俗物夫婦回帰転生

Jaja

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第四章 大学受験

第43話 金色の暴君

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 「~~~♪ ~~♪ ~~~♪」

 いつものスタジオでの収録中。
 今回からは実験的にソロでの歌を試してみている。これまでは二人で歌ってたけど、偶にはソロ曲もありじゃないかと思いまして。

 「そういえばライブ放送が解禁されたよな」

 「確かにそうね。私達は出来そうにないけど」

 2011年の4月からYeahTubeでライブストリーミング機能が開始された。
 人気の配信者なんかはこぞってやってるみたいだが、俺達にやるのは難しい。
 まず顔出ししない事もそうだしやる場所がない。

 「実家に防音機能とかないもんなぁ」

 「ボロアパートだもの」

 引っ越しも視野には入れてるんだ。
 稼ぎは充分にあるし、それなりに広いタワマンにでも引っ越そうかなんて母さんと話した事もある。

 「でも大学は東大に行く予定だしなぁ。どうせなら東京にスタジオ付きの家でも建てたい」

 「今の稼ぎで足りるのかしら?」

 「足りませんな」

 引っ越し資金も新しく家を建てる為に貯めておいた方がいいのではと思って結局先送りになっている。東京の郊外にでもいいからそれなりに広い土地を買いたいんだよね。

 「東京のあんまり人気のない場所でも500坪ぐらい買うなら約10億。土地だけでもそれぐらいかかるんだよなぁ」

 「そんなにかかるのね…。家とかスタジオとか建てようと思ったら15億くらいかしら?」

 「だな。大学入学してすぐに住むなら後一年ぐらいで金を貯めて、造っていってもらわないと間に合わないぜ」

 「15億も貯めれるの?」

 「微妙」

 ほんとに微妙。
 現時点での株を全部売っ払っても3億ぐらい。
 未来知識もこの時の知識は完全に覚えてる訳じゃない。全て上手くいってギリギリ貯まるかどうかって感じだ。

 「それに税金分とか、その後の株取引の事とかを考えると多分間に合わないんだよなぁ」

 「じゃあ最初の方はここから通う事になるのかしら?」

 「多分な」

 車で通学すれば片道一時間掛かるか掛からないかぐらいだから、まぁ耐えられる。
 出来れば大学入学までに間に合わせたかったけど、仕方ないよなぁ。

 「焦らずゆっくりいきましょう。私達は現時点でも充分成功者の部類よ?」

 「だな。ライブ配信はなんとかやってみたいけど」

 「ここのスタジオでやったらダメなのかしら?」

 俺もそれは考えたんだけどな。
 スタジオで働いてる人に俺達がルトゥールって事がバレちゃうかなと思ってさ。
 それなりに人気が出てきたし、俺達が顔出ししないせいで、特定班とかも出てき始めてる。

 「別に無理にしないといけない訳じゃないしな。そりゃ、チヤホヤはされるだろうけど。ちゃんとした配信環境を整えられるようになるまで我慢した方が得策かなと」

 「そうね。何か良い案があればと思ったけど、部屋を借りるぐらいしか思い付かないわ」

 今は家を買う為に無駄遣いをなるべく避けてお金を貯める。大豪邸目指して頑張るぞい。




 「いよーっす。おっちゃん。景気はどう?」

 「ん? ああ、坊主か。なんか分かりにくい格好をしてるな」

 「ほら、俺イケメンだから。結構目立つんだよね」

 四月の下旬。
 いつも通り競馬場にやってきておっちゃんと合流。今日の変装は上手くいったようで、知己の仲であるおっちゃんでもぱっと見は気付かなかった。

 「確かにお前は顔が良いもんなぁ」

 「でへへへ。照れる」

 おっちゃんに褒められても嬉しい。
 どうも生粋の承認欲求モンスターです。

 「おっちゃんは良かったなぁ。今日は三冠馬の初陣だぞ」

 「ほう? 坊主がそこまで言い切るとはな」

 今日は皐月賞。
 金色の暴君の登場である。
 凱旋門二年連続二着やら、阪神大賞典での大暴走とか話題に事欠かない素晴らしい馬だった。
 池○君は不憫だけどね。何回も振り落とされてるし。

 「でもなぁ。凱旋門は○添騎手なら勝ててたんじゃないかって今でも思うよ」

 「ん? 何か言ったか?」

 「ただの独り言」

 お金払うから○添騎手にしてくれないかな。
 日本馬が凱旋門に勝つ所が見たいっす。
 俺が39歳になる頃でも勝ててなかったからなぁ。

 「で? その未来の三冠馬はどいつなんだ?」

 「おっちゃんはどれだと思う?」

 「むむっ。トーセンラ○かベルシャザー○か…」

 この時のオルフェーブ○って4番人気なんだよな。美味しいわぁ。癖の強い馬だから仕方ないけどさ。

 「サダムパテッ○!」

 「残念。それは二着でありんす。オルフェー○ルだよ。この馬は面白いから注目する事をおすすめするね」

 回帰して良かった事は三冠馬の誕生に立ち会えるって事なんだよね。
 菊花賞は京都まで行こうかな…。


 そしてパドックを見終わるとおっちゃんは持って来ていたノートパソコンを操作してサイトを更新する。俺は既に応援馬券も買ってるし、ここまでで既に結構稼いでるけど、最後の仕上げとして三連単をしっかり購入。


 「強すぎー」

 「やべぇな。いや、それを当たり前のように当てる坊主もやべぇんだが」

 「ふはははは!」

 すまんな。未来知識をカンニングしてるだけなんや。今回は結果が分かってても楽しめて満足。
 来年には俺が馬で一番好きなのも出てくるし。
 楽しみでいっぱいだぜ。
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