12 / 75
第1章 ダンジョン内に放置されたようです……
第十話 スキルがすごすぎて笑えてきます……
しおりを挟む
結菜は慰めるかのように結菜を見ている大きな狼さんを見つめた。
アルもクリード達による渾身の説得に結菜をクランに受け入れることにしたようである。
しかしながらクリード達の説得は凄まじい気迫であったようだ。
時折、「あなたには恩というものがないんですか⁉この鬼畜‼」とか「警備隊の奴らなんかにユーナちゃんを預けたらわかるよね、ね‼」とか聞こえてくる。
…………脅迫か‼心の中で鋭いツッコミを入れた結菜は、その会話を聞かなかったことにした。こういう時はスルーするのが一番なのである。
そのまま、未だ繰り広げられている会話を無視し、じっと大きな狼さんを見つめなおす。
(従魔かぁ…。アルさん達は一応オーケーくれたけど、そもそも私にはテイマーとかないし……。)
《スキル《所有者》を使用すると従魔契約可能。ダンジョン内のモンスターは魔力が凝縮されてできた魔素とダンジョン内の物質からダンジョンによって生成されます。よって所有可能。また生物でないので収納可能。ちなみに《テイマー》は《所有者》の下位スキルです。》
…………ふぉぉぉぉぉおう‼最っっ高だね‼宝珠の実達よマジで感謝です‼結菜はバンザイポーズで腕を突き上げて喜んだ。
結菜の周りの空気が一気に華やぐ。
この際アル達が変な目で自分を見てきたが、いっさい無視無視‼ここで気にしたら、防弾ガラス並の自分の心でもちょっとヒビが入りそうだ。結菜は瞬時にそう判断した。
《スキル《所有者》を発動し、ダンジョンマスターを従魔にしますか?―Yes · NO》
…………鑑定さんすっっごいですね。もう笑うしかないよ。アハハハ。答えはYesです‼はい。結菜はちょっと複雑だったが、るんるん気分で答えた。
次の瞬間、ダンジョンマスターの身体を光が包み込む。なんとなくCT検査みたいだ。
光が足元から頭の方へと上ってゆく。
そしてダンジョンマスターの頭までたどり着くと、パァァンと音をたてて弾けさった。
《成功しました。従魔契約完了。》
どうやら成功したみたいだ。アル達との戦いで傷ついていた大きな狼さんの身体が瞬く間に回復されていく。
「ほぇ~……………………」
結菜は自分から大量の魔力が吸い取られるのを感じた。どうやらテイムする時と傷の修復が同時に行われたためらしい。
ちなみに、その一部始終を見ていたアル達は考えることを放棄していた。
結菜が大量の魔力を放出したのを思い出す。
(((((あぁ、ユーナ(ちゃん)だからなぁ………。そうだよな……。うん、わかってた。)))))
まさか、今まで誰もテイムしたことがないダンジョンマスターを結菜がテイムするとは思ってもみなかった。
テイムする時には大量の魔力を吸い取られるため、魔力補充量が極端に多いダンジョンマスターをテイムするとなると、下手すると死ぬ可能性さえあるからである。
でも、予想外の塊である結菜にはその常識は通じなかったようだ。
遠い目をしながら、彼らははしゃぐ結菜を暖かく見守っている。しかしよく見ると、彼らの目は死んでいた。
………主に結菜のチート加減についていけなくなったのが原因である。
《テイム》の能力は珍しい。結菜がダンジョンマスターをテイムしたのはどう見ても明らかだった。
そう、それだけならまだ良かったのだ。
しかし、結菜にはまだダンジョンマスターを触れずに足止めできるほどの強力なスキルがある。
さらに、アル達は鑑定の能力も持っているのではないかとも感じていた。さっきから、名乗ってもいないのに、自分達の名前を彼女は知っているようであった。
……プライバシーとはなんだろう?アル達は改めて思ってしまう。後でちゃんと聞き出そうと彼らは固く決心したのであった。
そんなことも露知らず、結菜は大きな狼さんと戯れていた。怪我も治り、ふわふわの毛はさらに触り心地がよくなっている。
結菜は大きな狼さんに抱きつきながら思う存分もふもふを堪能した。ジュル。あっ、よだれが………。
しかし、ふと気づく。
「あれ?でもちょっと大き過ぎるよね。普通に五メートルくらいあるし……。大丈夫かな?」
結菜は一抹の不安を覚える。アルのクランでやっかいになるのに、大丈夫かな?と思ったのである。
大きな狼さんの身体は普通に大きかった。このままでは、クランの迷惑になってしまわないだろうか?
