サイコパス、異世界で蝙蝠に転生す。

Jaja

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第四章 迷宮都市ラビリントス

第97話 続・妲己との模擬戦

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 「停止の【魔眼】も使っていくしかないか。魔力消費多いからなるべく避けてたんだけど」

 妲己との模擬戦が始まって1時間は経った。
 一進一退の攻防を繰り広げているが、俺の方がやや分が悪い。
 魔力消費が俺の方が激しいんだよね。
 【超念力】を防ぐために【魔纏鎧】を使ってるからなんだけど。

 「どらどらどらぁ!」

 【音魔法】を乱射し、とりあえず妲己に防がせる。これが一番隙を作れるんだ。
 
 「シャドウバインド! それに停止も追加じゃい!」

 「キュ…キュン!」

 どっちか片方だけじゃ、すぐ動いてくるからな。
 これで1秒は止めれる。

 「今度こそ当たりやがれ!!」

 俺は更に【音魔法】で魔法を撃ちながら、妲己に高速接近。
 とにかく、妲己の処理能力以上の攻撃をする必要があったからな。
 大きく振りかぶり、思いっきりパンチする。

 「そうするよなぁ!!」

 「キュ、キュブン!」

 苦肉の策として、サイズ変更で避けようとしたのを読んでいた俺は、ギリギリで方向転換。
 子犬サイズになっていた妲己を思い切り蹴り飛ばす。
 中々に心が痛む所業だが、正直そんな事を言ってられない。
 俺に痛む心があるのかって?
 流石に身内にこんな事をしたいとは思わないさ。

 このチャンスを逃すと俺は負ける。
 だからなんとしてもここで仕留める。
 一連の流れで魔力を使い過ぎたから、ここから更に長期戦になると魔力切れは俺の方が早い。

 「回収じゃ、おらー!!!」

 「キュ、キューン!」

 確かに血が流れたのを見た俺は、即座に【血液魔法】を行使。
 再生されたらたまったもんじゃない。

 妲己もかなり抵抗してるが、俺は最後の力を振り絞り出力を上げる。
 吸血鬼様を舐めるなよ! 血を回収させたら右に出るもんはいないぜ。

 「キューン」

 「ふはははは! 勝った! 勝ったぞー!」

 妲己が降参するようにヘソ天。
 なんとか勝利である。

 「あー疲れた。疲れたぞ。異世界に転生してから一番疲れた」

 「キュン」

 その場で寝転がった俺に妲己もぽてぽてと歩いてきて一緒に転がる。

 「処理能力の差で勝った感じだな。高速思考が無かったら負けてただろう」

 後、【幻影魔法】を使わせる隙を与えなかったのもポイントが高い。あれも中々処理能力を使うらしいからな。

 「キュン」

 妲己は悔しそうにしつつも、満足そうな顔をしている。
 同じ様な防ぎ方をしようとしたのが良くなかったね。まっ、そうさせた俺が偉かったという事で。
 【天空歩】で避けるとかあったと思うけど、思いつかなかったのかしらん?
 後で伝えておこう。

 「お疲れ様です。辛勝でしたね」

 「勝ちは勝ちだから良いんだ」

 【魔纏鎧】をもっと練習すれば、更に勝率は上がるんじゃなかろうか。
 ここから、妲己も成長するからなんとも言えないけどさ。

 「とりあえず影に入ろう。服は防汚が付与されてるから良いけど、体が土まみれだ。妲己も綺麗にしないとな」

 「キュン」

 洗われるのが嫌いな妲己も今日ばかりは素直に従う。かなり汚れてるからね。それだけ激戦だったんだ。



 「ふぃー。すっきりした」

 グレースに綺麗にしてもらい、煙草を吸って一服。クラーケンの血をグラスに注ぎ勝利の美酒に酔いしれる。

 「さてさて、反省会をしようかね」

 一通りくつろぎ終わった後はしっかり反省だ。
 今回はなんとか勝てたけど、妲己は真面目だからな。次は対策を立てて来るはずだ。

 「【魔纏鎧】の練習は絶対として。攻撃手段を増やさないとなぁ」

 「通常の相手だったら、十分過ぎるんですけどね」

 「同格、格上相手には通じないのがな」

 隙を作る事は出来るんだけど、そこからもう一手何か欲しいね。
 【感覚狂乱】も一瞬しか通じなかったし。
 やっぱりまだ、雑魚専門スキルだな。

 「【血液魔法】が支配に進化すれば解決しそうな問題だけど、そこに期待するのもなんか違うし。次の進化は攻撃系かな」

 「【魔纏鎧】も攻撃に転用する事が出来ると思いますが」

 「身体能力は爆上がりするだろうな。って事は魔法能力か」

 新しい魔法か。あんまり気乗りしないんだけど。
 これ以上増えても使いこなせるか不安なんだよね。高速思考が出来るようになったとはいえ、使う俺が馬鹿なので。難しい事は苦手です。

 「まっ。進化したばっかりで次はまだまだだし。今から考えてもな。それまでに何か別の能力が必要になるかもしれん。今は新しく得た能力の練習だな」

 「私も負けてられませんね。さっきの戦いを見た感じ、現状勝ち目は無さそうですが」

 「【シックスセンス】をどう活用するかだな。未来予知じみてるし、魔法の弾幕はなんとかなるだろ」

 「【超念力】がですね…」

 それはね。どうしようもないね。
 頑張って【魔纏鎧】を覚えてくれとしか言えませんわ。ムカデみたいな装甲を手に入れるとかさ。

 「妲己は疲れて寝てるな」

 結構疲れてたのか、サイズ変更を忘れて元の大きさで寝ている。
 それを良い事に、アシュラ、ウェイン、テレサがそれぞれ埋もれて一緒に寝ている。
 アシュラとテレサももっと強くなるんだろうね。
 現状で負けるとは思わないけど。
 ウェイン? 俺はもう期待してないよ。
 生産頑張って下さい。

 「俺も体は疲れてるけど、勝ったお陰か、気は昂ってるんだよね」

 「では、あちらに行きましょうか」

 待ってましたとばかりに、俺の手を引いてラブホと変貌した馬車の中へと向かう。
 仕方ないよね。頑張ったんだもの。
 ご褒美があっても良いと思うんです。

 今日は奉仕プレイでお願いしますよ。
 
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