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第2章 夏の始まり
第45話 VS三高3
しおりを挟むすぐさまタイムがかけられ、チームメイトが三井先輩に駆け寄る。
ベンチから見てる限り、受け答えは出来てるみたいだが未だに立ち上がる事が出来ていない。
打ったバッターも心配そうにそして、申し訳なさそうにマウンドを見ているがこればっかりは仕方ない。
わざとやった訳じゃないんだし。
「って、やべ! 肩作らないと!」
ぼーっとしてる場合じゃねぇ!
恐らく交代になるから俺が投げないと!
俺、肩作るのに時間がかかるんじゃー!
俺が急いで肩作ってる間に、タンカが運びこまれていた。
どうやら、自分で立ち上がるのも無理っぽいね。
そして、そのまま交代が告げられ俺の名前がコールされる。
くっそー!
もうちょい時間稼いでほしかったー!
肩は出来てないし、雨降ってるから指先がふやけて感覚ちょっとおかしいしで、コンディションは最悪。
そのくせ、大ピンチと。主人公みたいなシチュエーションですね。
内心の不安を隠す様にテンションを上げてマウンドに上がる。
「ピンチに颯爽と現れる黒豹! その名も三波豹馬! 見参!」
「「「………」」」
ふむ。どうやら滑ったようで。
お恥ずかしい限りです。
「それで? 先輩はどんな感じだった?」
俺は何も無かった様に話しかける。
こういうのは切り替えが大事なんだよ!
「左足首辺りがパンパンに腫れ上がってた。あれはやばいよ。良くて重度の打撲。多分折れてるだろうけど」
「マジかー。って事は完治にもそれなりに時間かかるか。甲子園間に合わないよな?」
「間違いなくね。ってか、甲子園の心配してる場合じゃないでしょ。今、大ピンチだよ?」
「ふははははは! 俺が投げるんだぞ? この様なピンチ、鼻歌交じりに抑えてくれるわ!」
強がってみたけど、結構やばいですよね、はい。
「とりあえず、だ! 俺はまだ肩が出来てない! ので、恐らく三振は取れん。中間守備でダブルプレー狙いでいいか? スクイズしてきそうだけど」
「えぇ…黒豹参上とか言って調子乗ってた癖に三振取れないの? はぁぁ。期待してたのに俺の買い被りだったかな。がっかりだよ。これじゃあ、黒豹じゃなくて黒猫だよね」
「にゃ! にゃんだとう!! やってやんよ! 俺やってやんよ!」
煽られ、乗せられの自覚はあるけれども、やれるだけやってやんよ!
「じゃあお願いね」
鼻で笑いながらキャッチャーボックスに戻るタイガ。
あいつ出来ないと思ってやがるな。
俺がやる時はやる男と思い知らせてやらねばなるまい。
幸い、相手は下位打線。
まだ気持ちに余裕を持って投げられる。
そして、初球。
ど真ん中にスローボールを放り投げた。
バッターはまさかそんなボールが来るとは思ってなかったのか思わずといった感じで手を出して、キャッチャーフライ。
タイガが呆れた顔してるけど、サインを出したのはお前だ。
俺が首を振るとでも思ったのか。
まぁ、これでツーアウト。ランナーを無視して集中できるな。
続くバッターをインコースのナックルカーブでボテボテのファーストゴロに打ち取る。
俺はベースカバーに入り、キャプテンからボールを受け取りベースを踏む。
その直後、ランナーは俺を避けようと足を大きく踏み出す。
俺もランナーを避けようとしたのだが近過ぎて避けきれず、偶々俺が避けようとした方向に相手の踏み出した足があり俺の足首の上へ。
俺は足首を思いっ切り踏まれて交錯。
ランナーと抱き合うように倒れ込んだ。
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