君だけの理解者になりたい

ラリックマ

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彼女の心境……

第16話妥協と成長……

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 ようやく待ちに待ってないテストが、明日始まろうとしていた……。

「もう今日はこれぐらいでいいんじゃないか? 多分平均点は取れるぐらい勉強しただろ……」

「あなた、平均点で満足してるの? 目指すは満点よ」
 
 満点!?
 今まで下から二番目とかだった俺に、何を言ってんだコイツは……。

「いやさすがに無理だろ……。最悪赤点を回避できればいいし……」

「そんな赤点以上なんかで妥協してるから、あなたは成長しないのよ」

「いやいや、俺前に比べて身長とかめっちゃ伸びてるぞ?」

「外見の話じゃなくて、内面の話よ。人って自分より下の人間を見下して、『俺はこの人よりは出来る』って自分を妥協するか、自分より上の人間を見て、『俺もこの人みたいになろう』って憧れて努力するかで、成長出来るか出来ないか代わってくると思うの……。

 ……。

「なんか深いな……」

 俺は矢木澤の言葉に少し感動した……。

「あなたが浅いだけよ。まあもっとも、あなたより下の人間なんていないから、あなたは妥協のしようがないのだけど……」

「いや、探せば俺より下の奴が……多分一人ぐらいはいるはずだ!」

 いやでも実際どうなんだ?
 俺より低スペックとかもうそれ人間じゃねぇだろ……。

「はぁ……。自分より下の人間を探している人間ほど、滑稽こっけいなものは無いわね」

 クスクスと矢木澤は、笑みを浮かべていた。

「まあそんないもしない人間を探すより、目の前の勉強に集中しなさい」

 そうして俺は、強制下校の時間まで、矢木澤に勉強を教わっていた。

「今日はありがとな……」

 俺は、矢木澤に勉強に付き合ってもらったお礼をする。

「お礼がしたいならテストでいい点を取りなさい。私が教えてあげたのに、低い点数なんか取ったら許さないわよ?」

「おう、任せとけ!」

 俺は自信に満ち溢れていた。
 彼女がここまで付き添ってくれたのだから、その期待に応《こた》えなくてはと思った……。
 俺は急いで家に帰る。
 俺は家に着くなり、自室にこもって勉強をした。
 自分の成績のためではなく、彼女が一生懸命に教えてくれたのだから、無様な点数を取るわけにはいかないからだ……。
 そして当日……。

「あら? あなた、目の下にクマができてるわよ? いつから飼われたの?」

 クマってそっちじゃないし、何故飼われる側!?

「いや、今日ほとんど寝てないんだよ……」

「じゃあその夜更かしの成果、見せて頂戴ね」

「おう!」
 
 もうすぐテストが始まる……。
 
「全員席に就け。そろそろだぞ」

 担任がチャイムが鳴ると同時に、問題と解答用紙を配り始める。
 この配られている間が、とても緊張する……。
 いつもはどうでもいいと思っていたテストなのに、今はリレーの順番待ちをしている気分に近い……。
 
「キーンコーンカーンコーン」

 始まりのチャイムが鳴り、全員が一斉に問題用紙を開く。
 最初の科目は数学……。
 一番勉強した科目でもあり、一番自信がある科目だ。
 俺は一問目を解いて、二問目三問目と順調にやっていく。

(何だこれは! テストがごみのようだ!)

 自分でも怖いぐらいに解けた。
 ワンチャン満点があるのではないかと思うぐらいに解けていた……。
 その後もテストは順調に終わり、一日目が終わった。

「テスト……どうだった?」

「いや、自分でも怖いぐらいできたぜ」

「そう……それならよかったのだけど……」

「本当にありがとな! これも花が教えてくれたおかげだよ!」

「花って……」

「あ、ごめん」

 テンションが上がりすぎたのか、ついつい矢木澤を下の名前で呼んでしまった……。

「いいのよ、それよりも今日は部活動なしね」

「あぁ、分かった」

 そうしてすぐに矢木澤は帰ってしまった……。
 
「少し元気がなかったか……?」

 今の矢木澤は、とても落ち込んでるように見えた……。
 もしかして、俺に教えていたせいでテストの出来が良くなかったとか……。
 俺はそんな心配をして、罪悪感に苛まれていた……。

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