勇者の血を継ぐ者

エコマスク

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【163.5話】 サキュバス属性のリリアリリス ※少し前の話し※

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リリアは久々一人きりでルーダ港の街に遊びに来た。
ルーダリア王国南方で退治仕事をするために出発したローズ達と道中は一緒だったがダカットをギルドに預けて完全に一人きりの旅行。


「ダカットを数日バーで預かってくれ?まぁ、良いですけど… たまには完全に一人で行動も良いです。気ままに行ってきてください」
リリアがホウキを預かってくれるように頼むとコトロも快諾。
「コトロ、リリアを止めてくれよ。男遊びしに行く気なんだぜ!俺、わかってるんだ!注意してくれよ!」ダカットが不満そうな声を上げる。
「ダカット、余計なお世話よ。あたしだって一人フラフラしたい時があるの。男遊びだなんて失礼ね、リリアはいつでもド真剣なんだから!」リリアが口を尖らせる。
「ダカット、それは確かです。リリアだって完全に一人で出歩きたい時はあるでしょう。それにギルドの規律違反でもしない限りはプライベートで何をしてもこちらから止める理由はありません」コトロは冷静。
「なんだよ、リリアはどうせ夜の街に行きたいんだろ」ダカットはブツブツ言っていた。


「何だかホウキを持っていないと違和感あるわね」
ここの所ほとんどダカットを持ち歩くか背負って歩いていたので何か物足りない感が無くもないが、気分転換かねてすっきりノンビリ完全一人旅。
たまたま一緒になったローザ達と馬車を共有してルーダ港までやってきてリリアは一人宿を取った。

「さて… 何だかドキドキするわねぇ」リリアは夜を待って歓楽街、娼館街に出向く。

リリアは試してみたい事があったのだ。
どうやらアスタルテの指輪にはサキュバス効果が付いているようだ。ベッドを共にするなど濃厚な行為をすればするほど相手を魅了できるらしい。より相手を強く引き付けるリリス効果、行為後相手を魅了できるサキュバス効果を試してみたい。リリアの関心。
「やめておけよ」ダカットはリリアを止めたがっていたがリリアは止まらなかった。
因みにリリアが所属しているルーダ・コートの街にも娼館はあるのだ。
が、さすがに自由でお気楽なリリアでも地元はまずいと思ったのだろう、理由をつけてルーダ港まで旅行に来た。

娼館街を歩くと娼夫がリリアに声をかける。
「いつもより声がかかるわねぇ…ちょっと色気も上がっているのかな?まぁ、リリアちゃんはスタイル抜群だもんねぇ」
リリアはちょっと内心気をよくしているようだが、娼館街のビジネスとしてこんなもんだろう…
普段は断るのも面倒とばかりに早足で歩き去るところだが、今日はわざわざ引っかかりに来ているのだ、適当な相手を見つけると値段交渉してリリアは娼館に入っていった…


一回目の実験
リリアは上気した顔でベッドに転がっている。もちろんお相手も一緒だ。さっきまでドッテンバッタン大騒ぎしていた。
「さ、さすがプロね… リリアちゃんもがんばったけど… いい勝負だったゎ…」リリアは汗ばみながら呟く。
「君すごかったねぇ!最近のお客の中では一番だったかな?」娼夫が笑う。
「… それよりも… さぁ、あなたは今からこのリリアの言うこと何でも聞くのよ!まずは… そこの水とってちょうだい」
リリアが命令するとベッドの傍のグラスを取ってくれた。
“魅了に成功している?いや、この程度なら誰でもするか”リリアは水を飲みながら考える。

「… よし… ねぇ… えっと… さぁ、今からあたしの言う事を全部実行しなさい」リリアは厳かに言ってみた。
「えぇ?女王様とか何とかプレー? まだ元気なの?」
普通にキョトンとして言い返された。
「うーん… 変ねぇ… 効いてないのかしら?」リリアは呟く。

