21 / 73
30日目-1
しおりを挟む30日目
……
……今日は静かだな……。
ぼーっと天井を眺める。
遠くで風の音が聞こえる。まだ降ってるのか。
上半身を起こしてあくびをしながら火を焚く。
はぁ……寒い。
昨日の夜はMPかなり使ったな。
寒くて寒くて火が消えるたびに起きてた気がする。
MP今いくつだろう……。
MP230/316
意外と減ってないな?
火置き場に手をかざし暖を取る。
インベントリから焼きトマトと器と箸を取り出し朝食にする。
寒い時には暖かいものだよな。
串からトマトを外し箸でほぐす。
串をインベントリに仕舞い代わりに塩を取り出し器にかけた。
頂きます。
実を頂きほぉ……と息をつく。
体の中から温まり人心地付いた。
洗い物をしようと外に出ようとした。
白い壁が出来ていた。
……なんだこれ。
いったん器と箸をインベントリに入れる。
触ってみるとひんやり冷たい……って雪だろこれ。
え? こんなに積もったの?
インベントリから園芸用のこてを取り出して刺してみる。
サクッと刺さった。
インベントリを開けっぱなしにしてそこに雪を入れていく。
ほどなくして外の明かりが見えてきた。
深くない! 良かった。
どうやら昨日一昨日の吹雪によって雪が壁に叩きつけられ入り口を塞いだらしい。
吹き溜まりって事か。あーびっくり。
すぐにどかせそうで安心した。
出入り口の新雪をインベントリに収納していく。
今日は曇りか。また青空が見えなかったな。
入り口の雪かきも終わったので器と箸と串を洗いインベントリに仕舞っておいた。
戻ると火が消えていたので焚きなおす。
MP245/316
今日も世話を始めるか。
薪を持ち火をつけトマトの苗のところへ行く。
この苗も今日で終わりかな?
成長速度上昇1が付いていないトマトの苗の前に立つ。
薪を近づけ様子を観察した。
昨日までで第3果房まで収穫が終わっている。
今日は第4果房が見事に熟していた。
プチプチと捥いではインベントリに落としていく。
この第4果房からは10個ミニトマトを収穫することが出来た。
第5果房は実りも大きく色が変わりかけていた。
お昼ごろには収穫できるだろう。
続いて、脇芽から育てたトマトの苗の前に立つ。
こちらは、
第一果房が小さい実が出来、
第二果房は花が散ったところ、
第三果房は蕾が出来ており、
第四果房と第五果房が出来たところ。
今までのトマトの苗に比べ背丈が低い。
摘芯せずにもう少し様子を見るか。
栄養がちゃんと実に行くよう生えていた脇芽を欠いていく。
第一果房が重そうだったのでサツマイモの蔓で誘引しておいた。
最後の仕上げにウォーターを唱えて2回水やりを行った。
MP250/316
次はお隣のナス。
なってるなってる。
薪を近づけ火の灯りでナスを観察する。
一回だけしか魔力水を与えていないのにいくつか収穫できそうだった。
確か第二主枝から生えた側枝に生った場合、
側枝の少し手前の第二主枝から切り取るんだったよな。
……むむ。
収穫できそうな側枝のさらに先に花がついている。
この場合どちらを優先させるべきなのか……悩ましい。
食べる方優先するか。
インベントリからナイフを取り出し、
枝に負担がかからないよう刃を添えて切り取る。
取れたナスは手のひらに収まるくらいのサイズだった。
傷もなく綺麗だ。つやつやしている。
ナスを持った手にちくっとした感覚があった。
見てみるとナスのへたに棘があった。
このまま握ってたら手に刺さってたな。危ない。
そのままインベントリに収納した。
反対側の第二主枝にも取れそうなナスがあったので同じように収穫する。
まだまだ花芽があるし楽しめそうだな。
あ……主枝に脇芽がまた生えている。
実に養分を与えねばと欠いていった。
最後の仕上げにウォーターを1回唱えておいた。
さて、隣の綿はどうかな?
背丈は昨日と変わらず枝が増えていた。
お!
