君だけの理解者になりたい

ラリックマ

文字の大きさ
66 / 70
そして彼は、今までの失敗を学ぶ……

第65話杞憂……

しおりを挟む
 あれから一週間ほどが経ち、来週には文化祭というところまで迫ってきてしまった……。
 俺達は毎度のごとく、作戦会議という名のお話し会を開いていた。
 橋川が何か案を出しては、それを否定するという作業を繰り返す時間……。
 いつものサイゼで、俺達はぐでーっと机に倒れこんでいた。
 もう話し合いすらしてない。
 本当に無駄な時間を過ごしていると思う……。
 橋川も多分同じことを考えていると思うのだが、何故か律義りちぎに手伝ってくれている。
 橋川は机に伏せたまま、話しかけてくる。

「ねえ優太ー、私この一週間阿澄と矢木澤を観察してて思ったんだけどさー」

「なんだ?」

 そう問い返すが、橋川が言おうとしていることは大体わかった。
 それでも一応確認のために、続きを話すように促す。

「多分このまま何もしなくても矢木澤がいじめられることはないと思うんだよね」

「うん……なんか最近俺もそう思ってきた……」

 昔花が些細ささいなことがきっかけでいじめられたから、大事に考えすぎてしまったかもしれない。
 そもそも花がいじめられたきっかけは、中学二年の夏休みだと思う。
 それまでは悪口を言われるか、軽い嫌がらせをされるぐらいで、いじめというほどではなかった。
 あの夏休みに”何か”があったから、あそこまでひどくなったのだと思う……。
 まあ俺は花が夏休みに何があったのか知らないから、これは俺の想像でしかないけど。
 つまるところ、別に花と阿澄達がこれ以上何かめなければ、花がいじめられるなんてことはないと思う。

「じゃあこれからは花と阿澄達の様子を見つつ、何かあったらまた集合するってことで。だから明日以降は放課後残らないで、また何かあったら残るってことでいいか……?」

「まあこのまま残ってても何もないし、それが妥当だよねー」

 橋川はそういって、鞄を肩にかけて立ち上がった。
 俺も同じように立ち上がり、会計を済ませる。
 そうして俺たちはサイゼを出ていき、それぞれ家に帰った。
 まあ放課後残ったところで何か進展するわけでもないし、花も別に今後阿澄と何か揉め事を起こすこともないと思うから大丈夫だろ。
 フラグっぽいことを考えるが、まあ現実にフラグなんてものは無い。
 嫌な予感が当たったりするのも偶然であり、そういうフラグっぽいことを考えて当たってしまうのも偶然である。
 そしてそんな偶然が、今回一番当たって欲しくないときに当たるなんてことはありえない!
 俺は今までが杞憂きゆう過ぎたと思い、少しポジティブに今後のことを考えていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

あなたの隣は私ではないけれど、それでも好きでいてもいいですか、レオナルド様

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢エリアーナには、三年間ずっと抱えてきた秘密がある。 婚約者であるヴァルフォード公爵・レオナルドへの、誰にも言えない恋心だ。 しかし彼の隣にいるのは、いつも幼馴染の伯爵令嬢・ソフィア。 儚げな笑顔と上目遣いで男性を虜にするあざとい彼女に、レオナルドも例外ではないようで—— 「レオ、私のこと嫌いにならないでね?」 「……そんなことにはならない」 また始まった二人の世界。

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます

おぜいくと
恋愛
「あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます。さようなら」 そう書き残してエアリーはいなくなった…… 緑豊かな高原地帯にあるデニスミール王国の王子ロイスは、来月にエアリーと結婚式を挙げる予定だった。エアリーは隣国アーランドの王女で、元々は政略結婚が目的で引き合わされたのだが、誰にでも平等に接するエアリーの姿勢や穢れを知らない澄んだ目に俺は惹かれた。俺はエアリーに素直な気持ちを伝え、王家に代々伝わる指輪を渡した。エアリーはとても喜んでくれた。俺は早めにエアリーを呼び寄せた。デニスミールでの暮らしに慣れてほしかったからだ。初めは人見知りを発揮していたエアリーだったが、次第に打ち解けていった。 そう思っていたのに。 エアリーは突然姿を消した。俺が渡した指輪を置いて…… ※ストーリーは、ロイスとエアリーそれぞれの視点で交互に進みます。

カメリア――彷徨う夫の恋心

来住野つかさ
恋愛
ロジャーとイリーナは和やかとはいえない雰囲気の中で話をしていた。結婚して子供もいる二人だが、学生時代にロジャーが恋をした『彼女』をいつまでも忘れていないことが、夫婦に亀裂を生んでいるのだ。その『彼女』はカメリア(椿)がよく似合う娘で、多くの男性の初恋の人だったが、なせが卒業式の後から行方不明になっているのだ。ロジャーにとっては不毛な会話が続くと思われたその時、イリーナが言った。「『彼女』が初恋だった人がまた一人いなくなった」と――。 ※この作品は他サイト様にも掲載しています。

思い出さなければ良かったのに

田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。 大事なことを忘れたまま。 *本編完結済。不定期で番外編を更新中です。

私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです

こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。 まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。 幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。 「子供が欲しいの」 「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」 それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。

【完結】辺境伯令嬢は新聞で婚約破棄を知った

五色ひわ
恋愛
 辺境伯令嬢としてのんびり領地で暮らしてきたアメリアは、カフェで見せられた新聞で自身の婚約破棄を知った。アメリアは真実を確かめるため、3年ぶりに王都へと旅立った。 ※本編34話、番外編『皇太子殿下の苦悩』31+1話、おまけ4話

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
【3月中――完結!】 積み上がった伏線の回収目前!! 夫にも子どもにも、私は選ばれなかった。 長年の裏切りを抱え、離縁状を置いて家を出た――。 待っていたのは、凍てつく絶望。 けれど同時に、それは残酷な運命の扉が開く瞬間でもあった。 「夫は愛人と生きればいい。  今さら縋られても、裏切ったあなたを許す力など残っていない」 それでも私は誓う―― 「子どもたちの心だけは、必ず取り戻す」 歪で、完全な幸福――それとも、破滅。 “石”に翻弄された者たちの、狂おしい物語。

処理中です...