68 / 86
68 2年生突入編
教室内がザワついている。後ろの席をチラチラ見ながら。
原因は、ついさっき張り出されていたクラス編成。
教室の後ろの席に座って、周囲のクラスメイトより一際輝くその人。
新学期初日、何とみずき君がSクラスになりました~。
入試の成績ではそこそこの成績で合格してたみずき君は、入学後の僕との出会いで、ホルモンバランスを始めとする全てが安定した。今まで体調が安定しなくてロクに出席出来なかった授業も問題無く受けられるようになって、ヒート以外は登校できるようになったみずき君は無敵だった。めきめきテストの順位を上げ、成績を上げ、2年に進級したタイミングで見事にSクラス入りを果たした訳です!実はウチの特進Sクラスは、1年時から全員理系。しかも実力主義なので、成績がグンと伸びれば次の学年ではSクラス入りが望める。その代わり成績落ちたら普通クラス落ちっていう、なかなかの非情さなんだ。でも、僕は多分みずき君はSに上がるんだろうなって予想してた。だってみずき君、一緒にテスト勉強してると、僕のわからない所も教えてくれる事があるんだよ?それに中間や期末でも結構上位にいるもん。当然の結果だよね。
中2の半ばまでは成績も運動もトップクラスだったって話だから、それが本来のみずき君なんだろうなあ。
見たところ、クラスメイトは全員無事に持ち上がりみたいだ。
みずき君は1年から僕と付き合ってるから、Sクラスにはよく顔を出していたけど、あんまり話した事は無いクラスメイト達もたくさんいる。そんな子達は、話しかけて大丈夫なのかなって感じでみずき君の事をチラチラ見てた。例の、『裏番』っていう不名誉な噂がみんなをそうさせるのか、単にグリズリーという獣種を恐れてるのか。みずき君は乱暴なんかしないし優しいのに、失礼な話だよね。一体誰が言い出したんだろ。
クラスの微妙な空気をよそに、僕はみずき君の隣の席に、僕との関係である程度みずき君に慣れてる湯川君や稲取君や佐久間君なんかはその周りの席に座って喋ってた。
そうしてる内に担任になった先生が入って来て、僕らは先生に注目。あっ、耳が長い!どうやら新担任は黒い兎の獣人のもようです!
黒い兎の先生は、教卓の前まで歩くとパンパンと手を叩きながらやる気無さげな声で言った。
「はいはいはい着席着席。静かにな~」
そう言いながら黒板に、
宇佐 八雲
と、チョークで名前を書いて、僕らの方を向く。
「2年Sクラスの担任になりました、うさやくも、です。よろしくね。皆は全員持ち上がりか。…っと、1人2年からの新入りが居たな。壱与 瑞希、前へ」
先生の名前、そのまんまなんだなあと感心してたら、宇佐先生は黒くて長い耳を立てながら、みずき君に前に出るように名指しした。あ、そっか。最初にちゃんと自己紹介しなきゃね。でも、わざわざ前にって、まるで転校生みたい。みずき君、有名人だからあんまり必要無い気もするけど、先生が言うんなら仕方ないね。
僕は立ち上がって前に歩いて行くみずき君を見守った。みずき君は教卓の横に立って、自己紹介をした。
「壱与 瑞希です。1年の時はCクラスでした。仲良くしてくれたら嬉しい、です。因みに裏番ではないのでよろしく」
それだけ言うと会釈をして、みずき君は席に戻ってきた。
クール。みずき君、クール。
圧倒的存在感。さすみず。
クラスメイトの皆はやっぱり振り返ってチラチラ見てた。
でもその視線は、さっきよりも柔らかいみたい。裏番ではないが効いたのかな。
その後、くじ引きで席を決める事になった。結果、僕は左から2列目の前から2番目。こんな時でも持ってる男・みずき君は、なんと左端の1番後ろの席を引き当てて羨ましい。1番左って、グラウンドの見える窓側だからね。
僕は休み時間になったら早速みずき君の席に飛んでった。
「みずき君、すごいねっ!」
「ラッキーだった。でもランと離れたのはアンラッキー。」
「うーん…確かに。でも同じ教室なんだから、いつでも見えるね!」
「それもそうだな。」
僕の言葉に、みずき君は嬉しそうに笑った。すると、それを見てた他のクラスメイト達が何人か寄ってきて、よろしくなと言いながら名前を言って席に戻っていった。
みずき君以外は持ち上がりだから、さっきの時間に自己紹介は無かったんだ。
だからそんな感じで休み時間毎に違う生徒達が自己紹介がてらみずき君の席に挨拶に来てた。
そのお陰なのか、みずき君も数日でクラスに馴染んで、1週間もするとみんな怖がらずに普通に話すようになったよ。
それから少ししてあった身体測定で、僕は1年で身長が6センチ伸びていた事が発覚して、その日は帰りにみずき君がお祝いにクレープを3個奢ってくれた。
因みにみずき君は1センチ伸びてたらしい。もういいって言ってた癖にまだ伸びるつもりみたいです。
あなたにおすすめの小説
運命の番は僕に振り向かない
ゆうに
BL
大好きだったアルファの恋人が旅先で運命の番と出会ってしまい、泣く泣く別れた経験があるオメガの千遥。
それ以来、ずっと自分の前にも運命の番があらわれることを切に願っていた。
オメガひとりの生活は苦しく、千遥は仕方なく身体を売って稼ぐことを決心する。
ネットで知り合った相手と待ち合わせ、雑踏の中を歩いている時、千遥は自分の運命の番を見つけた。
ところが視線が確かに合ったのに運命の番は千遥を避けるように去っていく。彼の隣には美しいオメガがいた。
ベータのような平凡な見た目のオメガが主人公です。
ふんわり現代、ふんわりオメガバース、設定がふんわりしてます。
完結しました!ありがとうございました。
悪役令息ですが破滅回避で主人公を無視したら、高潔な態度だと勘違いされて聖人認定。なぜか溺愛ルートに入りました
水凪しおん
BL
BL小説『銀の瞳の聖者』の悪役令息ルシアンに転生してしまった俺。
原作通りなら、主人公ノエルをいじめ抜き、最後は断罪されて野垂れ死ぬ運命だ。
「そんなの絶対にお断りだ! 俺は平和に長生きしたい!」
破滅フラグを回避するため、俺は決意した。
主人公ノエルを徹底的に避け、関わらず、空気のように生きることを。
しかし、俺の「無視」や「無関心」は、なぜかノエルにポジティブに変換されていく。
「他の人のように欲望の目で見ないなんて、なんて高潔な方なんだ……!」
いじめっ子を視線だけで追い払えば「影から守ってくれた」、雨の日に「臭いから近寄るな」と上着を投げつければ「不器用な優しさ」!?
