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1巻オマケ
思い出し
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アレイがぼんやり自分の手を見ながら、酒を飲んでいる。
ジグが隣で何か話しかけても、「うん、そう」と上の空だ。
「手に何かついてんのか?」
とジグに問いかけられても、
「いや、何も」
しか答えられない。
ジグは呆れたようにため息を吐くと、
「俺は帰るぞ」
と言って、珍しく先に席を立った。
アレイを独りにしてくれるのだろう。
こういう間合いの良さは、本当、長年の付き合いだな、とアレイは感謝する。
「うん、またね」
「おう」
そのままジグを見送って、それからまた手を見てしまう。
こみあげてくるのは、ほのかに口元を緩ませる何か。
一人で笑うのはまずいだろうと、必死に酒を流し込むが、その味も分からない。
分かるのは、思った以上に小さかった手の感触と、暖かさ。
あの子の手は、とても可愛い。
それだけで酒が何杯でもいけそうだ、とアレイは思いながら、零れそうになる笑みを酒と共に流し込んだ。
ジグが隣で何か話しかけても、「うん、そう」と上の空だ。
「手に何かついてんのか?」
とジグに問いかけられても、
「いや、何も」
しか答えられない。
ジグは呆れたようにため息を吐くと、
「俺は帰るぞ」
と言って、珍しく先に席を立った。
アレイを独りにしてくれるのだろう。
こういう間合いの良さは、本当、長年の付き合いだな、とアレイは感謝する。
「うん、またね」
「おう」
そのままジグを見送って、それからまた手を見てしまう。
こみあげてくるのは、ほのかに口元を緩ませる何か。
一人で笑うのはまずいだろうと、必死に酒を流し込むが、その味も分からない。
分かるのは、思った以上に小さかった手の感触と、暖かさ。
あの子の手は、とても可愛い。
それだけで酒が何杯でもいけそうだ、とアレイは思いながら、零れそうになる笑みを酒と共に流し込んだ。
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