未冠の大器のやり直し

Jaja

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第4章 秋の戦い

第85話 ミーティング

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 「よし、ほな始めるでー」

 放課後の部室にて。
 練習は疲れが残らない程度に軽くやってから、次の対戦相手の関東一高のビデオを見る。

 「特別こいつは要注意って奴はおらんな。強いて言えば全員高いレベルでまとまってる感じか。松美林の上位互換や。白馬はおらんけど」

 機動力で引っ掻き回してくるチームだよね。
 塁に出したらめんどくさいんだろうなー。

 「先発は豹馬。1人で投げ切ってもらう予定やけど、金子も試合展開によっては出番あるかもしれへんからな。準備はしといてくれ」

 秀徳相手に完投した金子は、試合が終わった翌日はヘロヘロだったけど、今はやる気に満ち溢れてる。
 前回の完投はイライジャには打たれたけど自信になっただろうな。

 「打線に関しては特に心配はしてへん。相手のエースも三井と比べたら全然や。お前らなら打ち崩せる」

 龍宮の打線は都内屈指だもんね。
 今の俺でも無失点はちょっときついかもしれん。
 レオン、大浦、隼人のクリーンナップが残酷すぎるんだよ。
 
 「って事は次の試合は俺の出来次第って感じ? プレッシャー半端ないな」

 まあ、緊張する程でもないが。
 未だ体が本調子ではないとはいえ、負ける気はしないな。
 予期せぬアクシデントには注意だけど。

 「パンがプレッシャー感じる事とかないでしょ。世界大会の決勝でも飄々としてたのに」

 「確かに。お前緊張した事あるのか?」

 あるわ、馬鹿たれ。
 美人と話する時はいつもガチガチじゃい。
 野球関連ではないかなー。
 死後に、文字通り時間を忘れる程練習したからな。
 練習でやってる事を、試合でも同じようにやるだけ。
 身の丈に合わん事をしようとしなければいいのさ。

 「じゃあ、今日はこのビデオ見て解散な。自主練してもええけど、疲れは残すなよ」

 よーし! ブルペン行くぜー!
 最近ちょっと試してる球種があるんだよね。

 「タイガー! ブルペン付き合えー!」

 「えー、俺、最近調子悪いからバッティングの練習したいんだけど」

 むむむ。
 そう言われると無理にはお願い出来ないな。
 秀徳戦では四球一つだったし、本人も思う所があるんだろう。

 「父さんに相談したら? 最近こっち来てないから、不調の原因が分かるかもよ?」

 父さんは、最近経営の方で忙しい。
 新しく手を出そうとしてる事があるらしい。

 「そうしようかな。勝弥さんのアドバイスは的確だし、何か現状を打破出来る事があればいいんだけど」

 うむ。
 俺にはバッティングの事は分からんからな。

 「じゃあブルペン行こうか。今日もアレ投げるの?」

 「投げる! 手首に負担がかかるから数は投げれないけどな! 試合で投げれる程度には仕上げたい」

 「現状の変化球だけでも、充分プロレベルだと思うけどね」

 馬鹿野郎。
 プロレベルで満足出来る訳ないだろ。
 俺は世界最高のピッチャーになるんだ。
 背番号15は三波豹馬。
 これ、万国共通にしたいね。
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