俗物夫婦回帰転生

Jaja

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第三章 高校入学

第38話 告白

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 「ママ上にお話があります」

 「また? 緊張した顔してるけど。何かやらかしたの?」

 梓と会社設立の為の話し合いをした日の晩。
 一段落ついて、後は寝るだけの状態でいよいよ母さんに未来から戻って来た事を告白する。

 「実はですね…。俺、未来の記憶を持ってると言いますか…。未来で死んで何故か回帰したと言いますか…」

 「ふーん?」

 学力さん仕事せず。
 こういう時こそきちんとした説明を求められる筈なのにさ。やはり良匂なんてスキルを取ってる場合じゃなかった。次は絶対話術スキルを取るぞ。

 「まぁ、母さんからしたら何を言ってるんだって話なんだけど…」

 「去年の五月くらいの話かしら?」

 「え、うん」

 とりあえず未来で起こる事象について説明して、それで信じてもらおうかと思って、東日本大震災について話そうとした。まだ先の話だけど、直近で大きい出来事はこれしか思い浮かばなかったんだ。

 なのに、何故か母さんは俺が未来から戻ってきた時期を正確に言い当てた。ほわい?

 「やっぱりそうなのね…。何かおかしいとは思ってたけど、まさか本当に未来から戻ってきてたなんて…」

 「え? バレてた感じ?」

 なんと。そんな素振りは無さそうだったのに。
 何か怪しい事でもあったかな? いや、俺は結構馬鹿だから、知らず知らずのうちにやらかしてたのかも?

 「学校をサボったのもそうだし、急に煙草を吸い始めたのもそう。興味も無かった勉強にも力を入れたりして。不審に思われない方がおかしいと思うわ。宝クジだっておかしいもの。圭太と梓ちゃんが同時に3等に当たるなんてどんな確率よ」

 おぉ…。こうやって羅列されると中々やってるな。第三者視点から見ると結構おかしいって気付くもんなのか。

 「それで? 急にそんな事を言うって事は何か理由があるんでしょ?」

 「あ、はい」

 自分のあほさ加減に呆れてるけど、母さんはお構い無しに話を続ける。母さんは不審に思いながらも黙ってくれてたんだなぁ。

 「うーん…。どこから言ったもんか…」

 ここまでとんとん拍子で話が進むと思ってなかったから、ちょっとテンパってる。

 「とりあえず未来では俺と梓は交通事故で死んだ筈なんだよね。39歳の時だった」

 「39歳…。今の私より年上じゃない。って、やっぱり梓ちゃんも過去から戻ってきてるのかしら? 39歳まで一緒だったって事は結婚したのね? 孫は可愛かったのかしらねぇ」

 そうね。確か母さんはまだ36歳だもんね。結構若く見えるし。ギリギリ20代でも通用しそう。
 母さんは未来の事が相当気になってる様子。矢継ぎ早に色々聞いてくるけど、答え辛い事もありますな。まぁ、言わないといけない事だから言うんだけど。

 「うーん。俺達には訳あって子供は居なかったんだよね。それもちゃんと説明するけど、ショックを受けないでね?」

 「なに? あんた、まさか種無しなの?」

 ち、違うわい! 失敬な!
 自分の息子に種無しとか言うんじゃありませんよ!!

 「簡単に言うと母さんが俺の大学在籍中に死んで、梓の母さんも大学卒業して俺達が籍を入れてすぐに。二人とも過労死だったんだけど」

 ここでチラッと母さんを見てみる。案の定母さんはびっくりしてるな。そりゃ、後数年で自分が死ぬって言われたらびっくりするだろう。

 「私が過労死? あの職場でそんな過労するほど働くなんてあり得ないと思うんだけど」

 そうなんだよね。今の時代にしてはホワイトもホワイト。残業があっても、しっかり残業代も出るらしいし。それでも母さんは死んだんだ。

 「まぁ、そういう事があって、真面目に働くのが嫌になっちゃって。俺が今やってる株で生活してたんだよね。で、そんな不安定な生活をしてるもんだから、子供を作るのが及び腰になって…。ズルズルとタイミングを逃して39歳になってたって訳」

 子供もすぐに死ぬんじゃないかってビビってたところもある。若い頃は稼ぐのに必死だったし。
 安定し始めたのは三十代に入ってからだもんなぁ。

 「まぁ、分かったわ。納得はしてないけど。とても死ぬとは思えないもの」

 もしかしたら今回は死なないかもね。
 家ではなるべく休んでもらうようにしてるし。ほとんどの家事は俺がやっている。
 母さんがやってるのは晩飯後の皿洗いくらいだ。

 「それでだ。前に株をやりたいって言った時にも説明したけど、株ってのは未来の知識があるとやりたい放題出来るんだよね。どの株が高くなるか分かってるんだから当たり前なんだけど」

 未来知識が使い物にならなくなったら困るから、ちょっと気を使いながらになるけどね。
 やり過ぎたら未来知識が変わってしまうかもだし。

 「あら? 確かにそうね?」

 「そう。だから母さん仕事やめない?」

 「はい? なんでそうなるのかしら?」

 直球勝負失敗。勝負を急ぎ過ぎました。

 「いや、このまま働いてたら母さん死ぬかもしれないんだし。仕事をやめてゆっくりしてもらいたいんだよね。お金は俺がパソコンぽちぽちしてるだけで稼げるんだし」

 「そんな簡単に決めれないわよ。この年齢で無職になるのは勇気がいるわ」

 「そこでですよ奥さん! 俺が会社を作るからそこの社員になってくれないかなと! それなら合法的にお金を渡せるし」

 とりあえず月100万ぐらい。俺の気分によって随時昇給あり。業務内容は健やかに生きてもらう事ですね。
 
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