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第6章 春到来
第140話 VS江陵5
しおりを挟むキャプテンは途中登板ながらも、完璧なピッチングで七回を三者凡退に抑えた。
カーブでのらりくらりと交わすピッチングをしてた金子から本格派のキャプテンだから。
強気のピッチングでストレート多めの配球で三振を一つ奪っていた。
「うーん。150キロでないな」
「練習では出てるんですけどね」
さっきの回は最速147キロ。
キャプテンは甲子園で150キロを出したいらしく、チラチラと球速掲示板を見てたからな。
「豹馬とレオンばっかり注目されるのは面白くないからね。先輩の意地ってやつかな」
「キャプテンも十分プロに注目されてると思いますけど」
正直、この一年でかなり伸びたと思う。
母さんの魔改造のお陰かな。
怪我さえなければなと思ってしまう。
「自分でもここまで成長出来ると思ってなかったよ。でも成長出来たからこそ、欲が出て来るんだよね」
「欲?」
なんじゃろな? 俺みたいにチヤホヤされて承認欲求を満たしたいとか?
「今までは漠然とプロに行けたらいいなと思ってたんだけどね。それだけじゃ物足りなくなったのさ。ドラフト一位指名を狙うよ」
ほう! ほうほうほう!
良いじゃないですか!
今でも怪我さえしなければ上位指名は確実だと思うけど、更に上を目指すと。
「それで150キロですか」
「うん。今じゃ、150キロを出す投手も珍しく無くなったけど、分かりやすい目安だからね。出来ればアピールしておきたいんだ」
「あんな風にですか?」
目の前では、ツーアウト1.2塁のチャンスでレオンがホームランを放っていた。
甲子園で三本目である。エースに抑えられた鬱憤を晴らすかのような特大アーチだ。
「あそこまでアピール出来たら文句ないだろうね」
ベンチに戻ってきたレオンが祝福されているのを横目にキャプテンが次の回の準備に入る。
俺はさっきまでブルペンでダラダラとキャッチボールしていたが、ある程度肩を作って戻ってきていた。
正直出番があるとは思えないし。
4番の大浦はショートへの痛烈のライナーに倒れて七回が終了。
5-0と一気に突き放した。
「球速を意識しすぎて制球乱さないようにして下さいね」
「あははは」
肯定も否定もせずに、苦笑いしながらマウンドに向かうキャプテン。
無理だろうなぁ。意識しないようにと思ってる時点で意識しちゃってるもんね。
俺もたまにあるから気持ちは分かる。
そして試合はそのまま終了。
キャプテンは八回と九回で四球を一つずつ出して、案の定ちょっと凹んでいた。
球速も147キロ以上出なかったしね。
ベンチからみても丸分かりなぐらい力んでいた。
「高校生が目先の記録を意識しないなんて無理だよな。プロでも難しいんだし」
「ほんと、パンが言うと嫌味にしか聞こえないよね」
ごめんなさいね。豹馬君フィーバーで。
インタビューでは先発の金子と先制タイムリーにホームランも打ったレオンが行っている。
甲子園で既に3本だもんなぁ。
大浦も2本打ってるんだけど、レオンほど騒がれていない。身長のせいだろうか。
この試合ではあんまり活躍出来てないしね。
「ここから試合間隔も短くなってくるな。次の試合の先発は誰かね」
次は準決勝。
出来れば決勝のマウンドで投げたいなぁなんて思ってるんだけど無理かな?
この試合投げてないの俺だし、次は先発かも。
早めに降りたりしたらワンチャン?
でもマウンドは譲りたくないしなぁ。
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