(っていうか、この大きさだと町とかで凄い目立ちそう……………)
う~ん困った。実に困った。結菜は頭を抱えた。
そんな結菜をエメラルドグリーンの瞳が静かに眺めている。
そしてその瞳の主は、結菜が驚かないようにそっと口を開いた。
『小さくなればよいのか?』
アルもクリード達による渾身の説得に結菜をクランに受け入れることにしたようである。
しかしながらクリード達の説得は凄まじい気迫であったようだ。
時折、「あなたには恩というものがないんですか⁉この鬼畜‼」とか「警備隊の奴らなんかにユーナちゃんを預けたらわかるよね、ね‼」とか聞こえてくる。
…………脅迫か‼心の中で鋭いツッコミを入れた結菜は、その会話を聞かなかったことにした。こういう時はスルーするのが一番なのである。
そのまま、未だ繰り広げられている会話を無視し、じっと大きな狼さんを見つめなおす。
(従魔かぁ…。アルさん達は一応オーケーくれたけど、そもそも私にはテイマーとかないし……。)
《スキル《所有者》を使用すると従魔契約可能。ダンジョン内のモンスターは魔力が凝縮されてできた魔素とダンジョン内の物質からダンジョンによって生成されます。よって所有可能。また生物でないので収納可能。ちなみに《テイマー》は《所有者》の下位スキルです。》
…………ふぉぉぉぉぉおう‼最っっ高だね‼宝珠の実達よマジで感謝です‼結菜はバンザイポーズで腕を突き上げて喜んだ。
結菜の周りの空気が一気に華やぐ。
この際アル達が変な目で自分を見てきたが、いっさい無視無視‼ここで気にしたら、防弾ガラス並の自分の心でもちょっとヒビが入りそうだ。結菜は瞬時にそう判断した。
《スキル《所有者》を発動し、ダンジョンマスターを従魔にしますか?―Yes · NO》
…………鑑定さんすっっごいですね。もう笑うしかないよ。アハハハ。答えはYesです‼はい。結菜はちょっと複雑だったが、るんるん気分で答えた。
次の瞬間、ダンジョンマスターの身体を光が包み込む。なんとなくCT検査みたいだ。
光が足元から頭の方へと上ってゆく。
そしてダンジョンマスターの頭までたどり着くと、パァァンと音をたてて弾けさった。
《成功しました。従魔契約完了。》
どうやら成功したみたいだ。アル達との戦いで傷ついていた大きな狼さんの身体が瞬く間に回復されていく。
「ほぇ~……………………」
結菜は自分から大量の魔力が吸い取られるのを感じた。どうやらテイムする時と傷の修復が同時に行われたためらしい。
ちなみに、その一部始終を見ていたアル達は考えることを放棄していた。
結菜が大量の魔力を放出したのを思い出す。
(((((あぁ、ユーナ(ちゃん)だからなぁ………。そうだよな……。うん、わかってた。)))))
まさか、今まで誰もテイムしたことがないダンジョンマスターを結菜がテイムするとは思ってもみなかった。
テイムする時には大量の魔力を吸い取られるため、魔力補充量が極端に多いダンジョンマスターをテイムするとなると、下手すると死ぬ可能性さえあるからである。
でも、予想外の塊である結菜にはその常識は通じなかったようだ。
遠い目をしながら、彼らははしゃぐ結菜を暖かく見守っている。しかしよく見ると、彼らの目は死んでいた。
………主に結菜のチート加減についていけなくなったのが原因である。
《テイム》の能力は珍しい。結菜がダンジョンマスターをテイムしたのはどう見ても明らかだった。
そう、それだけならまだ良かったのだ。
しかし、結菜にはまだダンジョンマスターを触れずに足止めできるほどの強力なスキルがある。
さらに、アル達は鑑定の能力も持っているのではないかとも感じていた。さっきから、名乗ってもいないのに、自分達の名前を彼女は知っているようであった。
……プライバシーとはなんだろう?アル達は改めて思ってしまう。後でちゃんと聞き出そうと彼らは固く決心したのであった。
そんなことも露知らず、結菜は大きな狼さんと戯れていた。怪我も治り、ふわふわの毛はさらに触り心地がよくなっている。
結菜は大きな狼さんに抱きつきながら思う存分もふもふを堪能した。ジュル。あっ、よだれが………。
しかし、ふと気づく。
「あれ?でもちょっと大き過ぎるよね。普通に五メートルくらいあるし……。大丈夫かな?」
結菜は一抹の不安を覚える。アルのクランでやっかいになるのに、大丈夫かな?と思ったのである。
大きな狼さんの身体は普通に大きかった。このままでは、クランの迷惑になってしまわないだろうか?
(っていうか、この大きさだと町とかで凄い目立ちそう……………)
う~ん困った。実に困った。結菜は頭を抱えた。
そんな結菜をエメラルドグリーンの瞳が静かに眺めている。
そしてその瞳の主は、結菜が驚かないようにそっと口を開いた。
『小さくなればよいのか?』
34
あなたにおすすめの小説
異世界に行った、そのあとで。
神宮寺 あおい
恋愛
新海なつめ三十五歳。
ある日見ず知らずの女子高校生の異世界転移に巻き込まれ、気づけばトルス国へ。
当然彼らが求めているのは聖女である女子高校生だけ。
おまけのような状態で現れたなつめに対しての扱いは散々な中、宰相の協力によって職と居場所を手に入れる。
いたって普通に過ごしていたら、いつのまにか聖女である女子高校生だけでなく王太子や高位貴族の子息たちがこぞって悩み相談をしにくるように。
『私はカウンセラーでも保健室の先生でもありません!』
そう思いつつも生来のお人好しの性格からみんなの悩みごとの相談にのっているうちに、いつの間にか年下の美丈夫に好かれるようになる。
そして、気づけば異世界で求婚されるという本人大混乱の事態に!
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
我が家に子犬がやって来た!
もも野はち助
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。
アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。
だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。
この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。
※全102話で完結済。
★『小説家になろう』でも読めます★
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!
おばさんは、ひっそり暮らしたい
波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
家ごと異世界ライフ
ねむたん
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!
異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる