ちっちゃいもふもふアルファですけど、おっきな彼が大好きで

Q矢(Q.➽)

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みずき君は長い間ホルモンバランスが安定しなくて大変だったんだね。抑制剤って100%じゃないのかあ…。僕もアルファとしては色々遅れてるらしくて不安定みたいだけど、体調悪くなるとかは無いからまだラクなんだな。オメガになると色々大変っていうか、リスクだらけだって石雲先生も言ってたし。でも背がすくすく伸びたみたいなのはうらやましさMAXだよ…。やっぱり獣種の違いなのかなあ?

……じゃなくて!


「それはわかったけど…」

言いながら僕は1個目のおにぎりを平らげて、いよいよ照り焼きに手をつける事にした。
おかず段をそのまま持つと重くて食べにくいから、それはそのまま置いて、取り皿に照り焼きを乗せながらそう言ってみた。あくまで何気ない事を聞く感じで。
照り焼きってハンバーグでもチキンでもブリでも美味しいよね。
うーん、肉汁じゅわって出てくる。最高。

……じゃなくて!!(2回目)

「あのさ、みずき君」

僕はこの流れで一番聞きたかった事を聞かなきゃ、と気づいた。

「お医者さんにね、言われたんだ。獣臭とフェロモンで二重についてるって。
みずきはなんで僕にそんな事したの?」

回りくどいのも感じ悪いかなと思って、直球で疑問を投げてみる。みずき君の動きがまた止まった気配がしたけど、そのまま食べ続けとく。普通にしてる方が答えやすいだろうなと思ったから。…ごめん嘘。すごくお腹空いてたからです。


「逃がしたくないなと思って」

不意にみずき君が答えてくれて、僕はちょっと意味を理解するのが遅れた。
逃がしたくない…獲物的な意味かな…。でも獣人は他の獣人を捕食したりはしないから、僕は一瞬頭に浮かんだ物騒な考えを打ち消してみずき君に聞いてみた。

「どゆこと?」

「…き」

「えっ??」

みずき君の声が聞き取りにくくて食べる手が止まる。するとみずき君が立ち上がった…と思ったら、僕の前に片膝をついて顔を見上げてきた。
なにそれ王子様じゃん。目をぱちくりしてたら、みずき君は真剣な顔で僕を見つめて、言った。

「好き。」

「え……」

時が止まるって、こんな感覚なのかな。

好きって言葉を聞いた瞬間。風の吹き抜ける音とか、木々のざわめきとか、校舎の中から聞こえてくる話し声とか、そういう音が全部消えてしまった。

「俺、ランに一目惚れした。好き」

耳がみずき君の声しか拾わなくなって、みずき君の瞳に目が釘付けになって、動けない。

「だから他の奴に取られたくなくて、匂いつけた。

ごめん」

「…す、き…?」

「好き。LIKEじゃなくてLOVEの好き」

LOVE。愛。つまり、恋愛の好き。
みずき君はオメガで、恋愛の意味で僕を好きで、マーキングしたってこと?
全部、石雲先生が言ってた通り。
でも先生の推測でサラッと聞かされたのと、みずき君本人から直に言われたのとでは、インパクトが全然違う。

心臓、ドキドキする…。
だんだん顔が熱くなってく。
僕を見るみずき君の目は陽の光を反射して、金色に見えて綺麗。

僕は膝の上に乗せてた取り皿を横に置いて、震える声でみずき君に言った。

「ぼ、僕も…」

なんかね。
みずき君がLOVEの意味で好きって言ってくれた途端、胸の中でモヤモヤしてたのが、ストンって感じで腑に落ちた。

そっか、それだ。

イケてる友達とか先輩とかにカッコ良いって思ったり憧れたりは結構ある事だけど、綺麗とか可愛いとか一緒に居たいとか。まだ何度も会ってないのにこんなに気になって好きになってるのって、友情のLIKEとは明らかに違うじゃん。別種じゃん。その人の事で頭がいっぱいになるのって、完全にLOVEじゃんね。

「ラン」

体中が心臓になったみたいに脈打って、動けなくなった僕の手にみずき君の大きな手が重なる。

「俺、ランに会った時、運命だって思ったんだ。」

「う、ん…めい?」

「そう、運命。でも、運命だからってだけじゃなくて…」

「?」

みずき君が座ったまま少し伸びをした。顔が近づいたと思ったら、唇にみずき君の唇が触れた。

あっという間の事だったから、みずき君にキスされてるって理解するのに5秒くらいかかった。
でもキスされてるのがわかっでも、全然嫌じゃない。逆に、とっても気持ち良い。ずっとこうしていたいって思うくらい。
みずき君の綺麗な形の唇は、柔らかくて、あったかくて、いい匂いで、僕は夢見心地になった。
キスしてる間も周りはずっと静かだった。まるで世界中に僕とみずき君2人だけみたいな。

しばらくして、唇を離された時、なんだか寂しいような気分になって目を開けた。
そしたら目の前には、キスする前より蕩けたみたいな、上気して頬が赤くなった、綺麗な顔。

ずくん、って大きく脈打ったのは、心臓じゃなくて別のとこ。
だってみずき君、なんかすごく…。

って、あらぬやらしい事を考えてたらみずき君がとろんとした顔のまま僕に言った。

「ラン。大好き。可愛い、ラン。付き合って。
付き合ってくれなきゃ、俺…何するかわかんない」

「ひょえっ…」


素敵な告白してくれたと思ったらラスト一文が不穏で、ちょっとチビりそうになっちゃったです。







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