貴方がつくってくれた私の居場所

kanana_aho0727

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第1章

私の居場所

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 ある日の夕方…

トントンとノックをする音が聞こえた。
鈴華すずか、入るわよ」
と台詞と共に母は私の部屋に入ってきた。
母は私に何かを話ている。だけど最初の声以外は聞こえない。何かを喋っているのだけど私には何も聞こえない。
「………わかったわね?手間をかけさせないでね…」
といい母は出ていってしまった。
しばらく経って父が来た。今度はノックをするが、部屋に入らずその場で何かを話している。まただ、何も聞こえない。
「……わかったなら、荷物をまとめろ。」
やはり最後に放つ言葉しか聞こえない。
きっとあのことだろう。そして、聞こえないのではない 。
聞きたくないだけなんだ。私は…
そう…私は今からこの家から出ていかないと行けないから…

****

私は小さい頃に実の両親を無くしている。流行病で2人とも私を残してぽっくりと逝ってしまった。小さい頃は親戚の家をたらい回しされていた。ようやく新しい家族に拾われた。その家の妻は子供が欲しいが産めない体だった。だから私が来た時は凄く喜んでくれた 。だけど、先週義母が倒れ、病院に行った。結果はお腹に赤ちゃんがいた。それを聞いた3人は喜んだ。とても嬉しかった。しかし、そこで悲劇は起こった。現に本当の子供が出来てしまった。だから私は除け者…
義理の両親は言った。
「貴女が邪魔な訳じゃないのよ、ただこの子の前にはいて欲しくないだけ…」
「お前は凄く立派なわが子だ。賢いお前ならわかってくれるだろう?」
と。私はわかっていた。なんとなく、自分なりに
こういう日が来るのではないかと…
私は荷物の準備をした。行く宛なんてどこにもない…けれどここには私の居場所はもうない…戻る場所もない…
荷物をまとめ、部屋を出た。廊下は真っ暗だった。
居間も寝室も台所もどこにも明かりはついていなかった。
それだけど、玄関だけは明かりがついていた。
きっとそれはあの両親の優しさのだろう…
と考えながら玄関のドアを静かに音もなく閉め、その家をあとにした。
行く宛などない私はとりあえず、あの丘に行った。
幼少期に私の両親と行った母のアトリエ。そこには1本の八重桜と、母が好きだった花壇。今では草が好き放題伸びている。
私はアトリエの扉を倒した。正確には扉を開きたかったが、扉が倒れてしまったのだ。
「あー、どうしよ…これ…」
と言いながら倒れた扉を後にして、水道のところに向かった。実質、ここはアトリエであるが、色々設備は整っている。必要最低限な水道、ガス、発電機具、シャワールームだってある。ただ長いこと使われてないものだから、色々傷んでいる。
「こりゃぁ…掃除から始まりそう…」
と独り言を言いながら掃除を始めた。

*****

「ふぅ…やっと、ある程度まで終わった…」
ざっと全体的に終わらせた私はまだ生きていた発電機を回し、明かりを確保した。
少しホコリっぽいがまぁ、寝れなくもないくらいの少し古みがあるベットに寝転んだ。
懐かしい…母の匂い…
「今日からここが私の居場所…ふふっ」
と独りにやけながら呟いていると、いつまにか瞳を閉じて眠りについていた……





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