ちっちゃいもふもふアルファですけど、おっきな彼が大好きで

Q矢(Q.➽)

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僕が進学先に選んだのは自由な校風で知られる私立・岩清水男子高等学校。別に近所に岩清水湧いてるとかじゃないし地名でもないし創設者の名前は加藤だし、校名の由来謎だけど良い高校だよ。
賢い僕は勿論特進Sクラスになった。だってアルファだし。
実は僕、中学までって自分の他のアルファって大人ばっかり5、6人しか会った事がなかった。その内2人は学校の先生。
生徒に居なかったのは、バース検査が中学卒業前にしかないから。個人差はあるけど、平均の覚醒年齢が大体それくらいだからだろうね。
アルファが多い地域があるならもっといるのかもしれないけど…。オメガに至っては、2人くらいかな。
オメガの人は番を持たないフリーだと隠してる人も多いみたいだし、番になってたらなってたで、相手のアルファが表に出したがらない事も多いんだって。だから遭遇率が低いのかな。

だけどさ、高校に上がってみたら、自分のクラスだけでアルファが25人中僕を入れて6人もいた。他はベータ。優秀なベータ。でも、わかるんだね、アルファ同士って。どんだけ優秀なベータがいても。
そんな特進クラスは皆、当然というか、大柄な生徒が多かった。純人のアルファが3人、獣人のアルファが僕入れて3人。
そんで、35人中18人が純人、17人が獣人。
僕の他の獣人アルファは、熊と狼。
…アルファは体格が良いってのは世界の常識だけど、本当に大っきい。
僕はちょっぴり萎縮してしまった…。
僕、実はアルファの割りに身長がまだ160センチしかない。覚醒したてだからこれから伸びるとは思ってるけど…レッサーだからここ止まりとかだったらどうしよう?!
そんな事を考えながら他のアルファ達を見て少し落ち込んでた。

でも、そいつらを始め、クラスメイト達は皆良い奴ばっかりだったよ。

まず、隣の席になったのは純人ベータの湯川君。彼は初日の1時間目の自己紹介が終わっての休み時間、開口一番に

「耳触って良い?」

って言ってきた強者だ。
言われた僕は一瞬固まったんだけど、湯川君がそう言ってきたのにも理由があった。

中学まではベータに擬態してた僕だったけど、アルファ判定出てからは自分の獣性を隠さない事にした。だって、必要無いでしょ?それに、人間のアルファより獣人のアルファの方が強いってのも世の常識。いわば、獣人アルファの僕は無敵って事だし。
そんな訳で人型だけど耳と尻尾は解除した状態で登校するようにした。クラスの他の獣人ベータ達も、大体似たような感じで来てたし。猫とか犬が多い印象だけど、シマウマとか狐もいるし、変わったとこでは鷹とかも居る。
やっぱSクラスに来るくらいだから、小動物系はいないのかな。なんかクラスで僕が一番ちっちゃくない?アルファなのに。

まあ、それは置いといて。つまり湯川君は僕のレッサーパンダ部分を触りたいって事らしい。

湯川君はキラキラした目で僕を見つめてきて、なんか断りにくかった。
高校ではクールキャラでいこうと思ってたのに出鼻をくじかれた…。
でもアルファたるもの、度量をでっかく持たなきゃね。
僕は湯川君を見つめ返して、

「いいよ」

って答えた。
そしたら、湯川君は最初、そうっと耳を触ってきて、それから徐々に大胆にモフり始めた。

「し、しっぽも…しっぽも、良いかな?!」

なんか湯川君の息が荒くなってきてて、正直断りたかったけど、そうするとケチ臭いとか言われそうだなと思って、つい頷いてしまった。

「うわあ…ふわふわだぁ…」

僕のしっぽを両手でもふもふしながら自分の頬っぺたにあてて恍惚としている湯川君。わかるけど。僕のしっぽが魅力的なのはわかるけど。初対面でそれはどうなんだろう。
それで、そろそろ良いかなって引っ込めようとしたのに、何故か他のクラスメイトも集まって来てしまった。

「次、俺も良い?」

「俺も」

「…」

猫とか犬とか、他の触り易そうな獣人ベータもいるのに何で僕に来る…。というか、その他の獣人達も触りに来てるの、何で?

「わ、吉田のしっぽモフワァってしてる~」

「俺のは細いから新鮮」

「僕のはフサフサだから手触り違うなあ」

「……」

何だろう、これ。
アルファってもっと、こう…。
こんなに親しまれる感じじゃなくない?イメージ的に。
もっと尊敬とか畏怖とかの対象じゃない?だってその証拠に、他の熊と狼獣人アルファのとこには誰も触らせてなんて言いに行ってなくない?

「おお~、俺、初めて触ったわ、レッサー」

「俺も。しっぽ凄い太いな、シマシマだし」

「………」


触らせて要請はされてないみたいだけど、熊と狼、2人とも僕をモフりに来てた。

…なんか…なんか、思ってたんと違う…。



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