勇者の血を継ぐ者

エコマスク

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【58.5話】 リリアとローゼン ※第三試合後の話し※

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触手ほぼ全裸事件で王宮に出頭したリリアは勇者管理室長に長々、イジイジ、ジメジメ、たっぷり、こってり絞られた後、ローゼンの執務室に呼ばれた。

こじんまりとした部屋だが、女性らしい感じがする。
部屋の中にはリリア、ローゼンとその従者。
リリアは鎧姿のローゼンしかしらないが、執務室のローゼンは活動的だが女性らしい執務服を着ていた。小柄で短い金髪がお似合い、エメラルドのクリっとした瞳が美しい。
背が高く、切れ長目でポニーテールのリリアとは対照的。まぁ、リリアも整った顔立ちで美人のうちには入るだろう。

リリアが部屋に入り椅子をすすめられる。
「リリア殿、よく来てくれた。何だか… 色々苦労があるようすで、勇者というのも大変なのであろう」
ローゼンは労うと自らコーヒーを入れてくれた。なんて良い人。
「よく来てくれた?あたしローゼン少佐に呼ばれましたよ」リリアが笑って答える。冗談を言える人。
「あっはっは、そうであるな。管理室室長殿はお話が… 好きであるからな。まずはコーヒーでも飲まれて、ゆっくりされよ」カップにはコーヒーが注がれ香立っている。
「美味しいコーヒーご馳走様です。出来れば、貴族が食べるクッキーでも添えていただきたい」遠慮ないリリア。

しばらくローゼンと雑談、コーヒーと貴族が食べるクッキーを楽しむリリア。どうやら貴族とはボソボソしていないクッキーを食べているらしい…
ローゼンは30歳。21歳の時親の都合で婚約寸前の相手がいたが、結局は破談。その後27歳の時に恋愛で婚約寸前の相手が出来たが、殉職してしまって以来現在に至っているそうだ。美人なので士官の間でも人気が高いがローゼン自身は今のところ恋愛より、執務半分、部下を連れて外回り半分の仕事が気に入っている様子。
戦争に出陣する事も割り切って考えているようだ。

話しの本題は派兵の際にはリリアにスナイパーとしてローゼンの部隊に入隊して欲しいとの事。前から話は合った。
リリアはランカシムで手柄を立てているので、戦局によっては呼び出される可能性はあると言う。
下士官の学校を推薦で出て、スナイパー訓練を1ヶ月程度受ければ軍の狙撃手として採用可能。一兵士として参加するより待遇が良く、危険もぐっと少ない。
「ローゼン少佐、あたし人や亜人を射るのは苦手なの。ほら勇者って国民とその財産を守るのが仕事じゃないですか。人の命とお金を奪いに襲って来る連中はともかく、戦争って仕事みたいな感じでしょ?自分を襲っても来ない相手を、顔を見ながらジッと狙いをつけるのって抵抗あるんですよねぇ」リリアの弁。
「前々から言っておるな。しかし軍人とは戦場にて命のやり取りをするのが職務であろう、致し方ないと思わないか?それに人を射るだけの仕事とも言い切れないぞ。我の身辺警護、手の届かない場所に矢文を狙う、経験を生かして任務先の安全を確保する等、人を射抜くだけが仕事とは限らない。高所から見張り、連絡係りをしたり、魔物等を専門に排除してもよい。正規の狙撃手が一人いるが次席として帯同するのはどうか。我が隊は後方支援と特任がほとんどである。リリア殿には向いているはず」ローゼンが説得する。
「… 想像以上に色んな務めがあるんですね。いいわ、わかりました。戦場に出る時はローゼン少佐の隊に入隊します。あたし弓をいただいたご恩もあるし」
リリアが承諾するとローゼンは目を細めて笑った。とても可愛らしい笑み。
どうやらスナイパーの様な特にスキルを必要とする戦力はローゼンの様な小さな部隊にはなかなか配属されないらしい。リリアも同じことなら自分のスキルを活かせる任務を希望。


話しは決まり、その後雑談が続く。
「ところでリリア殿は兵士達と寝ておったのか?」ローゼンが聞く。
「え! あ、いやぁ… はい、たまにですよ。それにあれ、結構皆やってますよ」リリアは照れ笑い。
「…いや、兵士は皆息抜きしておるから構わないのだが… ウチの部隊の者とは禁止だぞ、風紀の乱れの元だからな」
「はぁい」リリアは照れ笑い。
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