俗物夫婦回帰転生

Jaja

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第四章 大学受験

第56話 二日目

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 「け、圭太…。お前ってやつは…」

 「夢中にさせちゃうぞ☆」

 「おぇぇぇ…」

 文化祭二日目。
 朝からやってきたまさるやその友達に特大のサービスを(具体的には胸の前でハートマークをつくり片手を上げてウインクキャルルン☆)をしてやったら、かなり不愉快な反応をされた。
 昨日はそれなりに萌え豚を量産したんだが。
 ほら、お前の友達も一人ときめいてるぞ。

 「なあ、まさる…。あの子本当に男なのか?」

 違った。俺じゃなくて曽川君にだった。
 またしても一人の性癖を歪ませてしまったらしい。罪作りな男だぜっ。

 曽川君とまさるは去年の夏に会った事があるので、男って事は知っている。
 まさるは事情を説明しながらも、俺が案内した席に着く。

 「圭太、お前しんどくないのか?」

 「いや? 慣れれば面白いぞ? 股がスースーするのは違和感があるけど」

 なんかまさるに憐れみの目で見られた。
 うちのクラスの行列を見てくれ。これだけ繁盛してるなら、やる気だって出るに決まってるざんす。

 「ほら。ご注文は? 今なら特別サービスで『美味しくなぁれ♡』も付けてやるぞ」

 「いや、大丈夫だ」

 「それ、あの人にやってもらう事って出来るかな?」

 まさるは間髪入れずに遠慮してたけど、連れの友達は曽川君を指差してモジモジしながらお願いしてきた。ガチ恋勢みたいじゃん。その道は修羅ぞ?
 具体的には強面のパパさんとか。


 「お待たせしました。カフェラテとココアとアイスコーヒーです」

 「ありがとうござ…って中村か。すげーカッコいいな」

 結局連れの友達は熟考に熟考を重ねた結果、曽川君へサービスを頼むのをやめた。
 修羅の道を歩む勇気は無かったらしい。英断であるな。

 代わりにまさると喋りたかったみたいなので、今クラスで一番性癖をクラッシュしている梓を送り込んだ。

 「うふふ。ありがとう。楽しんでってね」

 それだけ言って梓は離れたけど、曽川君推しだった男が次は梓に見惚れていた。
 あいつはなんだ? 惚れ性なのか? 梓はやらんぞ。俺の大事な彼女ですゆえ。
 まさるもしっかりと釘を刺しておいてもらいたいもんですな。


 まさるは他の所を回ると言って、うちのクラスから出て行ったが、程なくして俺と梓の母親がやって来た。

 「あんた。似合ってるのが腹立つわね」

 「まぁ、圭太君。可愛らしいわね。うちの梓はどこかしら?」

 パシャパシャと笑いながらiPhon○で俺の姿の写真を撮りつつ、席に座る母さん達。
 ここでもスペシャルサービスをしてあげようかと言ったんだけど、あの子にやってもらいたいと指差したのは曽川君だった。

 あやつ…。マジもんでヤバくないか?
 普通に男の娘キャラで配信者とかやったら受けそうなんだけど。
 パチモンの俺と違って、ナチュラルに人を惹き寄せる魅力があるんだろうな。

 こういう人って、人の懐に入るのが上手だから対人関係系の仕事に就けば上手くいきそうだけど。
 いや、ちょっと純粋すぎるのが難点かな? それもまた魅力なんだろうけどね。

 「あらあら。梓ちゃん。ピシッとカッコいい格好しちゃって。うちの圭太なんかより全然良いわよ」

 「圭太の方がもっとカッコいいですよ」

 そんな事を思ってたら梓もやって来て、母さんと話をし始めた。
 そうだそうだ。もっと言ってやってくれ。
 俺の課金容姿だって捨てたもんじゃないぞ。
 ファンクラブだっているんだからな。

 「圭太君は元気? 最近あんまり家に来ないじゃない?」

 「そうですか? 一週間前に行ったような…」

 「もうっ。一週間も経ってるのよ?」

 俺は俺で梓のお母さんとお喋り。
 この二人は喋り始めるとマジで長いんだ。
 まだ当番の時間も残ってるので、適当に話を切り上げてその場を離れる。

 「ふぅ。マシンガンを放たれる前に離脱出来て良かったぜ」

 「他の子が捕まらなきゃいいけど」

 特に曽川君な。
 しかも人が良いから、途中で無理矢理話を切る事も出来ない。こっちが注視しといてあげないとなるまいて。


 母さん達は演劇やらを見に行ってそのまま帰るらしい。まぁ、多分またどっかでお茶でもしながら話し込むんだろうが。
 最近では週一ペースで会ってるってのに、何をそんなに話す事があるんだ。おばさまトークって不思議だよな。

 そして俺と梓と曽川君はまさる達と合流。
 これまたそのままの格好で出て来たもんだから、惚れ性の友達の目が忙しそうだった。
 少しでも梓に色目を使おうとしたら、俺がふしゃーって威嚇するから居心地が悪そうでしたな。
 少し申し訳ない事したと思わなくもない。

 でもですね。
 人の彼女に色目を使う方がおかしいと思うんですよ。そうだよね? よし。おれは悪くない。

 そんなこんなで、二日間に渡る性癖破壊祭り…文化祭が終了した。
 俺達のクラスは売り上げ部門で圧倒的トップ。
 賞状なんかももらって嬉しかったです。

 「来年はこんなに楽しめないかもな」

 「受験の追い込みとかがあるものね」

 マジで高校生って楽しめるのは二年生までだよなぁ。就職組だって遊んでられないだろうし。
 今、バイトしてる所でそのまま拾ってもらえるパターンもあるんだろうけど、そんなのは極僅かだろうしさ。
 みんなどんどん大人になっていきますね。
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