GOD SLAYER’S

猫乃麗雅

文字の大きさ
上 下
97 / 267
― 第三章・南陸行路 ―

第97話 五人目の。

しおりを挟む
「さて……。」
「パ―ニ―からの書状によれば、イーガーの現国主を襲った賊どもを探し出すのと、神を討つに至る修行のために、旅しておると…。」
「ふぅ~む。」
「…………。」
「タリアノよ、この者たちと共に冒険してみるか?」

そう訊ねた祖父に、

「よろしいですのか?!」

孫が返す。

「お前の望みでもあろう。」
「行ってくるがよい。」
「ただし!」
「死なずに帰って来るのじゃぞ。」

[大魔導師]の言葉に、

「はい。」
「肝に銘じます。」

タリアノが頭を下げた。


紫蓮しれんたちは、一階のエントランスで待っている。

そこに、

「すみません。」
「祖父から紹介状などを受け取ったり、伯父の家族に挨拶していたので、少し遅くなってしまいました。」

タリアノが合流してきた。

彼に続いてきたサーヴァントは、オスのリザードマン/オスのマンティコア/メスで二足歩行のジャガー/メスのホルスタウロス/ウッドゴーレム(樹木人形)である。

「手紙??」

ペイニーの質問に、

「ええ。」
「〝もし、西の大陸に渡ることがあれば、ビィーゼェーン国に赴くと良い〟〝かつての仲間が暮らしておるから〟と、祖父が申していました。」

タリアノが答える流れで、

「ところで……、これから、どちらに?」

と、伺った。

紫蓮が、代表して、経緯を説明していき、

「成程…、分かりました。」

大魔導師の孫が理解を示す。

「それでは、彼を、“ゴッド・スレイヤーズ”に迎え入れようではないか!!」
「な、紫蓮!」

促す撫子なでしこに、紫蓮が頷く。

「ん?」
「皆さんのパーティーめいということでしょうか??」

タリアノが質問してみたところ、

「ええ、そうですよ。」

涼音すずねが答えたのである。

「では、よろしくお願いします。」

会釈するタリアノを、リーダーの紫蓮が[GOD SLAYER‘S]に加入させた。

撫子・涼音・ペイニーと女性ばかりが増えていき、人知れず肩身の狭い思いをしていた紫蓮にとっては、男性が仲間になってくれるのは嬉しい出来事だったようだ。

これは、彼だけの秘密だが……。


一同は、南西を目指している。

“赤いミノタウロス”が向かったという[ナーガァートゥ国]が目的地である。

そのためには、[イッワーミ国]を経由しなければならない。

道中、メンバーは、タリアノに関する話しを聞いてみた。

彼は、現在、17歳で、初冬には誕生日が巡ってくるのだそうだ。

つまり、紫蓮の二つ年上である。

そんなタリアノは、およそ10年前に、父親を亡くしている。

彼が生まれ育った[ヒーゼェン国]と[南陸なんりく第九神国しんこく]との戦で、命を落としたとの事だ。

約一年後には、母親が病で他界したらしい。

いずれにしろ、彼にとっても“神”はいむべきものであり、打倒したい存在である。

ちなみに、タリアノの父は次男なのだそうだ。

彼の伯父にあたる長男と、奥さんや、その子どもたち兄妹は、健在である。

タリアノは一人っ子らしい。

なにはともあれ、[GOD SLAYER‘S]に、【魔術士】が加わったのだった―。
しおりを挟む

処理中です...