちに視界が暗くなった。
ペンタクールに灯りを消されたのだ。
「あー、暗いよー」
「良い子はもう寝る時間ですよお嬢様。また明日にしましょう。」
「良い子って私はもう17だぞ!結婚だってできるのに…」
「私にとっては17歳はお尻の青い子供です」
…10年後も言われてそうでなんか嫌だ。いいことを思いついた。少しばかり反抗してみる。
「ふーん、別に私にはこれがあるし」
そう言って私は手に魔力をこめる。
「導火」
私から生み出されたその光は私の周りを周り、やがて本を照らす温かい照明になった。
ペンタクールは「あっ」という表情をしたが何も言わなかった。なんやかんや私に甘いなペンタは。
さてさて、魔力回路を解読する続きでもやりますかね~
っと本を見ていると急にペンタクールに話しかけられた。
「お嬢様!それ…」
「ん?」
ペンタクールの示す方向をみる。そこには私の生んだ光球が…
…ん?特に変化も…
「あぁっ!!!!」
私は光球の本当に小さな異変を見つけた。光球の中心に本当に小さな羽虫ぐらいの大きさの炎が生まれていたのだ。
なるほど、私の魔力は炎の性質を持ち始めているようだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ルナさん居なかったね」
「ちょうど入れ違いだったそうです」
翌日、私たちはルナさんに借りていた服を返しに行ったのだが、ルナさんには会うことはできなかった。神殿の人に服とお礼を伝えてもらえるよう頼んできたところだ。
「ところで、そろそろ私も体を動かしたいのですが。体が鈍って仕方がありません。」
そう言ってペンタクールは槍を地面にドンとたてる。
「えー、一週間は安静にって言われてたでしょ?」
「軽い運動ぐらいならセーフなのでは?」
実際、蘇生時の血の気のなさとは裏腹にペンタクールは血色も良く、元気を持て余している…という感じだった。
私は特に反論することもなくいつもの練習場所へペンタクールを連れて行った。
さて、私の魔法はどうなっているのだろうか。私の魔力が火の性質を帯び始めた。逆に言えば今まで使えた魔法に支障をきたすかもしれない。
導火は仄かに暖かい光になったが…
私は杖に魔力を通す。思い浮かべる魔力回路は閃光のそれだ。
「さて、どうなることやら!閃光!!」
それは眩い白い光…ではなくほんのり赤いギラついた光が射出された。
「眩し!!うわぁ、痛、ってお嬢様!魔法撃つ時は事前に言ってください!」
原っぱをランニングしていたペンタクールから非難が飛んでくる。どうやら目が眩んで転んだようだ。
「ご、ごめん!次はいうから」
目をくらませる、といった効能には影響はなさそうで安心した。
「次は風起こすからねー」
一応言っておく、一応。
頭に思い浮かべるは旋風、杖に力を浸透させ風を作り出す。
「風の渦」
杖の先から風が吹き出し、巨大な旋風を創る!
ってあれ?なんだか風の渦が小さいような。
それになんだか暖かい、温風が吹き荒れる。
「え、嘘でしょ!?」
「お嬢様…これは…心地いいですね。なんて魔法ですか?」
「風の渦だけど…」
「ふむ、にしては威力がちょっと弱い気が…」
そう、私の魔力が火の特性をもったおかげか仕業か、私の唯一の攻撃魔法が温風製造機になってしまった。
ま、まじか。
これが色々な属性に手を出すことの危険性だ。今まで使えていた魔法が全く違うものになる可能性がある。
「もう一度!!風の渦」
今回は注ぎ込めるだけ魔力を注ぎ込んでみる。
っと本来の風の渦ができた。攻撃力は大丈夫…ただ…
消費魔力がデカすぎる。熱気に魔力のリソースを割かれてるんだ。
こうなると魔力回路をいじるぐらいしか解決策がない…が、それは非常に高度だしよりおかしくなるリスクもある。しばらくはコストの重い魔法だと捉えておくしかないかぁ。
さて、本命のあの魔法やってみますか。
杖に魔力を貯める。あの複雑な魔力回路を思い浮かべ、教本に載っている詠唱を口にする。
「起こりの火、始まりの炎。神より盗みしこの力。悠久の時を経てここに顕さん。」
周りを流れる魔力が変わった。古びた、物悲しい色だ。
杖の先にどんどん魔力が集まっていき……
雰囲気が変わった!いける!!
