GOD SLAYER’S

猫乃麗雅

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― 第三章・南陸行路 ―

第72話 黒龍との・・・・。

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ハーピーの迫りくる両足を、紫蓮しれんがバックステップで躱す。

敵のウィッチ魔女が四つん這いになって、その場から〝あわわわわ〟と離れていく。

体勢を立て直すべく上昇しようとするハーピーに、来夢らいむが口から“毒霧”を吐いた。

まともに吸ってしまった相手が地面に落ちて、もがき苦しむ。

「なんだテメぇらはッ?!」

シーフ盗賊が起き上がるも、何かしらの気配に〝ハッ!〟として振り向く。

二本の後ろ足で立っていた黒龍が、右の前足を勢いよく下ろし、その鋭い爪で、

ズシャッ!!

と、盗賊の背中に傷を負わせた。

「ぐはッ!」

うつ伏せでシーフが倒れるなか、黒い龍が前の両足を着地させる。

その顔面に、アメーバ状で水色のスライムが〝ブワッ!〟と広がりながら襲い掛かった。

龍を窒息させるべく。

だが、〝あんぐり〟と口を開いた黒龍が、スライムのコアを、

ガシィンッ!!

と噛み砕いた事によって、敵が実態を失ったのである。

一方、横倒れで痙攣しているハーピーの首を、紫蓮が刀で刺した。

こっちは、全身が消失して、黒色に白色が入り混じった直径10㎝で楕円形の[魔鉱石]が現れたのである。

そのハーピーのあるじであろう【クレリック】が、

「このッ!」

仇を討つべく直径50㎝の魔法陣を構築していくも、いつの間にか胡坐あぐら座りしていた戦士が、

「参った!」
「降参だ!!」

と、告げたことにより、戦闘が終了したのであった。

リーダー格である彼は、自分たちでは勝てないと悟ったのだろう…。


賊どもが足早で去っていくなか、

「大丈夫ですか?」

権蔵ごんぞうが黒い龍に声を掛ける。

龍が〝じっ〟と紫蓮を見て、

「すまんが、回復できる魔法なり道具なりを取得しておらぬか?」

と質問してきた。

「喋れるのか?」

やや驚く紫蓮に、

「龍族は知能が高いからのぉう。」

答えた黒龍が、

「それよりも、治癒は?」

との確認をしてきたので、

「ポーションは有るが…、“サーヴァント契約”しないと回復できねぇぞ。」

紫蓮が教えた。

「何?!」

黒い龍が訝しがったので、紫蓮が[亜空間]から出した“ポーション”を渡して、

「使ってみろ。」

と、促す。

龍が、左手に握った瓶の蓋を、右手で開けてみたところ、これらが粒子になって〝サラサラァ~ッ〟と風に吹かれてしまったのである。

「なんと…。」

呆然とする黒龍に、

「“回復”や“補助”のアイテムと魔法は、サーヴァントになるか、或いは、人間や獣人などであればパーティーを組まないと、効力を発揮しない、という仕組みらしい。」

紫蓮が説明した。

彼が[ヒーゴンの総帥]の“近衛兵”だった頃には、そのメンバーと同じパーティーに属していたものの、旅立つ際に脱退したようだ。

少し悩んだ黒い龍が、

「仕方なし!」

意を決して、頭上に[契約の書]を出現させた。

それに目を通してみたら、

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

【種族】:龍族

【名称】:黒龍

【ネーム】:新羅(しんら)

【性別】:オス

【レア度】:★★★★★+a
※超激レア

【タイプ】:進化系

【スキル】:黒炎/黒雷/黒竜巻/地撃

【装備可能武器】:????

【装備可能防具】:????

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

と記載されていたのである。

「お前…、既に名前を持っているのか?」
「しかも、“超激レア”って。」

目を丸くする紫蓮に、

「何度も言うが、龍族・・じゃからのぉ。」

黒龍こと“新羅”が述べた。

「そんな事よりも…、早く、我と契約せよ。」
「いささか血を流し過ぎて、軽く目眩がしてきおったわッ。」

急かす新羅に、

「本当にいいのか?」

紫蓮が念押しする。

「背に腹は代えられぬ故、構わん。」

新羅が首を縦に振ったので、契約を成立させた紫蓮が、改めて[ポーション]を与えたところ、今度は全て飲み干せて、傷が治っていくのだった―。
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