俗物夫婦回帰転生

Jaja

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第四章 大学受験

第58話 ネタ探し

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 「今回の中間テストも全教科満点と」

 「先生達も意地になってる気がしない? 絶対に100点を取らせてなるものかってぐらいの気迫を感じられるのよ。特に今回の最後の数学の問題。解くのに3分も掛かったわ」

 「今まで引っ掛け問題ばっかりだったのに、最後はちゃんと難しい問題だったもんな」

 当たり前の様に俺と梓が全教科100点を取るもんだから、先生方がムキになってる様な気がする。
 そのとばっちりが他の生徒にいってるのは大丈夫なんだろうか。今回の数学の平均点とかかなり低かったぞ。

 「スキルで感じるのは嫌われてる訳じゃないんだよな。なんかどこまでやれるのか試されてる感じ」

 「巻き込まれた他の生徒はたまったもんじゃないわよ」

 それはそう。
 別に範囲外の問題を出されてる訳じゃないから、問題ないんだけど、お偉いさんに怒られたりしないんだろうか。
 でも俺達二年の学力は例年より上がってるらしい。毎回の様に勉強会を開いてるお陰だろうか。

 この前勉強会に先生が参加してた事があったしな。生徒に教えられてプライドとかは大丈夫なんだろうか。先生が気にしないならこっちは全然良いんだけどさ。

 「これで期末まではゆっくり出来るな」

 「球技大会だけだものね」

 中間テストが終わって、残りの二学期のイベントは球技大会と期末テストだけである。
 あ、三者面談があったか。

 「まぁ、ただの進路相談だし、あんまり気にする必要もないか。俺達は進路決まってるし」

 「そうね。それより、動画投稿のネタはどうするのかしら?」

 「それなぁ」

 ルトゥールの活動は相変わらず歌の投稿だけだ。
 一回『ギルドウォー』の宣伝配信をしたけど、それが思いの外好評だった。
 顔出しもしてないし、需要がないだろうと思ってたんだけど、結構Twitte○のメッセージとかでも、歌以外も待ってる声が結構ある。

 後、企業からの宣伝案件。『ギルドウォー』が人気になってきたからだろうな。
 効果があると思って、アプローチしてきてる企業がある。中には大手からの依頼もあって、受けても良いかなと思ったんだけどね。
 梓が難色を示した。

 「これ、一回受けるとキリが無くなるわよ。なんでここの企業は受けたのに、うちの企業はーみたいな事を言われるに決まってるわ。選り好みしてたらしてたで、お高くとまってるだのアンチが騒ぎ出すのよ。『ギルドウォー』は私達が色々手を貸してて、社長とも知り合いだから特別に受けた。このスタンスを突き通すべきね」

 との事なので、学力100を使った丁寧な言い回しでお断りさせてもらってる。
 もっと時間的余裕があれば、その時に考えますね。具体的には大学卒業して本格的に活動し始めたくらい。後5年程お待ち下さい。

 「なんか顔出しがなくても面白いネタってないもんかね」

 「定番はゲーム配信よね」

 だなぁ。
 あれならメインはゲーム画面だから、顔出しが無くても喋りとPSでなんとかなるだろう。
 何をするかによるけどさ。

 「ゲームのスキルでも取る?」

 「迷ってるんだよな。ゲームってスキルを取って果たして楽しめるのか」

 ゲームのスキルはある。
 それは確認済みだ。だけど取るのを躊躇ってる。
 今までスキルを取って楽してきたのに、今更何を迷ってるんだと言われるかもしれないが、スキルを取って100%クリア出来るゲーム、勝てるゲームは果たして面白いのか。

 華麗なPSを見せたりすると、それはもう盛り上がるだろう。でもなんでもかんでもスキルを取ると、日々を楽しめなくなるんじゃないか。
 いくつかの趣味はスキルを取らずに、素の実力で楽しんでも良いんじゃないか。そう思ってる訳ですね、はい。

 「それに完璧すぎる姿を見せるより、何か苦手な分野があった方が親しみがあると思うんだよね」

 「それはそうね」

 チヤホヤされるには完璧なだけではダメなのだ。
 偶に見せる鈍臭いギャップ。
 そういうのがあってこそ、愛されるキャラになるんじゃないかと。俺はそう思う訳ですよ。
 チヤホヤ道は一日にして成らず。
 こういった小賢しい戦術も必要なのだ。

 母さんを救った今、俺達はチヤホヤされる為に人生を懸けている。
 どういうキャラを作り上げていくか、しっかり考えていかねばなるまいて。
 
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