私は杖の先を遠くの岩に向けて魔法を放とうとする
「ふぎゃぁ!?」
杖の先端で小さな爆発を起こし私は後ろに倒れた。
その拍子に頭をぶつける。
し、失敗だ。
「なんなのよー!!!」
頭を抑えながら酷く嘆くナタリアであった。
「お気をつけて。行ってらっしゃいませお嬢様。」
ローランさんと別れてから2日経った今、ナタリアはあるところへ出掛けていた。
ペンタクールは一週間は宿で安静にするようにルナさんに言われたので療養中だ。
私が出かけると言った時、意地でもついていこうとするペンタクールを説得するのにとても苦労した。
結局、ペンタクールの体調をどれだけ心配しているか涙の演説をしたら感動して引き下がってくれたが。
今から私が向かうところは王都近郊の街道だ。魔物はほとんど出現しないし、ただっぴろい草原が広がっている。
そこへ向かう目的は一つ。新しい魔法を習得したいからだ。
初めての迷宮探索は大失敗に終わった。ローランさんがいなければ2人とも死んでいた。我ながら不甲斐ない。
せめてもう少し魔法の扱いが上手ければピンチを切り抜けられたかもしれない。
今から魔法の威力を上げる練習と新しい魔法の練習をしよう。っと流石に街中で魔法をぶっ放すわけにもいかないので外へ向かっていたのだ。
「ここでいいかな?」
主要な街道から数分歩いたところにある草原に私は腰を下ろした。
まずは現状の私の使える魔法を整理しておこう。
私は手に魔力を込め、杖に浸透させる。
魔法というのは元となる魔力回路に全ての効能が記されている。そこをいじれば違う魔法にも変容したりするのだ。
頭の中に魔力回路を描いてそこへ魔力を流す。
そして詠唱を唱えることなく杖を前に出し
「閃光!!」
杖先から眩い光が飛び出した。日中にも関わらず、とてつもない量の光量でしばらく目が見えなくなる。
今のが私の最大光量。攻撃には使えないがひたすら汎用性の高い魔法なので気に入っている。
次に頭の中に思い浮かべた魔力回路を少し変えて魔力を流してみる。
次は威力を絞りに絞って消費魔力を少なくする。
「導火」
杖先から羽の生えた淡い光が飛び出し、私の周りをくるくると廻る。
これは閃光を省エネにし持続力を上げる魔法。小さな灯りとして利用できる。
私は覚えた魔法を無詠唱で唱えることができる。通常は詠唱することで自動的に魔力回路に魔力が流れ発動するのだが、逆に言えば手動で魔力回路に魔力をながしてしまえば魔法を発動できるというわけだ。
私はこれを頭で思い浮かべてやっている。
それなりに難しい技術らしく、初めてやった時にはいろんな人に褒められた。
だからと言って驕るつもりはない。実際死にかけたし。
次は攻撃魔法
私は杖に魔力を込める。杖の先に風の力が集まるのを感じる。
そして魔力回路でその魔力が渦を描くように設定する。
限界まで魔力を貯めて、一気に解き放つ。
「風の渦」
瞬間、突風が巻き起こり飄を形成する。
風は迷宮で作ったものよりも大きく重そうな石を上空へ吹き飛ばすほどだった。
突風で敵を突き飛ばし、落下死させる。凶悪かつ強力な魔法のはずなんだけど‥
空を飛んでる敵や体重の思う敵には効かないのが難点だ。
そういう意味でもう一つ魔法を覚えたい。
魔力回路の他に魔法を使う上で重要なことがある。
それは術者自身の魔力の性質だ。
魔法にはいろいろな属性というものがあり、魔法を使い続けると自身の魔力がその属性に変化していく。
そして性質の違う魔力で性質の異なる魔法は使えない。
簡単にいうと、炎の魔術師は水の魔法を使えないのだ。
私は今まで使ってきた魔法から風と光の性質を持っている。
が、定着しきっていないのでもう一属性なら手を出せるかもしれない。
魔法の属性は主に5つある。
火、水、風、光、闇だ。そしてその5つをベースとしてさらに分かれていくそうだ。
例えば光から雷、水から氷のように。ちなみに闇の派生の死の魔法は禁術として設定されている。
「うーんどの魔術に手を出そうかなぁ。」
私は貴族出身だった頃に買ってもらった魔術書。
「魔術教本」をペラペラめくり習得魔法を探す。
やっぱり仕留めきれない敵を倒せる火力が欲しいよなぁ。
となると、火か闇か…。水魔法と風魔法はバランスがいいが器用貧乏なところがある。
そして光と闇の魔力は決して共存することはない。
うーん、火の魔術か。火の魔術は原初の魔術と言われ、人類が初めて創り上げた魔術の一種である。それ故派生が最も多い魔術なのだ。
その分、火の魔術は魔力が定着しやすい。
私が火の魔術を覚えたら風や光の魔法に影響は出るのだろうか。
「ええーいままよ!やってみるしかない!」
教本のページをペラペラめくる。火の魔術は序章にまとめられていた。さすが原初の魔術。
本には魔術の説明と、詠唱、そして魔術回路の図が永遠と載っている。魔術回路はすごく複雑で覚えるには難しい。ゆえにそうポンポンと魔法の種類を増やせないので、しっかり魔法を吟味しなければならない。
火球は応用が効くし、多分火の魔術でも簡単な方だけど… どうせならもうちょっとカッコいいやつ…。
炎壁は防御系魔法だし…揺炎は…
魔法を見て、あれじゃないこれじゃないと悩んでいるだけで小一時間経ってしまった。
これじゃ決まらん!!
