俗物夫婦回帰転生

Jaja

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第四章 大学受験

第63話 今年も終わり

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 「はいはい。オルフェオルフェ」

 旅行から帰って来てすぐ。クリスマスだってのに、男二人で中山競馬場。
 一年の競馬の締めくくり、有馬記念である。

 「三歳馬だってのに勝てるか?」

 「勝てるよ」

 「でもなぁ。ディープだって負けたんだぞ?」

 どうやらおっちゃんは心配らしい。
 クラッシックのあの勝ち方を見て信じられないとは。おっちゃん競馬向いてないのでは?
 まぁ、ディープも圧倒的な勝ち方をして、有馬でこけたんだけど。
 あれはルメー○が素晴らしかったんだ。
 勿論、ハーツクラ○も良い馬だが。

 「そのルメ○ルが今回も居るんだぞ?」

 「ん? ああ。エイシンフラッシ○か。2着だね」

 「ほんとかぁ?」

 なんだなんだ。今日はやけに突っ掛かるな?
 いつもははいはい言いながらサイトを更新してるくせに。

 「いや、2005年にディープに突っ込んでボロ負けしたからよ。ちょっと嫌な記憶がな」

 「そこまで心配なら保険かけとけばいいじゃん。エイシンフラッ○ュ1着の馬券も買っとけば?」

 まぁ、今回はメンツが豪華すぎる。
 迷うのも仕方ないと思うけどね。
 ブエナビス○の引退レースでもあるし。

 他にも、トゥザグローリ○、ルーラーシッ○、トーセンジョーダ○、ヴィクトワールピ○、アーネストリ○とG1馬が盛り沢山。
 あ、ルーラーシッ○はまだ勝ってなかったかも。

 「改めてみるとメンツやばいな。良くこのメンツで勝ち切ったよ」

 「いや、まだ始まってもないんだが」

 そうでした。
 既に勝った気でいるのは流石におかしいよね。
 おっちゃんは今更かって思ってくれるだろうけど。




 「くはぁ! マジでつぇえな!!」

 「勝ち方が良いよね」

 結局歴史は変わらずオルフェが勝った。
 まぁ、競馬に影響を与える様な事も特にしてないし、変わらんのはスキルでも分かってたけど。
 馬券の買い過ぎで影響あるかなと思ったんだけど、特にそんな事もないね。

 「あの超スロペースでも勝ち切るんだもんなぁ。外回ってからあの脚を使えるってやばいだろ」

 そうね。これで気性がね。もう少しアレだったらね。……いや、それじゃオルフェらしくないか。


 「んじゃ、良いお年をー」

 「ああ。来年もよろしく頼むわ」

 競馬場で別れてタクシーに乗る。
 今日で今年おっちゃんに会うのは最後だからね。
 年末の挨拶を交わしつつ、いつものカラオケへ。


 「ほい。ステータスボードに突っ込んどいて」

 「はいはい」

 梓と合流し、いつもの様にお金を渡す。
 もう万札をどれだけ見てもビビらなくなってきたなぁ。慣れって怖いね。果たしてこれが良い事なのか悪い事なのか。

 「デートしなくて良かったの?」

 「良いわよ。どこに行っても人が多いんだし。楽しめると思えないわ」

 一応クリスマスって事でね。
 有馬記念があるけどデートしようかって話はしてたんだ。でも、梓がどこ行っても人が多いからってあんまり乗り気じゃなかった。
 そのお言葉に甘えて俺は競馬に行ってきたんだけど。

 「今年ももう終わりだなぁ」

 「そうね。あっという間だったわ」

 来年はなんかあったっけ?
 オリンピックぐらいしか記憶にないや。
 なんか過去最高のメダル獲得数になるんじゃなかったかな? あんまり興味がなくてうろ覚えなんだけど。

 「来年も一瞬だろうな」

 「過去最高に忙しくなるんじゃないかしら?」

 受験と並行して動画投稿も続けたいしね。
 月一で歌をあげながら東大に現役合格。
 卒業した後に顔出しして、学歴マウントを取って。これだけの事をしながらの現役合格したと分かれば、更にチヤホヤされる事だろう。

 「学生もいいけどそろそろ大人になりたいや」

 「制限が多いものね」

 未成年は何かと不便だ。
 まぁ、守られる立場であるのは良い事なんだろうけど。大きい事をしようとすると色々面倒事が多い。学生生活も悪くないけど、そろそろ大人になりたいってのが本音かな。
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