全力で嫌われようとすればするほど、主人公からの好感度が爆上がりして、聖人認定されてしまう勘違いラブコメディ!
小心者の悪役令息×健気なポジティブ主人公の、すれ違い溺愛ファンタジー、ここに開幕!
BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください
わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。
まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!?
悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。
婚約破棄で追放された悪役令息の俺、実はオメガだと隠していたら辺境で出会った無骨な傭兵が隣国の皇太子で運命の番でした
水凪しおん
BL
「今この時をもって、貴様との婚約を破棄する!」
公爵令息レオンは、王子アルベルトとその寵愛する聖女リリアによって、身に覚えのない罪で断罪され、全てを奪われた。
婚約、地位、家族からの愛――そして、痩せ衰えた最果ての辺境地へと追放される。
しかし、それは新たな人生の始まりだった。
前世の知識というチート能力を秘めたレオンは、絶望の地を希望の楽園へと変えていく。
そんな彼の前に現れたのは、ミステリアスな傭兵カイ。
共に困難を乗り越えるうち、二人の間には強い絆が芽生え始める。
だがレオンには、誰にも言えない秘密があった。
彼は、この世界で蔑まれる存在――「オメガ」なのだ。
一方、レオンを追放した王国は、彼の不在によって崩壊の一途を辿っていた。
これは、どん底から這い上がる悪役令息が、運命の番と出会い、真実の愛と幸福を手に入れるまでの物語。
痛快な逆転劇と、とろけるほど甘い溺愛が織りなす、異世界やり直しロマンス!
新年に余り物でおせちを作ったら、冷酷と噂の騎士団長様に「運命の番」だと求婚されました
水凪しおん
BL
料理人だった俺が転生したのは、男性オメガというだけで家族に虐げられる不遇の青年カイ。
新年くらいはと前世の記憶を頼りに作ったのは、この世界にはない『おせち料理』だった。
それを偶然口にしたのは、氷のように冷酷と噂される最強の騎士団長リアム。
「お前は俺の運命の番だ」
彼の屋敷に保護され、俺の作る料理が彼の心を溶かしていく。
不器用で、だけどまっすぐな愛情を注いでくれる彼と、美味しい料理で紡ぐ、甘くて温かい異世界スローライフ。
過労死転生した公務員、魔力がないだけで辺境に追放されたので、忠犬騎士と知識チートでざまぁしながら領地経営はじめます
水凪しおん
BL
過労死した元公務員の俺が転生したのは、魔法と剣が存在する異世界の、どうしようもない貧乏貴族の三男だった。
家族からは能無しと蔑まれ、与えられたのは「ゴミ捨て場」と揶揄される荒れ果てた辺境の領地。これは、事実上の追放だ。
絶望的な状況の中、俺に付き従ったのは、無口で無骨だが、その瞳に確かな忠誠を宿す一人の護衛騎士だけだった。
「大丈夫だ。俺がいる」
彼の言葉を胸に、俺は決意する。公務員として培った知識と経験、そして持ち前のしぶとさで、この最悪な領地を最高の楽園に変えてみせると。
これは、不遇な貴族と忠実な騎士が織りなす、絶望の淵から始まる領地改革ファンタジー。そして、固い絆で結ばれた二人が、やがて王国を揺るがす運命に立ち向かう物語。
無能と罵った家族に、見て見ぬふりをした者たちに、最高の「ざまぁ」をお見舞いしてやろうじゃないか!
捨てられた生贄オメガ、魔王城で極上の『巣作り』始めます!~不眠症の魔王様、私のクッションで爆睡して溺愛モードに突入~
水凪しおん
BL
「役立たずのオメガ」として冷遇され、血も涙もない魔王への生贄として捨てられたリノ。
死を覚悟して連れてこられた魔王城は、寒くて硬くて、居住性最悪のブラック環境だった!?
「こんなところで寝られるか!」
極限状態で発動したオメガ特有の『巣作り本能』と、神業レベルの裁縫スキルが火を噴く!
ゴミ同然の布切れをフカフカのクッションに、冷たい石床を極上のラグマットにリフォーム。
すると、不眠症で常にイライラしていた魔王ザルドリスが、リノの作った「巣」のあまりの快適さに陥落してしまい……?
「……貴様、私を堕落させる気か」
(※いいえ、ただ快適に寝たいだけです)
殺されるどころか、魔王様に気に入られ、気付けば城中がリノの虜に。
捨てられた生贄オメガが、裁縫一つで魔王城を「世界一のマイホーム」に変える、ほのぼの逆転溺愛ファンタジー!
虚ろな檻と翡翠の魔石
篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」
不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。
待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。
しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。
「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」
記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。