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第五章 魔王討伐
第160話 格
しおりを挟む「それって上位存在ってやつ? なんか一回メッセージ貰った事あるなぁ」
竜王から当たり前の様に聞かされた真実。
相変わらず名前は聞き取れないんだけど。
それでも俺に目をかけてくれる存在の詳細は分かったのは僥倖である。
『そそ! 上位存在ってのは、まぁ簡単に言えば神様だよね! テムっちとアイちゃんは有名だもんね! ※※※※様は色々問題ありなんだよねぇ』
「やっぱり聞き取れないな。ここまで知ったんだから、名前ぐらい知りたいんだけど」
『およよよ? 分からない感じ? ん…んー? あぁ。レト君はまだ格が足りてない感じか! プロテクトに引っかかってるんだねぇ。それで良くアギャちゃんに勝てたね!』
格。格ねぇ。まだ侯爵なのがいけないんだろうか。ってか、名前にすらプロテクトをかけるぐらいやばい存在なの? 名前を言ったらいけないあの人みたい扱い? もしかしてかなり厄介な感じなのだろうか。竜王が問題ありって言うぐらいの方だぞ?
そんな人から名前貰っちゃった俺は、残りの二柱の神様から要注意人物として見られたりしてないかしら。
俺はこの世界に転生出来て感謝してるから、出来れば敵対みたいな感じは避けたいんだけど。
人を殺しすぎるなってのも、そのお二方が言うなら我慢するくらいには。ちょっとだけね。
まぁ、転生させてくれたのがそのお二方ならの話だけど。
「アギャインに勝てたのはテレサの存在が大きいな。厄介そうな魔法は全部そこらに飛ばしてもらったから。俺は相手が苦手な筈だった接近戦でなんとか勝ちを拾ったって感じ。それでもギリギリだったんだけど」
『にゃるほどねー。人間の領域に被害が出たのはレト君が悪い訳だ? ほんと勘弁してよねー。また神聖王国から話を聞かせてくれって押し掛けて来るじゃんよー』
滅茶苦茶嫌そうな顔してるな。人間の相手をするのは面倒なんだろうか。
『まっ、良いか! 最近人間は平和続きで、ちょっとボケが入ってたみたいだし? ここらで魔王の脅威ってのを思い出してもらったのは悪くないでしょ!』
「魔王の脅威って。最近思い知らされたばっかりじゃね? 4.50年前に結構国を滅ぼされたらしいじゃん」
『そうなんだけどね? 結局、魔王を討伐出来たでしょ? それで、魔王は恐れるに足らずみたいな過激派がいるんだってさ。そういう馬鹿がいるせいで人間の数が減っちゃうってのにさ。俺ちゃん達魔王が抑止力になってるおかげってのを理解して欲しいんだよね。人間は愚かだから無理だろうけど!』
わははははと笑いながら飛び立とうとする竜王。
あれ? もう帰る感じ?
「帰るの?」
『なになに? レト君は残って欲しい感じ?』
「いや、聞きたい事は山ほどあるけど、どうしてもって感じじゃないし。ちょっと、そのテンションに付き合うのも疲れてきたから、どうぞお帰り下さい」
『にゃははは! 俺ちゃんにどうしても会いたくなったら、寝床まで来てね! いつでも歓迎するよ! んじゃ! アギャちゃんにもよろしく言っといてー! あ、後、人間は殺しすぎないように! 節度を持って殺すんだよ! ばいばーい!」
そう言って羽ばたく竜王。
一度の羽ばたきで、姿が見えなくなってしまった。飛んだのか、転移したのか。それすらも分からない。
「頂上は果てしないな。あれに喧嘩を売ったアギャインには尊敬するぜ」
馬鹿な俺でも実力差ってのが簡単に分かる。
あれは生物としての格が違いすぎる。あんなチャラい感じの奴に負けてるのは非常に業腹だけど。
「そういえば、格云々は竜王も言ってたな。俺はまだまだ強くなれるって事ですか」
公爵、王、皇帝。
多分、これぐらいは進化するだろう。
それで竜王に追いつけるのかは分からないけど。
「困ったなぁ。こっからどうやって経験値を貯めれば良いんだろ。人間は鼻くそみたいな経験値しか貰えないし」
各地の迷宮を回っていくのがベストか。
他の魔王にご挨拶に行くのもいいかも。
「いや、竜王に怒られるか? 喧嘩になったりしたら、また人間の領域に被害が出るし」
行動に枷を付けられた感じはするなぁ。
まぁ、100年に一回ぐらいなら滅ぼしても良いって言われたけど。
普通に考えて100年って長いよね。まだ人間の時の感覚でいるからだろうか。
不老の奴らからしたら、100年なんてあっという間かもしれないし。
「まぁ、いいや。暇潰しに超大国でも作ろうかな。神聖王国にも負けないぐらい大きい国。世界を巻き込んだ大きな戦争を起こしてやろうか」
場所が問題になるけど。どこか良い立地はないかね。現代知識を盛り込みまくった、近代国家を作ってやりたい。
まぁ、頑張るのは主にウェインだけど。
「適当に旅しながら良い場所を探すか。ついでにユニークスキル持ち。国を作るなら人手が足りない」
うーん。国作るの面倒になってきたな。
少数精鋭で頑張るか? なんなら良い感じの場所に城でも建ててそこで遊んでる方が楽な気がする。
飽きないかが問題だけど。国を作るという事は国民を養うって事で。
「何かの弾みで自国民に手を出しそうなんだよな、俺」
ふと思い立って虐殺してるのが目に浮かぶ。
実験と称してウェインが弄り回すのもありえそうだ。
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