勇者の血を継ぐ者

エコマスク

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【93話】 銀のダガーP

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リリア達は目的を達成し、ルーダリアに帰国する準備。

リベンジマッチを見学した後、帝都に戻ったリリア達は王に少し拝謁を許された。
マンティコアの一軒んで金一封と全員に紋章の入ったメダルを貰う。名誉市民の証らしい。
しかし王の”ルーダリアの勇者リリアと愉快な仲間達”扱いにペコがどうしても納得いかない模様。
末っ子勇者オルデガにお城の滞在を進められたが、辞退して街の宿屋から数日周遊した。城は堅苦しい、街は遠い、それに愉快な仲間達扱いをペコが絶対受け入れない。


リリア達はレストラン店内の一画でミーティング中。ここは内陸部、外は結構寒いのだ。
「帰りのルートはなるべくボッドフォート領を通らないこのルートで決まりね」
地図をテーブルに広げてオフェリアが確認する。
内乱を避けて治安の良い地域から帰る予定だが、フリート領も魔物の量は少ないが出てくる魔物は強力。まぁ、悩んでも仕方ないので安全と思われる選択をするしかない。

「私達コトロからリリアを生かして連れて帰るように頼まれているのよ。あなた、引き続き男遊びと勝手にクエスト引き受けるの禁止だからね」ペコが注意する。
「わかってるよ…何よ子供扱いみたなの…」リリアは不満そう。
ペコが続ける。
「それから… リリア、今回だいぶお金使ってるでしょ。今回の旅行でいくら使ってるの?… そんなに!!まぁ…この人数で…それくらいなるか… で、いくらリアルゴールドの口座に残ってるの?… そんなに!!……… 勇者なんかしてないで貴族とでも結婚するか、村に帰りなさいよ… とにかく…アリスと相談したのよ。私達も仕事しないでここまで来てるし、コトロの頼み事でもあるし、今日までの給料を払ってよ。で、今日から帰りまではアリスと私、もう給料要らない。全部頭割りでいいから。その代わり稼ぎが出た分はもらうようにするから。リリアも負担が減るでしょ、それで良いわね」
リリアがコクコク頷く。

ミーティングは終了、個別の買い物タイムと夕食時間に宿屋の前に集合となった。


が、リリアは皆に付き添いを頼んで武器・防具屋にやって来た。
勇者の都には質の良い魔法アイテムが揃っている。リリアは狙っていたらしい。
「魔法アイテムなんて良く分からないからペコとアリスも付き合ってよ」と店のスタッフにあれこれ質問している。
「ね、これってちゃんと符呪されてる?どれくらいの強度?騙し無し?」
「符呪されてるわよ、強度まで正確に測れないよ、公称程度はあると思うわよ。気持ちはわかるけど言い方失礼よ、リリア。ここリアルゴールド系列でしょ、大きなギルドの店は大丈夫だって」
心配するリリアを諭すペコとアリス。

リリアを悩ますのは以下のアイテム
※Pはプロテクション符呪済みの略※

銀のダガー 980G
バンパイア系に有効・プラス効果 アンデット系にプラス効果
銀のダガーP2980G
上の性能プラス、刃こぼれ無し、リターン・トゥ・ハンドで手に戻る
銀の片手剣1980G
バンパイア系に有効・プラス効果 アンデット系にプラス効果
銀の片手剣P4480G
上の性能プラス、刃こぼれ無し、リターン・トゥ・ハンドで手に戻る
ローゼンの弓にRH1000G
RHはリターン・トゥ・ハンド Pでは弦の調整が効かなくなる
形見のペンダントにP 600G
大切なペンダントに完全プロテクション
※空似のマスク8980G
符呪ハイド・アイデンティティによりマスクをかけると誰か見抜かれなくなる

「予算はいくらなの?こういうのは予算決めないと」オフェリアがアドバイスする。
「金持ちなんだから全部買ったら?」ペコは適当。まぁ、それもありか…
「さすがに全部は贅沢だよ。予算?5000Gくらいかなぁ?」リリア。
「用途は何?ダガーにプロテクションいるの?」アリスが聞く。
「ダガーは近距離で投げるんだよね、でも大抵どっか行っちゃうから、無くさなくなったら良いかな?っと」
「ダガーって普通は30Gから70G程度でしょ?30Gとして33本分よ。消耗品でよくない?」
「一人で仕事しるとバンパイア系統に無策なんだよね。護身に銀の武器が必要。投げると月に3本くらい無くす。一年で元とるよ。それから無くさないならナイフ兼用で持ち物減らせる」
「なるほどね…」
「銀のショートソードPにして剣を投げたら?」オフェリアが言う。
「ダメダメ、私リリアのダガー投げ見たけど、ノーコンよ。剣なんて到底無理よ」ペコが笑う。
「弓って無くす?まぁ、一番大切だからねぇ。万が一に備えるならこれ決定じゃない」アリス。
「話を聞く限り、ペンダントも決定っぽいよね。弓とペンダントの符呪決定だね」オフェリア。
「リリアモデルの両手剣あるんだからあれに符呪したら?」ペコ。
「あれね… すでに符呪になっていて、一度解呪しないと別のつけれらないんだ。あの変な符呪のせいで… 下手にやると刃が砕けるらしいよ」リリアが答える。

考えてみれば、剣に関しては立派なのを持っている。追加効果は無いが、リリアモデルその物は高級品だ…
「決めた!ペンダント、弓に符呪の銀のダガーP二本よ!」リリア!きっぱり!
「ゲ!全部で7560G!豪快!!」
「契約の腕輪持っているから1割引いて… いくら?」
「それでも6804G!」ペコ。
「まぁ、これからずっと命に係わる一生使う道具だからね…」納得はするが一同はため息。

「ねぇ、空似のマスクを候補に挙げたのは何だったの?」オフェリアが聞く。
「あぁ… ほら、勇者リリアだ、やれ全裸事件だってうるさいじゃない、あれつけてバレないようにと思ったけど高すぎて辞めよ」リリア。
「何か、犯罪でもするのかと思った」アリス
「何が勇者リリアとバレないように、よ。空気勇者じゃない」ペコが笑う。


リリアの買い物終了!後は明日からの必需品とお土産のみ!
明日からはリーダリアへの帰路の旅。

銀のダガーPの一本はリリアからオフェリアに進呈されました。
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