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あっという間に季節は冬。
みずき君と出会って2度目のクリスマスが来た。
2人で相談して、今年は去年とは違うイルミネーションを見に行った。すごく広い場所に外国の屋台みたいなのがたくさん集まって出て来て、広間の真ん中にはたくさんの星やプレゼントの箱やお菓子の形のオーナメントで飾られた、大きなクリスマスツリーが立っている。
賑やかにクリスマスソングが流れてて、人もたくさん来てた。美味しそうなボールみたいなドーナツを揚げたり、外国人の職人さんがサンタさんやもみの木の形のアイシングクッキーを作ってるのも見えたりして、すごく楽しかった。みずき君と一緒に大きなキラキラのツリーを見上げて、また来ようねって約束した。
そして、それから何日か経ったある日。
僕は自分の部屋で、ボーッとしながら考えていた。
年が明けたら、僕達は受験生だ。正確には4月になって3年生に進級してからだけど、気分的にはもう今年は頑張らなきゃ!ってなると思うんだよね。だから僕は、みずき君にとある提案をした。
「みずき君、来年の今頃は受験真っ只中だろうから、今年の内に神様にお願いしに行こうよ!」
「ああ…そうだな、そうしよっか。」
現在、12月29日の午後3時。もう勝手知ったるになった僕の部屋でカーペットの上にゴロンと寝転がったみずき君が返事をする。みずき君は、年末の大掃除が嫌で、冬休みに入ってから毎日ウチに避難しに来てる。勿論、勉強もするんだけど、ちょっと息抜きって言いながら2人でオヤツを食べてゴロンとしてる事や遊んでる事も多い。
そんで、夕方18時過ぎくらいに帰っていく。その辺は品行方正なんだよね。遅くならない内に帰るっていう。
で、ゴロンと天井見てる内に思いついて口にした僕の提案に、みずき君は快く乗ってくれたわけ。
「湯川君の情報ではね、」
「また湯川か。アイツの情報、眉唾モノも結構あるのに。ラン、何度かガセネタ掴まされてるじゃん」
「…まあ、たまにはそんな事もあるけど。でも湯川君が情報通な事は変わらないし…」
「まー、確かに。玉石混交って感じだけどな。」
みずき君は、例のみずき君は裏番情報でウチの家族(主にお父さん)が躍らされた件を僕から聞いて以来、事ある毎に湯川君を信じ過ぎないように言ってくる。
大丈夫なのにね。僕だって、いつまでも入学したての1年生じゃないんだし。もうすぐ3年生だし!
…って、それはともかく。
「湯川君が言うには、合格祈願で有名なのは叶神社だけど、橙の木神社も結構侮れないらしい。」
「え…橙の木神社って、こっから10分くらいの、あの小さい神社?」
「そう、一緒によくお散歩の時に寄るあそこ。」
「へえ…。また眉唾なんじゃないの?」
みずき君はゴロンと転がって来て、僕のお腹に頭をのせながら言う。疑り深い。
「でも湯川君の従兄弟のお兄さん、偏差値40後半だったのにダメ元で受けたらM大受かったんだって。」
「マジ?!…でもそれ、単に本人の頑張りなんじゃね?」
食いついたかと思ったら、またすぐにそんな事を言うみずき君。みずき君は神頼みする気はあんまり無いのかい?
「あと、お母さんからもパート仲間の中根さんの娘さんが、一昨年熱出して朦朧としながら受験会場に向かって、やっぱり朦朧としたままテスト受けたらしいけど奇跡的にS大受かったって」
「いやそれは普通にすごいな?」
「その2人に共通してるのが、他の神社には行かず橙の木神社に祈願してた事なんだよ」
みずき君はやっと真面目に聞く気になったみたいで、起き上がって僕を見た。
「行くか、橙の木神社。
ランが落ちたら、同じ大学でハッピーイチャコラライフ送れなくなるし。」
「何で僕の方が落ちそうな前提なの?」
まったく。縁起でもない冗談やめてほしい。
僕とみずき君は同じH大学に行くって決めてて、先生も今のところ合格圏内だって言ってくれてる。順調に頑張れば大丈夫だと思うけど、念には念と言うか、心の拠り所が欲しいじゃん?精神安定剤的な感じで。
てな訳で、僕とみずき君は年明け一月一日の早朝に橙の木神社に初詣に行った。地元の小さい神社だけど、意外と初詣客は途切れなく来る感じだったよ。
みずき君はお正月はやっぱり忙しくて初詣の後はすぐ帰っちゃったけど、元旦から会えた事はすっごく嬉しかった。
それから1週間くらいで冬休みは明けて、3学期が始まった。2月には学年末テストがあって、成績はまずまず。
そしてまた、春が来た。
みずき君との、3度目の春。
3年生になってすぐの健康診断で、僕の身長は171センチになった。ばんざい!!成長期ばんざい!!僕はめちゃくちゃ歓喜した。たくさん食べてきた養分が順調に身長にいってる!!
でも、みずき君は2センチ伸びて、192センチになってた。
……もう伸びなくて良いって言ってたじゃん…。みずき君の嘘つき。
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