「…もうちょっとガンガン行こうぜモードにするべきかしら… もう一回、もう一回がんばるから。Hしましょう」
身を起こし相手の顔を覗き込んで懇願するリリア。目から決意が溢れている。プロでもなければ男性だってちょっと引くくらい気合が入っている。
「えぇ? まぁ、追加料金になるけど… 君すごいねぇ、よほどHP有り余ってるんだね」男は驚いている。
リリアは再び男性の上に…


で…
「ど、どう… これくらい… 大サービスしたんだから… 少しは…」
リリアはヘロヘロになってベッドに転がっている。
どっちが料金払っているのかてんで見当がつかなくなるくらいの大サービス。ゼィゼィと息を切らせている。
「リリア様ぁ…」
男がリリアを見る目つきが少し異様だ。熱に浮かれたような表情をしているぞ…
サキュバス効果か?

「お!… えっと… そこの水を取って」リリアが命令をする。
いざとなると案外何を命令した物か迷うのだ。
「はい、リリア様…」
水を取ってもらえた。
「えー… じゃぁ… 」
リリアは考える、説明によるとあまり強い効果ではないらしい。魅了の強さにもよるのだが、基本的にあまりにも強烈に生存本能に反していたり、本人の損得感情に反するような命令は理性が戻ってしまう。
例えば「あいつを殴ってこい」は命令できても「〇〇を殺してこい」等はよっぽど上級の効果を持たないと不可能。「10Gよこせ」はセーフでも「1000G持ってこい」は無理だったりする。

「えー… じゃぁ… コロッケパン買ってきて」
「はい、リリア様」
コロッケパンをゲット
「… 今度はマッサージして」
「はい、リリア様」
命令を実行してくれた、が… 命令がしょぼい… パシリ程度か!…
「リリア様ぁ…」
「え!あ… ちょっと… いや、それはもういいの… したいなら自分でして」
「はい、リリア様」
小さな命令は聞いてくれるようだが、リリアに魅了されているのでリリアを愛して止まない。ことあるごとに愛そうとする。命令通り自分でしだした。
「ゎ… えっと… もうそれもいい… 料金ただにして」
「はぁ?何でただ働きしなきゃならないんだ!やり逃げだったらとっ捕まえて料金分ここで働いてもらいますよ!」
命令が金銭に及んだら突然正気に戻って怒られた。
「…あ、いや、お支払いしますごめんなさい… ……時間の経過もあるのかな?…」
リリアは支払いを済ますと娼館を後にした。


リリアは数日かけて二回目、三回目… と試験を実施してみた。
「メッチャがんばったけど… 努力の量と効果が見合わない気が… いまいちだよね…」
試験運用を実施してみてリリアは呟く。

指輪は補助ですからね?元のリリアに魔力もスキルもないなら効果もたかが知れています。

「男性でも女性でも効果の強さは変わんないかな?… 男性の方がちょっと強く効果がかかっているかな?… でも同時に複数相手にしても同じ程度の効果がかかるのねぇ… でも体力の消耗がすごいよねぇ…」
かなり各方面で実験しているようだ。

「効果も長くないし、本当にちょっとした雑用をしてもらえる程度だね…」
結論としては効果があるものの効果が弱くて使い道が思いつかない。強いて言えば色気で誤魔化して効果がある間に逃走する程度だろうか。
リリアは適当に切り上げてルーダ・コートに帰ギルドした。


「何?ダカットは不機嫌ね、やきもち?男のやきもちはみっともないよ」リリアは笑いながらダカットに言う。
リリアがバーに戻るとダカットはやたらと不機嫌。
「… リリアは何かあったんですか?戻ってきてからやたら色っぽく見えますね。変わった様子もないようですが…」コトロが言う。
「確かになんか違うニャン。艶っぽくなったニャン」
「指摘できないけど… 何かがエロいピョン、不思議ピョン」
リリアがバーのカウンターに座っていたら皆に言われた。
「そうかな?えっへっへ」リリアが笑う。

バー・ルーダの風ではリリアの人気が少し上がり売り上げも少し上がった。
「ちょっと!人のお尻触んないでよね!何度言ったらわかるの!」
リリアはお客に水をぶっかけたり相変わらず自由人のようだ。
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