ちっちゃいもふもふアルファですけど、おっきな彼が大好きで

Q矢(Q.➽)

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人生初の、恋人がいるゴールデンウィーク。
お互いの家は行ったけど、やっぱりデートもしたいよねって事で、僕とみずき君は少し大きな街に映画を観に行く事にした。
わ~、放課後デートなら何度もしたけど、本格的なデートは初めてだな~。僕はわかり易く浮かれた。

何着て行こっかなって考えて、お気に入りの猫プリントの白Tシャツにマスタードカラーのショートパンツを組み合わせた。取っときのスニーカーも出したし、斜め掛けできるお気に入りのロゴ入りトートバッグ。入れるのはお財布とスマホくらいだけど、カッコいいからいいよね。

寝る前に全部準備して、ウキウキしながらベッドに入ったらみずき君からおやすみってメッセージが来て、おやすみ明日ね!って返したんだけど、その後1時間くらい寝られなかった。それで、遠足前ってこんな感じだったなあと思ってたらいつの間にか寝てた。
翌朝寝坊したんだけど、急いでシャワーしたからセーフ。朝ごはんは腹八分目に食べて、バナナ歯磨きして、髪をちゃんとといて。
部屋に戻って昨日選んだ服に着替えて、行ってきまーすって玄関を出たら、みずき君がいた。

「え、待ち合わせ場所決めたじゃん」

僕が駆け寄りながら言うと、みずき君は笑いながら、

「だって待ちきれななくてさ」

だって。僕ら、永遠に待ち合わせ出来そうにないな。

みずき君の服、今日は白Tシャツにゆるっとした薄手の黒カーディガンに、黒パンツ、黒の小さめボディバッグ。

ふ、ふわあ…カッコよ~…

やっぱり僕の彼ピ、ワールドクラスじゃない?
…って考えて、ふと自分の服装を見下ろした。

(…子供っぽかったかな?)

自分では気に入ってるんだけど、みずき君の隣を歩くにはダサいかも…って思ってたら、みずき君に抱き上げられた。突然の事にびっくりする僕。

「か、可愛い!!」

「みず、むぐ」

会って1分で頬っぺたぐりぐり押し付けられる。ひい。嬉しいけど、摩擦で頬っぺたが痛熱くなるんだよね…。でもみずき君のせっかくの愛情表現を無下にしたくない僕は、じっと耐えた。耐える事が僕の愛…。

「はぁ…はぁ…はぁ…かわ…はぁ」

「…落ち着いた?大丈夫?」

「うん、ゴメンね。ランがラブリー過ぎて、つい…」

「みずき君もめちゃめちゃカッコ良いよ。ワールドクラスだよ」

「ランは褒め上手だな~」

みずき君はやっと僕を地面に下ろしてくれた。
徐々にいつものクールなみずき君に戻っていくよ。良かった。思うんだけど、みずき君、お父さんにあんまり似てないと思ったけどさ、実はそっくりなんじゃない?言うと嫌がりそうだから言わないけど。
で、落ち着いたみずき君と手を繋いで駅まで歩いて、久しぶりの金平糖の宮行きの電車に乗った。
金平糖の宮っていうのは、普通の各駅停車で10駅、急行に乗り換えたら4駅のとこにある繁華街。百貨店やデパートや大っきい商店街が幾つもあって、たくさん色んなお店が並ぶ賑やかな街だ。そこの映画館で、ちょうど観たいアニメの劇場版を観に行こうって話になったんだ。街ブラも出来るし、楽しみ。台湾カステラのお店には絶対行く。

先頭車両に乗って、二人がけの座席に並んで座った。窓の外に流れていく景色を見ながら心が弾む。
なのにみずき君は、急に僕のしっぽをにぎにぎしながら心配そうに言いだした。

「ラン、良いか?人が多い筈だから、絶対俺の手を離しちゃ駄目だぞ?」

「えっ?うん」

僕はちょっぴり感慨に浸った。
…小学校の時によくお父さんに言われた事、高校生になってから恋人に言われるとは思わなかったよね…。

「迷子になったと思ったら、そこから動かずにすぐ俺に電話な」

「わかった」

「待ってる間に知らない人にお菓子あげるって言われても、絶対ついて行ったら駄目だぞ」

「うん」

みずき君?みずき君には僕が5歳児とかに見えてるの?と言いたいのをグッと堪えて頷いた僕、オトナ。



金平糖の宮に着いたら、当然を繋いだままブラブラ歩く。しばらく来ない間に知らないお店がいくつか出来てた。綿あめ屋さんとか、ご飯屋さんとか。

「みずき君、ほら、今買ったあの人、すごい色の綿あめだよ。3色だよ」

「すごいな…赤、黄色、緑…信号機じゃん」

街ゆく人達を見て、色んなものを見て、楽しい。
映画はお昼ご飯を食べてから午後1時過ぎからのに入ろうって決めてたから、僕らはそれまでウロウロしながら遊んだ。お昼ご飯は軽めにラーメンを三杯食べて、映画館に行った。
映画は大ざっぱにあらすじを述べると、魔王が転生先でヒヨコに生まれ、同じように転生していた前世の宿敵達と闘いながら無事に立派なニワトリに成長して、クリスマス用のオーブン焼きになる運命に抗いながらスーパーの惣菜売り場担当の主婦のおばちゃんと激闘の末に暑苦しい友情を育むという話。おばちゃんがバイトの大学生の箕田君と三田君に魔王ニワトリを逃がすように託して、お客で来た勇者からの『2億だ』攻撃の盾になった事であえなく30分残業になるシーンでは、みずき君に借りたハンドタオルが絞れるくらい泣いた。お腹空かせて待ってるおばちゃんちの小学生の子供、他人事とは思えなかったな。ウチのお母さんもスーパーでパートしてるから、感情移入しちゃったのかも。
結局魔王ニワトリはオーブン焼きになり、不穏な音楽と共に映画は終了。多分あれ、続編あるな。

シアターを出てから、ここ何年かで一番の傑作だよねって感想を述べたけど、みずき君は微妙な表情で「そうだな」と言葉少なだった。
多分、余韻に浸ってたんだと思う。









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