ドS皇子が婚約破棄までして歳上教師の俺に求愛してくる

Q矢(Q.➽)

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19 スマホ、復活。

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「今しがた届きましたよ、充電。」


充電を頼んでみた翌日。
そう言いながら宇城がニコニコしながら部屋に入ってきた時、俺は隠月を無理矢理付き合わせての、2人ぼっち男子会の真っ最中だった。
2人ぼっち男子会とは…。
結構我儘が聞いて貰える事に気づいてしまったふてぶてしい俺が、よくアフタヌーンティー的なやつで出てくるような何段ものスイーツ等があると聞いてそれを頼んだ結果、一人では無理だと判断して 隠月と共に何とかする事にした、俺主催のスイーツ食べ放題の会である。

向こうでは食に関心を持てる程、時間にもゆとりが無かったから…。
もう帰れそうには無いと知ってしまった以上、俺は此処でより良い人生を送るべく、娯楽を追い求める事にしたのだ。
…まあ、開き直りとも言う。
でも、凄い高い何かが欲しいとかそんな事は言わないから、これくらいの贅沢は許して欲しい。

宇城が来たから隠月がサッと立ち上がって、宇城の為の席を別に整える。


「…私を呼んでくれたら良かったのでは?
そうすれば、3人で普通の男子会とやらになったのでは?」

部屋の入口から、俺達の座る窓際のテーブルに歩いてきた宇城がクレームを付けてきた。

「でも、皇子様はご多忙かと思って。」

俺が、本来サンドイッチのいる辺りに鎮座している肉饅頭を頬張りながら答えると、宇城は ハァ…と息を吐いて、隠月が引いた椅子に座った。
直ぐに宇城の前に温めた茶器が置かれ、茶が注がれる。
手際が鮮やか過ぎて、人間じゃないみたいだな、隠月って。

宇城は俺のティーカップの横にコトリとスマホを置き、その横に小さな薄くて四角い1センチ四方の黒い何かを置いた。

俺がスマホを手に取り、横の電源ボタンを軽く押すと、画面がパッと明るくなり、見慣れたアイコン達が出た。

「わ、ありがと。どうやったの?」

「差し込み口に合わせて作らせました。」

「…え?あ、充電器を?って事?」

「そうですね。」

では、その充電器はくれないのか?

「その黒いものが、えー…携帯式バッテリー?のようなものです。」

「えっ、これってSDカードじゃないんだ?!」

俺は驚いた。このSDカードに酷似した物がバッテリー?

「1ヶ月はそれで持つらしいですが、また持って来ておきます。」

「い、1ヶ月?!これで1ヶ月も充電要らずなの?!すご…ありがとう…!」

何てすごいんだ、この世界。便利極め過ぎでは。

「そういう類の機器の資料が、もう何十年も前の物しか無くて。」

「え…なら電話とかメールとかSNSとか、どうしてんの?」

「そういう機器は必要無いですね。」

そう言うと宇城は、壁に向かって手を翳した。

途端に壁一面に幾つものアイコンのようなものが投影される。

「機器を持ち歩く者は居ません。購入決済もネットワーク通信も、あらゆる全ては個人の体ひとつで賄われます。」

「…えぇ…。」


呆気に取られる俺。思ってた以上に、凄い。凄いけど…。
これって向こうに行った方の俺、今頃、かなり困ってるんじゃないの?
俺がいた世界じゃ、生体システムでの決済なんて導入して間も無い段階だった。普及するには未だ時間を要するって感じだ。

こんな便利に慣れ切った体であっちの世界に行っちゃって、何も無くてどうしてるんだ。せめて俺のリュックは拾ってるんだろうな?

腹の立つのは変わらないが、こんなのをまざまざと見せられたら、妙に心配になってしまう。
違う世界とはいえ、"俺"が野垂れ死にとか、目覚めが悪いじゃん…。

マジでどうしてるのかな。実家がこっちと同じ場所にあるとは限らないし、スマホもこっちだし、頼る人間なんかいないだろうに。

俺はそんな事を考えながら画面を繰る。
いくつかのアイコンをタップしてみたが、やはりネットワークに接続されていないの文字。当然か。

フォトをタップすると、それは問題無く見られた。

「へえ、あちらの?」

「あんまり撮らないんだけどな。」

表示したのは今年の初め、実家に帰った時に友人達と近所の小さな神社に初詣に行った時に、鳥居をバックにして撮影したものだった。

実家の辺りには今でも、小中高と同じだった幼馴染みが数人住んでいる。

早くも結婚して家業を継いでる奴もいれば、役者になる夢を追ってる最中の奴もいる。俺が家を出てからは年に一度会えるかどうかになってしまったから、久々に皆が揃った貴重な写真だ。

「…もう、皆とは会えないんだよな…。」

口に出してみても、未だ現実味は無いけれど。

写真を一覧に戻して、次々観ていくと、アパートの近所の川沿いの歩道を歩く馴染みの野良猫を撮った時の画像なんかも出てきた。宇城が覗き込んでくるから、隠月も物珍しそうにしている。
2人にその時の事を説明したりしながら、この日の男子会はなかなか盛況の内に幕を閉じたと思う。




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