綿の緑色の蕾がいくつか確認できた。
特に作業をする必要もないので根にウォーターで水を4回与えておいた。
MP220/316
壁に刺していた薪を手に取る。
次に向かうはサツマイモ。
今日あたり収穫できるはず。
手に持った薪の灯りで様子を確認していく。
……良さそうだな。
薪を壁に刺し、インベントリからナイフを取り出し腕まくりをする。
まずはこの生い茂った葉を刈る。
一気に苗4つ分やるので手間がかかった。
こんもり山になった。蔓は邪魔なのでいったんインベントリに仕舞っておいた。
何気なく見てみたら蔓の重さ10kgを超えていた。
実の方で欲しかったな。
蔓を刈るのに使ったナイフをインベントリに仕舞い、
代わりに園芸用のこてを取り出す。
苗の周りを大雑把に掘っていく。
今回は何本かな?
あらかた掘り終えた。
インベントリに園芸用のこても仕舞い手で丁寧に土を取り除いていく。
サツマイモの苗A1からだ。
おお!大きい。
手で掘り始めてすぐに見えたサツマイモ。
周りを丁寧に掘っていくが中々終わりが見えない。
サツマイモを両手で掴み左右に揺らしてみる。
グラグラしない。まだ抜けそうにない。
もうちょっと掘ってみる。
また左右に揺らしてみる。
今度は抜けそうだ。
せーの!
抜けた。力を入れ過ぎて腰を打った。痛い。
おお! 今までで一番のサイズじゃないか。
30cmはありそうな立派なサツマイモが採れた。
インベントリに収納する。
他にはないか?
一本ぬけて柔らかくなった土をまさぐる。
あったあった!
全身土まみれになりながらサツマイモを収穫していった。
結果は、
サツマイモの苗A1、5本
サツマイモの苗A2、5本
サツマイモの苗B1、6本
サツマイモの苗B2、4本
計20本! 一日1本として20日分だ。やった。
ふー疲れた。
1
あなたにおすすめの小説
10歳で記憶喪失になったけど、チート従魔たちと異世界ライフを楽しみます(リメイク版)
犬社護
ファンタジー
10歳の咲耶(さや)は家族とのキャンプ旅行で就寝中、豪雨の影響で発生した土石流に巻き込まれてしまう。
意識が浮上して目覚めると、そこは森の中。
彼女は10歳の見知らぬ少女となっており、その子の記憶も喪失していたことで、自分が異世界に転生していることにも気づかず、何故深い森の中にいるのかもわからないまま途方に暮れてしまう。
そんな状況の中、森で知り合った冒険者ベイツと霊鳥ルウリと出会ったことで、彼女は徐々に自分の置かれている状況を把握していく。持ち前の明るくてのほほんとしたマイペースな性格もあって、咲耶は前世の知識を駆使して、徐々に異世界にも慣れていくのだが、そんな彼女に転機が訪れる。それ以降、これまで不明だった咲耶自身の力も解放され、様々な人々や精霊、魔物たちと出会い愛されていく。
これは、ちょっぴり天然な《咲耶》とチート従魔たちとのまったり異世界物語。
○○○
旧版を基に再編集しています。
第二章(16話付近)以降、完全オリジナルとなります。
旧版に関しては、8月1日に削除予定なのでご注意ください。
この作品は、ノベルアップ+にも投稿しています。
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
現代知識と木魔法で辺境貴族が成り上がる! ~もふもふ相棒と最強開拓スローライフ~
はぶさん
ファンタジー
木造建築の設計士だった主人公は、不慮の事故で異世界のド貧乏男爵家の次男アークに転生する。「自然と共生する持続可能な生活圏を自らの手で築きたい」という前世の夢を胸に、彼は規格外の「木魔法」と現代知識を駆使して、貧しい村の開拓を始める。
病に倒れた最愛の母を救うため、彼は建築・農業の知識で生活環境を改善し、やがて森で出会ったもふもふの相棒ウルと共に、村を、そして辺境を豊かにしていく。
これは、温かい家族と仲間に支えられ、無自覚なチート能力で無理解な世界を見返していく、一人の青年の最強開拓物語である。
別作品も掲載してます!よかったら応援してください。
