勇者の血を継ぐ者

エコマスク

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【160話】 リリアの現状

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リリアは調子を崩していいた。
リリアは指輪を受け取った次の日「パウロ・コートの街に行こう」と言い出した。
ピュアリティの指輪は恐らくドラキュラ伯爵がリリアに感謝と自分は大丈夫だから心配ご無用といった密かなメッセージの送り物であろう。
「あたし、会いに行く」リリアは言い出したが「今はやめておけ、伯爵家だって今はそっとして欲しいはずだ」とブラックとダカットが説得した。
「…… わかったよ」とリリアは素直に聞き入れた。
聞き分けよく落ち着いているようだが「リリアは決めたの、やると言ったらやる!」と強引に推し進めないのは逆にリリアらしくもない。

「ギルドに戻らないのでしたら連絡が取れる様に常に行先を知らせてください。ルーダリアの城下町でも国の官舎に住むことも可能です。公認勇者ですから住宅手当が出ます。衛兵にクロスチョップですか?… 国の判断としてはドラキュラ伯爵の討伐は不成立と考えており… (長い説明を省略) ですからクエスト成功時には今までリリアを散々つまみ出して来た衛兵達を横並びにしてクロスチョップを叩き込むと言う成功報酬は… ゴフ!!!」
リリアを前に淡々と説明するディルをこれまた冷めた目で見ていたリリア、おもむろにすげぇ痛そうなクロスチョップをディルにぶちかますと「さ、いこ!」とスタスタとリリアはディルの前から立ち去った。

で、すぐさま「パウロ・コートの街に行こうよ」と言い出して、ルーダリア城下街を出た。
「なぁリリア、パウロの道と違うはずだぞ?」ダカットが注意する。
リリア達は徒歩で移動中。
「いいの、パウロの方面に移動中だからいいの」とぶっきらぼうに答えながら草原を移動する。
実際リリアもあまり目的意識は持ってないのだろう。
恐らくルーダリア城の近くに居たくないし、ルーダの風にも戻りたくないのでフラフラと出てきた感じだ。
「先輩、ルーダ港の街で美味しいシーフードパエリア食べて気分転換したいっすねぇ」
飯の話し=リリアの機嫌が上向く説を信仰しているブラックが飯の話題をする。
「…… いちようダカットの故郷の方向としてパウロ目指してるののもあるんだよ」と振り向きもせずスタスタと歩いている。

で、リリアは道端に座り込んで泣き出してしまった。ブシブシと泣いている。
道でデビルアントラー、ビッグジョーズに襲われている旅人を救援したが、弓が全く当たらなくなってしまっていたのだ。
慌てて野原で調整射撃を試みたが完全に精度を欠いている。
リリアは黙々と標的に向かって弓を引くが焦っているのが無言の背中から伝わってくる。
「…… なぁ、そん時もあるさ。今日は最寄りの村で気分転換しようぜ…」ダカットが言う。
「先輩、今日は自分が鶏料理をお腹いっぱいご馳走するっす」ブラックも言う。
「…… うるさいよ」
リリアは練習し続け、とうとう矢を使い切ってしまった。
そのまま黙って再び道に出た所で座り込んで泣き出した。

「…………」
ブラックとダカットは顔を見合わせる。

結局この日は通りかかった農家の馬車に乗せてもらって村まで届けてもらったリリア達。
リリアは宿で解散を告げると部屋に入ってしまった…
「…… とりあえず、今日はゆっくりしてもらうしかないっすね… 夕食の時に声をかけるっす」
「戦闘能力と言うより、リリアの歳からすると勇者は荷が重すぎるよ…」
ブラックとダカットは話し合う。
「ダカット兄貴、先輩と一緒にいて励ますっすか?」ブラックが聞く。
「… いや、俺無理だ… 気まずいよ…」ダカットが答える。


リリアの持ち物リスト ※P印はプロテクション符術により紛失不可能

装備
・織物のシャツ
・レザーのコルセット
・革のロンググローブ
・レザーのスカート
・革のロングブーツ
・ベルトポーチ

武器
・ローゼンからもらった弓Pと矢
・リリアモデルの剣
・銀のダガーP(名称:ダックン)

アイテム
・ペンダントP(母メルディアの形見)
・クレジットの腕輪P(リアルゴールド系列店で現金の預け引き出しに使用)
・パウリスのブレスレット
・ピュアリティのサークレット(国の公金でちゃっかり購入)
・アスタルテの指輪(精神プロテクト効果)伯爵からの贈り物
・所持金:平均200G前後
・お手製薬草(効果抜群) ・体力・気力のポーション数本 ・毒消しポーション1本
・幻想薬2本
・期限切れが近い何らかのスクロール

※移動手段に余裕がある時はリリアモデルのアーマーも持ち運び
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