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僕、思うんだけどさ。
5時間目の古典、6時間目の現社って時間割り、誰が決めたんだろうね?学務主任の先生?もっと上の教頭先生とか校長先生?
良くないよね、絶対良くない。眠くなる系の授業2連は良くない。せめてバラすか、できたら昼ご飯前に配置してください。一番前だから眠くなるの、超困るんです。
…なんてプンスカしながらやっと放課後。帰りのSHRの後、リュックを肩に背負って、皆にさよなら~!と手を振って、僕は教室を飛び出した。素早さには自信があるしね!みんな、お、おぉ、みたいな顔してるけど、また明日!帰りくらいは僕がみずき君を迎えに行かないといけないんですよ、彼氏として!…ん?でもみずき君も男子だから、みずき君も僕の彼氏だな…。
あ、来週は清掃当番の班だから一緒に帰れないかもって言っとかなきゃ。
走っちゃいけない廊下をした事のない競歩っぽく進んで、目指すCクラスの前まで来た時。後ろの出入り口が開いてみずき君が出てきた!
「みずき君!!」
「ラン!!」
僕の声に即反応して満面の笑顔でこっち見たみずき君、ま、まぶし…っ!
イケメンまぶしっ!全っ然見慣れない!!
それでも勢いがついてた僕は急には止まれなくて、そのままみずき君の胸にダイブしてしまった。ごめん。
でもみずき君はさすみずなので、軽々と受け止めてくれる。僕のこ、恋人…頼もしい…。
「ラン、あんまり早く歩くと危ない」
「ごめなしゃ…」
めちゃ優しい声で注意されてしまった。気をつけます。
みずき君の後から教室を出て来たCクラスの生徒達や他のクラスの生徒達に横を通り過ぎながらチラチラ見られて、流石に気恥しい。落ち着き無いって思われてるかも。
いけないいけない。みずき君の恋人になったんだから、アルファらしくちゃんとしなきゃ。
…でも、なんだろ?
みずき君の胸…ちょっと弾力あって気持ちいい…。
「…ラン?大丈夫?」
「…はっ!」
しまった。ちょっと東北の林檎園にトリップしてた。
「だ、大丈夫!」
我に返った僕はシャンと立って、凛々しい顔を作って大丈夫さをアピール。…しかしあれだね、みずき君の背が高くて至近距離で立ってると見上げなきゃいけないから首が疲れるね。
「じゃ、帰ろっか。…あ、ランさ、りんご飴好き?」
もはやナチュラルに手を繋ぎながらそんな事を聞いてくるみずき君。え、りんご飴って、あのお祭りの時に食べられるやつ?!屋台のやつ?!
「好き!」
「食べたい?」
「え…どっかでお祭りやってるの?」
「んーん。岩清水駅のいっこ向こうの駅前商店街の中にりんご飴専門店があるんだって」
「そうなの?!りんご飴ってお祭りにしか作れないかと思ってた…」
りんご飴専門店。
僕はその未知のワードにごくりと唾を飲み込んだ。
嘘でしょ…?
いつ食べてもジューシーで爽やかなりんごに甘~い飴のパリパリハーモニー…。あの奇跡のマリアージュがお祭り以外の日でも食べられるってこと…?
「ん~、材料自体は単純だからね」
「は…言われてみれば、そうだよね」
何で今まで屋台でしか無かったんだろ…?
「ちょっと良いりんご飴らしいよ。行く?」
ちょっと良いりんご飴とは…って一瞬思ったけど、そんなの…。
「絶対行くに決まってるじゃん!!」
僕の答えにニコッと笑ったみずき君と、りんご飴屋さんにれりごー!!
周りの生暖かい視線は気にしないものとする~。
専門店。それは、特定のジャンルの商品を販売するお店。
みずき君が連れてってくれたりんご飴屋さんは専門店の名に恥じない、思わず(こんなんアリ?)と真顔になってしまうようなすんごいりんご飴を販売しているお店だった。
「…ごめん、みずき君。僕ね、もしかして自分で思ってたよりキセイガイネンってやつに囚われてる人間だったのかも…」
「既成概念?」
「そう。僕って小さい人間なんだなぁ…」
「また急に面白……難しい事言い出してどうしたの?」
お店の前にお客さん用に設置されてる木の丸椅子にそれぞれ腰掛けながら僕らはそんな話をしてる。
「僕はね、今日ここに来るまで、りんご飴は割り箸に刺さってるものだと思ってた」
空を見上げながらそう言うと、みずき君がブフッと変な音を出しながらすごい速さで顔を横に向けた。でも僕は構わず話します。
「時代は常に進歩してるんだね」
僕は、みずき君が手渡してくれたりんご飴に視線を戻し、じっと見つめる。そして、リュックからスマホを出して写真を撮った。みずき君が、『恋人初日記念だよ』って奢ってくれたりんご飴は、僕の知ってるりんご飴とは一線を画していた。
だってね?りんご飴頼んで、誰がカップで出てくると思う?透明容器の下の方にフレークとチョコとアイスが見えて、糸ピンスみたいなやつと生クリームの上にまん丸いりんご飴。パフェじゃん?
最後に近所の神社の秋祭りに行ったのが1年半前。
去年は行けなかったんだけど、その間に何があったんだろう。急激な進化に頭が追いつかないよ…。
でも、追いつかないながらもチャレンジしてみるね。未知のものを怖がっちゃいけないってお母さんがよく言ってるし。
僕はサイズ小さめのりんご飴をちょっと齧ってみた。
むむ…耳がぴくぴくしてしまうな…。
「…おいしいねっ…!!」
「良かったねぇ」
でも次の瞬間、みずき君が手にしている物体を見て驚愕。
「……えっ…?」
「ん?」
「み、みずき君…それ…?」
「りんご飴だよ?」
みずき君が持ってたりんご飴は、断面の丸い割り箸に刺さった、見慣れたスタイルだけど肝心のりんご飴本体にカラースプレーチョコのまぶされた、とってもカラフル&シャレオツなやつだった。
…そーゆーチョコバナナなら見た事あるなと思ってたら、そっちも僕用だったらしくてあとからくれた。とっても楽しかった。
はっ…もしかしてあれが噂の放課後デートってやつでは?と気がついたのは、晩ごはんを食べたあと、お風呂に浸かってる時だった。
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