おっさん転生、相棒はもふもふ白熊。100均キャンプでスローライフはじめました。
若返ったオバさんは異世界でもうどん職人になりました
mabu
ファンタジー
聖女召喚に巻き込まれた普通のオバさんが無能なスキルと判断され追放されるが国から貰ったお金と隠されたスキルでお店を開き気ままにのんびりお気楽生活をしていくお話。
なるべく1日1話進めていたのですが仕事で不規則な時間になったり投稿も不規則になり週1や月1になるかもしれません。
不定期投稿になりますが宜しくお願いします🙇
感想、ご指摘もありがとうございます。
なるべく修正など対応していきたいと思っていますが皆様の広い心でスルーして頂きたくお願い致します。
読み進めて不快になる場合は履歴削除をして頂けると有り難いです。
お返事は何方様に対しても控えさせて頂きますのでご了承下さいます様、お願い致します。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
薬華異堂薬局のお仕事は異世界にもあったのだ
柚木 潤
ファンタジー
実家の薬華異堂薬局に戻った薬剤師の舞は、亡くなった祖父から譲り受けた鍵で開けた扉の中に、不思議な漢方薬の調合が書かれた、古びた本を見つけた。
そして、異世界から助けを求める手紙が届き、舞はその異世界に転移する。
舞は不思議な薬を作り、それは魔人や魔獣にも対抗できる薬であったのだ。
そんな中、魔人の王から舞を見るなり、懐かしい人を思い出させると。
500年前にも、この異世界に転移していた女性がいたと言うのだ。
それは舞と関係のある人物であった。
その後、一部の魔人の襲撃にあうが、舞や魔人の王ブラック達の力で危機を乗り越え、人間と魔人の世界に平和が訪れた。
しかし、500年前に転移していたハナという女性が大事にしていた森がアブナイと手紙が届き、舞は再度転移する。
そして、黒い影に侵食されていた森を舞の薬や魔人達の力で復活させる事が出来たのだ。
ところが、舞が自分の世界に帰ろうとした時、黒い翼を持つ人物に遭遇し、舞に自分の世界に来てほしいと懇願する。
そこには原因不明の病の女性がいて、舞の薬で異物を分離するのだ。
そして、舞を探しに来たブラック達魔人により、昔に転移した一人の魔人を見つけるのだが、その事を隠して黒翼人として生活していたのだ。
その理由や女性の病の原因をつきとめる事が出来たのだが悲しい結果となったのだ。
戻った舞はいつもの日常を取り戻していたが、秘密の扉の中の物が燃えて灰と化したのだ。
舞はまた異世界への転移を考えるが、魔法陣は動かなかったのだ。
何とか舞は転移出来たが、その世界ではドラゴンが復活しようとしていたのだ。
舞は命懸けでドラゴンの良心を目覚めさせる事が出来、世界は火の海になる事は無かったのだ。
そんな時黒翼国の王子が、暗い森にある遺跡を見つけたのだ。
*第1章 洞窟出現編 第2章 森再生編 第3章 翼国編
第4章 火山のドラゴン編 が終了しました。
第5章 闇の遺跡編に続きます。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
【鑑定不能】と捨てられた俺、実は《概念創造》スキルで万物創成!辺境で最強領主に成り上がる。
夏見ナイ
ファンタジー
伯爵家の三男リアムは【鑑定不能】スキル故に「無能」と追放され、辺境に捨てられた。だが、彼が覚醒させたのは神すら解析不能なユニークスキル《概念創造》! 認識した「概念」を現実に創造できる規格外の力で、リアムは快適な拠点、豊かな食料、忠実なゴーレムを生み出す。傷ついたエルフの少女ルナを救い、彼女と共に未開の地を開拓。やがて獣人ミリア、元貴族令嬢セレスなど訳ありの仲間が集い、小さな村は驚異的に発展していく。一方、リアムを捨てた王国や実家は衰退し、彼の力を奪おうと画策するが…? 無能と蔑まれた少年が最強スキルで理想郷を築き、自分を陥れた者たちに鉄槌を下す、爽快成り上がりファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる