お前に無理矢理性癖変えられただけで、俺は全然悪くない。

Q矢(Q.➽)

文字の大きさ
12 / 12

【最終回】作戦勝ち。 (※R18描写あり)

しおりを挟む



「あ、あ、ん、んん…っ」

「凛くん、凛、好き、好き…。」




両手を拘束され、ひたすら足ばかりを責められた。

10本の足指を1本ずつ、数分ずつは舐め、食み、しゃぶる、吸う。

まるでそれが性器であるかのように。

足首を舐めあげては、ふくらはぎに愛しげに頬擦りをして、太腿には執拗く吸い付き鬱血痕を満遍なくつける。
この辺りの筋肉の付き方がそそるとか、足首のくびれ方がエロいとか、時には篠井は俺の脛にペニスを擦り付け、自分の白濁で俺の足を濡らす。

そして、足に射精されて感じている俺を見ながら悦に入るのだ。病気だ。

地球上に俺くらいじゃないのか、こんなに足にキスマをつけてる男なんて。

毎日毎日、足ばかりを嬲られ、ねぶられ、最初は擽ったさと気色悪さともどかしさばかりだったのが、何時の間にか敏感になり、性感帯にされる。

とうとう足を愛撫されてるだけでペニスが張り、ダラダラと先走りを垂れ流すようになってしまった。


俺の体が篠井に作り替えられていく。
それも、かなりヤバい方向に。

俺は焦った。


「何でそんなに、足ばっか…。」


ある日、耐えられなくなり俺は聞いた。


すると篠井は、



「だって、足を性感帯にしちゃえば、そこをこんなに可愛がれる俺から離れられなくなるでしょお。」

と、笑ったのだ。


ゾッとした。


次は腋らしい。 
腋ってなんだ。
腋をずっと舐めたり吸っ
たりすんのか。
倒錯的どころの次元じゃなくなるぞ、もう。



「愛撫するのを嫌がる人が多い場所を重点的にしていこうと思ってさあ。」


篠井は俺の体をぬるま湯で濡らしたタオルで拭き浄めながら、

「でも案外、少ないんだよね、そういう場所って。
凛くんの体はどの部位でもご褒美だしさあ。」

と抜かした。

部位…。


「他の奴では物足りなくなれば、俺の価値が凛くんの中で少しは上がるでしょ?
そうしたら、俺の事も、好きになってくれるよね。
そんで、俺の子も産んでくれるよね。」




そう言って俺の硬い腹を撫でて微笑んだ篠井の目はやはり澱んでいて、俺は何も言えなくなった。


篠井は甲斐甲斐しく俺の世話をする。

2日に1度は風呂にも入れてくれるし、食事は簡易なものが多いけれど、肉や野菜のバランスは悪くない。それを手ずから食べさせてくれる。
手の拘束を解く事は無い。

更に、篠井が長時間俺から離れる事も無い。

食料の調達はどうしているんだろうか。




篠井は時折、口癖のように呟く。まるで俺に言い聞かせるように。


「俺ね、幸せだよ。

今が一番、幸せ。
誰にも邪魔されないもんね。余計な余所見する暇もないくらい、凛くんを見てなきゃいけないし。

もし…もし、凛くんが居なくなっちゃったら、俺…」




ーなにするか、わからないよ。ーー






篠井は暗い目で微笑って、今日も俺の身も心も縛る。



逃げようと思えば、逃げられるのだ。

手枷の造りはチープで、足枷も無い。

見たとこドアの鍵だって壊せなくもなさそうだし、それに…手が使えなくても、足が使えれば十分篠井1人くらい倒せるのだ。

けれど、それが出来ないのは、俺が逃げた後、彼奴なら本当に何か仕出かすと確信があるからだ。

それが篠井自身に向くのか、無関係な他人に当り散らすように向くのかがわからないから怖い。



…いや、篠井がどうなろうと構わないじゃないか。

…でも…。


俺は、篠井に毒されているんだろうか。

それとも、実は心地よく思っているのだろうか、
篠井が俺以外の誰かと何処かに行く事の無いこの状況を。
純粋に俺一人だけしか篠井の世界に存在しない、俺だけを見て俺だけを独占したがるこの男を、俺は…


(愛してでも、いるってのか…?)


いやそれはねえだろ。

そんな馬鹿な。
そんな筈が無い。
この異常な状況に脳がバグを起こしているだけだ。



会社ももうどれくらい休んでいるのか。1週間は経っていそうだ。
疎遠気味の家族はともかく、そろそろ上司や井上辺りが騒ぎ出しそうな気もする。


「俺、どうしたいんだろ…。」


俺はスウェットの上だけを着せられて剥き出しになった、鬱血だらけの足を見ながら溜息を吐いた。



篠井がマジでイカレちまったのかはわからないが、どの道彼奴はもう俺を離さないんだろうって、そう感じる。

俺は戻れないとこ迄連れて来られてしまったのかもしれない。


だって、篠井の言う通り、
こんな性癖つけられちゃ、他の誰とも寝られやしねえ。とんだド変態だ。



彼奴の作戦勝ちだ。



「俺に変な癖、付けやがって…。」


足を弄られなきゃ、イケないなんて。

篠井を選ばなきゃならなくなるじゃねえか。

篠井のせいで。
篠井のせいだ。 


だから。

 
「俺は悪くない。」



体に染み込まされた欲と情にまんまと引き摺られて、例え此処から一生、逃げださなくても。


 
俺をこんな風にした、お前が悪い。






    


しおりを挟む

この作品は感想を受け付けておりません。

あなたにおすすめの小説

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう

水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」 辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。 ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。 「お前のその特異な力を、帝国のために使え」 強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。 しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。 運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。 偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた

翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」 そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。 チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

【BL】捨てられたSubが甘やかされる話

橘スミレ
BL
 渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。  もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。  オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。  ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。  特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。  でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。  理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。  そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!  アルファポリス限定で連載中  二日に一度を目安に更新しております

ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました

あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」 完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け 可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…? 攻め:ヴィクター・ローレンツ 受け:リアム・グレイソン 弟:リチャード・グレイソン  pixivにも投稿しています。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。

批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。

処理中です...