パラパラとページを流しちょうど止めたとこにすることにした。要するに運任せだ。
なんとでもいえー!
目を瞑りページを数枚めくる。
これだ!
私は眼を恐る恐る開ける。
炎塊
それは古代語で書かれた魔術。古代魔術は森林族の得意とする魔術である。
それが意味することはつまり、ヒュームにとっては非常に難しい魔術という事だ。
「そんなに難しい魔術は嫌なんだけどなぁ」
文句しか言わない私であった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「お嬢様首尾はどうですか?」
ペンタクールが鎧と槍を磨く手を止めて聞いてくる。
「ちっとも進んでません。なんだアレは。」
私は本と睨めっこしながら答えた。
アレとはもちろん炎塊のことである。
練習を始めて早3日。炎の塊どころか、火の粉すら出せていない。
「お嬢様、今日はそこら辺にして休息を取られては?明日はルナさんのところへ服を返しにいくのでしょう?」
「え、あーうん、もうちょっとだけ…明日はペンタも来るの?」
「お邪魔じゃなければご一緒させていただきたく…」
「じゃあ一緒に行こ!」
そう言って私は本に目を落とす。
うーん、やっぱり魔力が風と光の性質に染まりきってるからなのか…それとも魔力回路が複雑すぎて…
あれそれと思案しているうちに視界が暗くなった。
ペンタクールに灯りを消されたのだ。
「あー、暗いよー」
「良い子はもう寝る時間ですよお嬢様。また明日にしましょう。」
「良い子って私はもう17だぞ!結婚だってできるのに…」
「私にとっては17歳はお尻の青い子供です」
…10年後も言われてそうでなんか嫌だ。いいことを思いついた。少しばかり反抗してみる。
「ふーん、別に私にはこれがあるし」
そう言って私は手に魔力をこめる。
「導火」
私から生み出されたその光は私の周りを周り、やがて本を照らす温かい照明になった。
ペンタクールは「あっ」という表情をしたが何も言わなかった。なんやかんや私に甘いなペンタは。
さてさて、魔力回路を解読する続きでもやりますかね~
っと本を見ていると急にペンタクールに話しかけられた。
「お嬢様!それ…」
「ん?」
ペンタクールの示す方向をみる。そこには私の生んだ光球が…
…ん?特に変化も…
「あぁっ!!!!」
私は光球の本当に小さな異変を見つけた。光球の中心に本当に小さな羽虫ぐらいの大きさの炎が生まれていたのだ。
なるほど、私の魔力は炎の性質を持ち始めているようだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ルナさん居なかったね」
「ちょうど入れ違いだったそうです」
翌日、私たちはルナさんに借りていた服を返しに行ったのだが、ルナさんには会うことはできなかった。神殿の人に服とお礼を伝えてもらえるよう頼んできたところだ。
「ところで、そろそろ私も体を動かしたいのですが。体が鈍って仕方がありません。」
そう言ってペンタクールは槍を地面にドンとたてる。
「えー、一週間は安静にって言われてたでしょ?」
「軽い運動ぐらいならセーフなのでは?」
実際、蘇生時の血の気のなさとは裏腹にペンタクールは血色も良く、元気を持て余している…という感じだった。
私は特に反論することもなくいつもの練習場所へペンタクールを連れて行った。
さて、私の魔法はどうなっているのだろうか。私の魔力が火の性質を帯び始めた。逆に言えば今まで使えた魔法に支障をきたすかもしれない。
導火は仄かに暖かい光になったが…
私は杖に魔力を通す。思い浮かべる魔力回路は閃光のそれだ。
「さて、どうなることやら!閃光!!」
それは眩い白い光…ではなくほんのり赤いギラついた光が射出された。
「眩し!!うわぁ、痛、ってお嬢様!魔法撃つ時は事前に言ってください!」
原っぱをランニングしていたペンタクールから非難が飛んでくる。どうやら目が眩んで転んだようだ。
「ご、ごめん!次はいうから」
目をくらませる、といった効能には影響はなさそうで安心した。
「次は風起こすからねー」
一応言っておく、一応。
頭に思い浮かべるは旋風、杖に力を浸透させ風を作り出す。
「風の渦」
杖の先から風が吹き出し、巨大な旋風を創る!
