ちっちゃいもふもふアルファですけど、おっきな彼が大好きで

Q矢(Q.➽)

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その後は誰かが部屋に来る事も無く、夕方までみずき君の部屋でまったり過ごした。
もう人型に戻ってるのにみずき君が僕を膝に乗せたがるから、仕方なく胡座の中に座ってお菓子を食べながら話してたら、5秒に1回頬っぺにチューされる。それがだんだんエスカレートしてきて頬っぺに吸い付かれるようになってきてヒリヒリしてきた頃、テレビで6時のニュースが始まった。
ふと、脳裏によみがえるお母さんの言葉。初めての彼ピ宅訪問は遅くならない内に帰るべし。

(よし)

そろそろ帰ろうかな。…と思ったあたりで、おばさんが部屋に来た。

「ほんとにご飯食べていかない?」

って聞いてくれたけど、お父さんとお母さんに言われた通り、つつしんでお断りした。
おばさんは残念そうに、

「じゃあ今度は絶対ね?」

と言ってくれたから、僕は大きく頷いた。そしておじさん達にお暇のご挨拶。よし、初めての彼ピ宅訪問、無事おわったぞ。
その後みずき君は、大丈夫だよって言ってるのに家まで送ってくれた。家の手前のちょっと狭い路地に入って、今度は口にキスされた。みずき君の唇気持ち良い。頬っぺはまだヒリヒリするけど。

というか、なんで吸い付くの?捕食?

「ラン、今日はウチの家族が煩くてゴメンな。今度からは騒がないようにしっかり言い含めとくから、懲りずにまた遊びに来てくれる?」

少ししょんぼりしながらそう言ったみずき君の言葉に、頬っぺを撫でるふりでガードしながら頷いた。

「勿論だよ!僕、今日はすごく楽しかった。おじさん達も優しくて良い人達だね」

ホントに楽しかった。2歳児(仔熊)並みって言われたのも、実際は獣姿が見えてたかららしいし。それなら納得だよね。エル君、ちっちゃい仔熊だったけど、レッサーの成獣と同じくらいは体重あったし。もうちょい成長したら抜かれそうだな。

つまり、人型の僕にチ…小さいみたいに言ったつもりは無かったって事だから許します。心では思ってるんだろうけど、今現在は確かにみずき君より身長低いし……いや、伸びますけどね?


「楽しかった…なら、良かったけど。本当にゴメンな」

そう言って、抱きしめてくれたみずき君。
みずき君はそうする時、少し背中を丸めてぎゅっと抱きしめてくれる。そんな時、僕は嬉しいけど、ちょっとだけ切ない。早く屈まなくてもぎゅっと出来るくらいになるからね。

家の玄関まで送ってくれたみずき君は、お母さんに挨拶をしてから帰っていった。



その後すぐに晩ご飯になったんだけど、今夜はハンバーグカレーだった。とろけるチーズものってきた。嬉しい。

食べながらお父さんとお母さんに、本日の壱与家の様子を赤裸々に語った。

「とにかくね……平屋の、広い日本家屋だったよ。最初はお寺かと思って、お母さんが出てきたときには組事務所かと思った」

「組……」

「極道ものの姐さん的な着物で、似非関西弁を使うお茶目なお母さんだった」

「ま~、広い日本家屋!お着物でお出迎えだなんて、普段から和服なのかしら。素敵~」

お父さんは戸惑い気味に何かを想像してるみたいだけど、お母さんは羨ましそうだった。お母さん、着物着たら苦しくなっていつも貧血起こすもんね。和服、憧れなんだよね。

「あとね、家族全員背が高かった」

「やっぱりそうなんだな…」

お父さんが頷く。

「あのね、全員熊さんかと思ってたんだけど、お父さんは純人だった。でも大きかった。それで、渋い時代劇俳優さんみたいだった。あと、ちいかわ的なものが好き」

「え、そのお父さん、情報量多過ぎるな…。駄目だ、ちいかわ的なもの好きしか入って来ない」

お父さんが目を閉じながら僕の言葉を反芻して整理しようとして失敗してる。がんばれ。

「渋い時代劇俳優みたいなの?みずき君はハーフモデルみたいなのにねえ。お母さん似かしら?」

「お母さんに似てたよ。というか、お兄さんとお姉さんもみずき君も、兄弟全員顔はお母さん似だった」

「あらあ…やっぱり獣人の遺伝子の方が強いのねえ」

「そうみたい」

「…レッサーパンダとグリズリーでは、やっぱりグリズリーが勝つんだろうか?」

「そうかも」

お父さんの言葉に、僕は将来、僕とみずき君との間に子供が生まれたらどうなるのかなと初めて考えた。

その時頭に浮かんだのは、昼間みずき君ちで抱っこした仔熊のエル君の事だった。










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