憎くて恋しい君にだけは、絶対会いたくなかったのに。

Q矢(Q.➽)

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マオ、オシャレに目覚める。(レオside)



 複雑だ。


 マオが洗面所の鏡に向かって髪をセットしてる。
 僕のワックスなんか使っちゃったりして。


「オシャレしてんの?珍しいじゃん」
「今度のデート用に今からヘアスタイル模索してんの」
「…ふーん」

アイツの為にかあ~。ふーん。
面白くない。
 最近マオは服や髪に気を使うようになった。アイツと付き合い出しちゃったからだよな。
 マオはナチュラルなのが魅力なのに、一生懸命髪なんか弄るようになっちゃって、せっかくふわふわした髪がワックスのつけすぎでべっとりだよ。何?オールバックにでもしたいの?

 はぁー…。俺のマオがアイツに毒されていってしまう…。

「レイは大人だからさ。俺もちょっと大人っぽくしたい」

 今生、年の差があるからマオは少しでもアイツに追いつきたいんだろう。

 確かにイケメンとはいえ30歳の男と15歳の少年では犯罪臭が否めない。アイツ、マオが18になる迄手は出さないとか言ってたけど本当だろうな?

 前世でマオの中にいた俺だ。

 アイツとマオが元々の伴侶同士なのは嫌って程わかってるけど、ずっと一緒にいたマオを、横からカッ攫われたみたいな気分になってて腹が立つ。

「なんか上手くいかないなあ…」

 鏡の前で四苦八苦してたマオが呟く。いきなり慣れない事するからだぞ。

「俺とマオじゃ全然髪質違うじゃん。それにどのワックスでもそんなに量使っちゃ上手くいかないよ」
「…そうなんだ…」

 あからさまにガッカリするマオ。

「レオが何時も簡単にやってるから大丈夫だと思ったのに…」

 しょんぼりさせてしまった。
ヤバい、フォローせねば。

「明日、帰りにドラッグストアついてってやるからマオ用のソフトワックス買お。
選んでやるよ」

 そう言うと、マオの表情がぱあっと明るくなった。

「ほんと?」
「ほんとほんと」

 マオに選ばせたらロクな事にならない予感しかしないから。

「明日帰りに教室迄迎えに行くから 俺とも放課後デートしような」
「……デートじゃないじゃん。買い物付き合ってくれるだけじゃん」
「だから買い物デートだろ。ついでに俺の買い物も付き合ってよ。靴見たいから。
んで、行ってみたいカフェにも付き合ってよ」
「…カフェ?」
「ホワイトチョコのガトーショコラが美味いんだって」
「楽しみだね」

 渋ってたのがいきなりすごい乗り気になった。甘いもの、好きだもんね。

「とりあえず今日はその髪洗っちゃいな」
「うん。ガトーショコラか…」

…まだ言ってる。




翌日、放課後。
僕は授業が終わるとさっさとリュックを持ち、2クラス隣のマオの教室迄向かった。

「マオー、帰るよー」
「あっ、レオ、ちょっと待って」

 最近マオが "うん" 以外の返事をするので嬉しい。
 マオはこの間の話以来、僕と一気に打ち解けて話してくれるようになった。少し前迄は俺が一方的に構う感じだったけど、今では普通に仲の良い兄弟だ。
 学校でも、クラスメイト達はマオの変化に直ぐ気づいたようで、

「双子、仲良くなったの?」
 
とよく聞かれる。

 やっぱり仲良くは見えてなかったんだな。僕が構って話しかけても、マオの返事鈍かったもんな。顔も無表情気味だったし。

 それがある日を境にいきなり普通になったんだから不思議に思うのも無理は無い。
 でもその後で、

「許してもらえてよかったね」

と、慈愛に満ちた表情で言われるのがなんか、何も知らない癖に的を射ててヤダなと思う。

 皆、僕がなんかやらかして、マオを怒らせてたと思ってたんだな…。
 僕ってそんな奴に見えるのだろうか。
 軽くショックだ。


 マオはリュックに荷物を入れて、椅子の背に掛けてあった制服の上着を着て、青いマフラーを巻く。それで手袋をして、上着のポケットの中の携帯用カイロを取り出して触ってみて、

「よし、大丈夫」

と言って僕を見て頷いた。


…そっか。よかったな。
完全防寒だな。


 寒がりのマオが面白い。

そして僕達は学校を後にした。








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