ってあれ?なんだか風の渦が小さいような。
それになんだか暖かい、温風が吹き荒れる。
「え、嘘でしょ!?」
「お嬢様…これは…心地いいですね。なんて魔法ですか?」
「風の渦だけど…」
「ふむ、にしては威力がちょっと弱い気が…」
そう、私の魔力が火の特性をもったおかげか仕業か、私の唯一の攻撃魔法が温風製造機になってしまった。
ま、まじか。
これが色々な属性に手を出すことの危険性だ。今まで使えていた魔法が全く違うものになる可能性がある。
「もう一度!!風の渦」
今回は注ぎ込めるだけ魔力を注ぎ込んでみる。
っと本来の風の渦ができた。攻撃力は大丈夫…ただ…
消費魔力がデカすぎる。熱気に魔力のリソースを割かれてるんだ。
こうなると魔力回路をいじるぐらいしか解決策がない…が、それは非常に高度だしよりおかしくなるリスクもある。しばらくはコストの重い魔法だと捉えておくしかないかぁ。
さて、本命のあの魔法やってみますか。
杖に魔力を貯める。あの複雑な魔力回路を思い浮かべ、教本に載っている詠唱を口にする。
「起こりの火、始まりの炎。神より盗みしこの力。悠久の時を経てここに顕さん。」
周りを流れる魔力が変わった。古びた、物悲しい色だ。
杖の先にどんどん魔力が集まっていき……
雰囲気が変わった!いける!!
私は杖の先を遠くの岩に向けて魔法を放とうとする
「ふぎゃぁ!?」
杖の先端で小さな爆発を起こし私は後ろに倒れた。
その拍子に頭をぶつける。
し、失敗だ。
「なんなのよー!!!」
頭を抑えながら酷く嘆くナタリアであった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
裏切り者達に復讐を…S級ハンターによる最恐育成計画
みっちゃん
ファンタジー
100年前、異世界の扉が開き、ハンターと呼ばれる者達が魔物達と戦う近未来日本
そんな世界で暮らすS級ハンターの
真田優斗(さなだゆうと)は異世界の地にて、仲間に裏切られ、見捨てられた
少女の名はE級ハンターの"ハルナ•ネネ"を拾う。
昔の自分と重なった真田優斗はハルナ•ネネを拾って彼女に問いかける。
「俺達のギルドに入りませんか?」
この物語は最弱のE級が最強のS級になり、裏切った者達に復讐物語である。
追放されたS級清掃員、配信切り忘れで伝説になる 「ただのゴミ掃除」と言って神話級ドラゴンを消し飛ばしていたら世界中がパニックになってますが?
あとりえむ
ファンタジー
【5話ごとのサクッと読める構成です!】
世界を救ったのは、聖剣ではなく「洗剤」でした。
「君のやり方は古いんだよ」 不当な理由でS級クランを追放された、ベテラン清掃員・灰坂ソウジ(38歳)。 職を失った彼だったが、実は彼にはとんでもない秘密があった。 呪いのゴーグルのせいで、あらゆる怪物が「汚れ」にしか見えないのだ。
・神話級ドラゴン
⇒ 換気扇の頑固な油汚れ(洗剤で瞬殺)
・深淵の邪神
⇒ トイレの配管詰まり(スッポンで解決)
・次元の裂け目
⇒ 天井の雨漏りシミ(洗濯機で丸洗い)
「あー、ここ汚れてるな。チャチャッと落としておくか」
本人はただ業務として掃除をしているだけなのに、その姿は世界中で配信され、人類最強の英雄として崇められていく! 可愛い元ダンジョン・コアや、潔癖症の聖女も入社し、会社は今日も大忙し。 一方、彼を追放した元クランは、汚れ(モンスター)に埋もれて破滅寸前で……?
「地球が汚れてる? じゃあ、一回丸洗いしますか」 最強の清掃員が、モップ片手に世界をピカピカにする、痛快・勘違い無双ファンタジー!
【免責事項】
この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは関係ありません。
※こちらの作品は、カクヨムと小説家になろうでも公開しています。
田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした
月神世一
ファンタジー
「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」
ブラック企業で過労死した日本人、カイト。
彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。
女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。
孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった!
しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。
ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!?
ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!?
世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる!
「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。
これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発
ハーフのクロエ
ファンタジー
アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる