ちっちゃいもふもふアルファですけど、おっきな彼が大好きで

Q矢(Q.➽)

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夜7時前にはみずき君を駅まで送って、楽しかったみずき君の吉田家初訪問は終了。
晩御飯にも誘ったんだけど、それはまた今度ご馳走になりに来ますって。やっぱりさすみず育ち良い。

そしてその夜の晩御飯の時間は、今日のみずき君の話題で持ちきりだった。


「壱与君は…アレだな?エラく男前な子だな?」

ハンバーグをナイフで切り分けながら言うお父さんにコクリと頷く僕とお母さん。

「そうなんだよ。でもみずき君はカッコ良いだけじゃないんだよ。その筋の情報によると、ウチの高校の裏番らしいんだ」

「う、裏番?!」

ビクッと肩を揺らすお父さん。

「あらぁ…みずき君は不良なのかしら…?」

おっとりと質問してくるお母さんと真っ青になってるお父さんを見て、僕はふるふる首を振った。

「ううん。そういう事じゃないけど、強さランキングってのがあるんだって」

「「強さランキング」」

同時に食いつく夫婦。息ぴったりだね。めおとみちだね。僕もいつかはみずき君とそんな夫夫になりたいな。
…じゃなくて。今はそうじゃなくて。

「ライオン先輩とかトラ先輩とか、ウチのクラスにもクマの佐久間君はいるけど、グリズリー以上の獣人はいないんだって。だから実質、みずき君がトップなんだって言ってたよ。これは確かな筋の情報だよ」

僕が説明すると、お父さんが怖々聞いてくる。

「確かな筋、って誰?」

「ソースは明かせないよ…」

「お小遣い1000円あげよう」

「クラス委員長の湯川君だよ」

僕はお金の力にあっさりネタ元を白状した。ごめん湯川君。でも考えたら別に口止めされてなかったな。

「すごいわねえ、岩清水高校で一番強いなんて」

「もしケンカしたらって事だよ。ホントにしてるんじゃないからね」

僕は念押しをしながら付けあわせのマッシュポテトを食べた。お母さんのマッシュポテト、ちょっとバター多目で甘くて美味しい。マッシュポテトが出てきた日の翌日はアレンジでコロッケってってのが我が家のパターン。明日楽しみだなー。ウチのコロッケ、具を色々たくさん入れて普通サイズの3倍くらいの大きさ。最高。
僕、お母さんがお母さんでホントに良かった。

「まあ、確かに強そうだったな…。グリズリーだもんな」

お父さんは何だか小声。昼間はあんなにカッコ良く話してたのにどうしたんだろ。僕が見てると、お父さんはハッとしたように立ち上がって歩いてって、財布を手に戻ってきた。

「約束の1000円だ」

「…ありがとう」

嬉しいけど、そういう意味で見てたんじゃないんだけどな。お父さんのこういうとこ、生真面目で好き。

「それにしても、あんなカッコ良い子がオメガだなんて…未だに信じられない」

「そうよねえ。大っきいし素敵だし。嵐太、すっごい子捕まえたわね!でかしたわ、流石は我が息子」

お母さんがウキウキしながら言うから、僕も嬉しくなって頷いた。

「うん、すっごいみずき君捕まえた!!」

って言って、アレ?と思ったんだけど…僕が捕まえたんだっけ?




お風呂に入ったあと、髪を乾かしてから部屋に戻ったら、みずき君からメッセージが来ていた。

『今日はありがと。すごく楽しかった。また遊びに行って良い?』

当たり前でしょ~!!
僕は嬉しくなってすぐ返信を打った。

『僕こそありがとう。これからは気軽に遊びに来てねって、お母さん言ってたよ!』

打ちながらベッドにゴロンと横になる。ふわっとみずき君の匂いがして、そう言えば昼間、みずき君とお昼寝したんだっけと思い出した。
枕も嗅いでみたら、やっぱりすごくみずき君のリンゴの香り。
ピロン、とスマホが鳴って返信が来る。

『嬉しいな。おばさんとおじさんにご馳走様って言っといて』

『わかった!』

『じゃあ、また明日。おやすみ』

『おやすみ~』

スタンプを送ってスマホを枕の横に伏せた。枕に顔を押し当てて、みずき君臭を堪能。

すーはー…

みずき君は僕の匂いがするって言ってたけど、僕には自分の匂いはわからない。でもみずき君の匂いが付いてるのはすごくわかる。枕にも、シーツにも、布団にも。

「…いいにおい…」

みずき君も僕の匂い、いい匂いだって言ってた。僕もみずき君の匂い、すっごくいい匂いだと思う。
嗅いでるとだんだん気分がフワフワしてきて、昼間に僕の匂いで酔ったような感じになってたみずき君の気持ちがわかるような気がした。

「……?」

(何、今の…?)

急に胸の奥と下っ腹の辺りにじんわりする感覚があって、妙な気分になった。
よくわからないけど、むくむくと何かが湧き出てくるような感じ…。

(みずき君…)

何時間か前にはこのベッドにみずき君が寝てたんだよね…。僕の枕で、僕の布団の中で、僕と一緒に。

「みずきくん…」

何故か右手が下に向かっていこうとする。みずき君の事を考えると、勝手に。こんな事、初めてだ。

「みずきくん、…みずき君…」

何、これ。

僕、今すっごくみずき君とキスしたい。


その夜、みずき君の事を考えながら、僕は初めての自慰をしてしまった。

そんで、めちゃくちゃ反省した。ごめんねみずき君。








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