ちっちゃいもふもふアルファですけど、おっきな彼が大好きで

Q矢(Q.➽)

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週に3日、1日5時間、時給は1200円。月末〆の翌月10日が給料日!
9月20日のみずき君のお誕生日、よゆう!!
実はもう、プレゼントは決めてある。だから後は、僕が無事に最後まで頑張るだけだ。


かくして、夏休みに入って2日目から、僕の初バイト生活が始まった。7月終わり頃から入ったから、3日分くらいは8月にお給料もらえるのも嬉しい。

「よーし、みずき君の為にがんばるぞー」

僕は張り切っていた。


サービスコーナーは、スーパーの出入り口を入って左側の、ちょっと奥まった所にある、ガラスの陳列ケースで四角く囲まれたコーナーだ。いつもは朝から夕方までは主婦のパートさん達、夕方からは学生バイトが入ってるんだそうだ。でも夏休みの間は、時短勤務にして欲しいって申し出る主婦パートさんが多いんだって。小学生の子供さんがいたりするらしい。大変だね。それで短期で学生バイトを入れて人員調整するんだね。社会の仕組みの一部を知った僕はまた一歩大人になったよね。

引き合わされたのは、僕と入れ替わりに帰るパートさんと、同じ時間帯に入る事になる大学生の先輩バイトの宮地渉さん。みずき君と同じくらい背が高くて細~い。宮地さんは純人で、ちょっと長めのサラッとした黒い髪をラフに後ろでゴムで留めた、なかなかのイケメンさんだった。

「宮地です、梨の実大2年だよ。よろしくね」

「お世話になります!吉田嵐太です!」

僕、緊張。初めての職場の先輩だ~。僕が挨拶すると、宮地先輩はニコッと笑って何故か頭を撫でてくれた。……?
ちょっとびっくりして撫でてくれてる手を見てたら、宮地先輩はハッとしたみたいに手を引っ込めた。

「あっ、ごめん、つい。ウチのに似てて」

「もうお子さんいらっしゃるんですか?!」

「あー、いや、ワンコなんだけどね」

「わんこ」

わんこ。なんだ、わんこか。びっくりした。だよね、大学2年生で子持ちって大変そうって思っちゃったよ。良かった。宮地先輩んちにはわんこがいるのか。言い方からして、獣人化しない普通の犬なんだろう。
……でも、わんことレッサーって似てますかね?

少し首を傾げてたら、宮地先輩はまた口を開いた。

「素敵な耳だね。僕、モフモフしたものが大好きなんだ」

宮地先輩にニコニコしながら褒められる。素敵だって。可愛いとかじゃなくて、素敵。
すっかり嬉しくなった僕は、宮地先輩って良い人、と頭にインプットした。

「今日は出勤じゃないけど、朝生さんっていう高校生の女の子もいるんだよ。2年生だから、吉田君の1つ上だね。兎の子だよ」

「そうなんですか」

歳上。兎獣人の女子高生。多分小柄で可愛い感じの人なのかな。前ならドキドキしたんだろうなあって事を、今は(そうなんだ。)程度の感じで聞いてる。みずき君と出会ったからだろうなぁ。
ちょっと感慨深い気持ちで聞いて、それから最初の仕事の説明をされた。

まず、お客様が前を通ったりご用がありそうに近づいてきたら、いらっしゃいませ~。元気が良すぎてもびっくりされちゃうから、ちょっと落ち着いた感じで、でも聞き取りやすいようにはっきりと。
ご用をお伺いして、ラッピングや熨斗の有無とか、種類とかを聞く。種類によっては有料だからそれをご案内。お持ち帰りか配送手続きが必要か聞いたり、料金やお釣りの受け渡し。レジは最初は他の先輩がやってくれる。大きいお金のお預かりの時は、必ずその時居る先輩を呼ぶ。お帰りの際は、丁寧にありがとうございましたを言う。 

「じゃあ、基本的な包装を練習しようね」

「はい」

初日は、お客様が来たらいらっしゃいませ、ありがとうございましたって言って、教えてもらった包装のやり方を、見本のお菓子箱を使って練習するので終わってしまった。
でもバイトが終わる時間が来たら、また宮地先輩に頭を撫でられた。

「よく出来てたよ」

って言ってもらえたから、きっとなかなか筋が良かったんだと思う!

「ありがとうございました!」

ってお礼を言ったら、宮地先輩はニコッと笑って、

「お疲れ様、また明後日ね」

っ言ってくれた。笑顔優しいしカッコいい。教え方も丁寧でわかり易かったし、宮地先輩がバイトの先輩で良かった。僕は、

「明後日もよろしくお願いします」

と言ってお辞儀をしてサービスコーナーを出た。バックヤードに帰ってタイムカード押してエプロン外して、今日は終わり。お店を出たらみずき君に電話しなきゃと思ってたら、後ろから名前を呼ばれた。

「ラン」

振り返ったら、スーパーの出入り口の方から目にも眩いイケメンが。

「あっ、みずき君!!」

世界一カッコ良い僕のみずき君が、何だか不機嫌そうな顔をしながら近づいてくる。

「こんな時間なのに来てくれたの?」

「だからだろ。1人歩きは危ないから送ろうと思って」

「ええ…?」

こんな時間って言っといて何だけど、まだ8時だからね?家も近いし、僕は男なんだから1人だって帰れるのに。みずき君は心配性だなあ。いつも思うんだけど、ほんとは僕の方がみずき君を送るべきなんじゃないかなあ。アルファだし!

そんな事を考えながらみずき君を見上げたら、みずき君は不機嫌そうな顔のまま僕の頭を撫でた。

「?」

「あれ、誰?」

「あれ?」

「さっきランに触ってた野郎」

言われて、みずき君の撫でがさっき宮地先輩に頭を撫でられた
事への上書き行為だってわかった。だから怒ってるのかあ。

「バイトの先輩だよ。これから1ヶ月以上お世話になるんだ」

「……へえ。」

みずき君と一緒にサービスコーナーを見ると、こっちを見ていた宮地先輩が笑いながら手を振ってくれた。

「…ふ~ん。先輩な」


その後送ってくれたみずき君による毛繕いは30分を越えて、僕はバイトよりもヘロヘロになって家に帰った。

みずき君は送り狼ならぬ送り熊だね。










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