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【198.5話】 森の中の事故
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「これで大丈夫ね。さぁ、リリアを追いかけましょう」
アリスはペコを治癒すると馬に怪我がないか確認している。
「ありがとう、アリス。リリアに追いつかないとね。アリスは大丈夫だった?」ペコが気を使う。
「とっさにプロテクトをしたわ。少し怪我したけどまともに地面に激突しなかったから…」アリス。
「そっか… よし、リリアを追いかけよう」
ペコとアリスは馬に怪我の無い事を確かめ再び騎乗した。
「すっかりやる気無くしたみたいだね、走ってくれない」
ペコとアリスはリリア達が走り去った道を追いかける。馬も疲労と転倒したショックですっかりやる気を無くしている。かなりゆっくりとしたペースで森の中を進む。
一本道だから迷う事は無いだろうがもしリリア達が全力で走り続けていたら追いつけるはずがない。
「リリア?こちらペコ」
何度か繰り返し通信してみるが反応が無い。
しばらく道なりに馬を進ませながら通信してみる。
「ペコ?ペコとアリスね!無事だった?リリアだよ!」
やっとリリアから返事が戻ってきた。もうそう遠くない場所にいるようだ。
「こちらペコ。落馬したけど追いかけてきた。アリスも無事。リリアはどこなの?デュラハンは?」ペコが返事する。
「デュラハンは逃げたよ。追いかけてきたなら一本道だからそのまま進んで。そしたらリリアが道に馬を繋いでいるから… それで馬車の部品が散乱している場所があると思う。そこから湖を覗くと斜面になっていて、そこにリリアはいるよ」リリアが応える。
「怪我はないんだね?元気ないけど大丈夫?もう近くまで来ているはず。状況を説明してよ」ペコ。
「逃げていた馬車が車体ごと湖に落ちてね… デュラハンは立ち去ったよ。救助活動中だけど… 一刻を争う状況じゃないよ…」リリアが力なく言う。
アリスは無言で馬に鞭を入れた。
「わかった… 無理しないで私達を待ってもいいよ。もう近いはず、今行くから」
ペコも通信を終えてアリスの後を追った。
「リリア!」
ペコとアリスが到着すると道端にびしょ濡れで座り込んでいるリリアを見つけた。
「あたし追いかけたんだけど… だんだん離されてね… ここまで追って来た時には馬車ごと落水した後で… 多分事故だよ。デュラハンの馬車がいたけど…救助に向かう間にデュラハンは逃げていった。木に人が引っかかっていて… まだ生きていたからポーションを飲ませてあげたかったけど… 完全にあばらとかいっちゃってて、動かせない状態だったしあのままポーションを飲ませても地獄だったろうし… で、その人にはお別れを告げて… それで、馬車の中の人を助けにいったけど、底が腐葉土の泥になっていて馬車は横転してハマっているし… 何とかドアを開けて全員助け出したけど… 手遅れだったよ…」
リリアの傍には合計6名の遺体がある。4人家族だろう、子供を含めた4名と護衛が真っ白になって横たわり、歪んだ遺体が1人横たわっている。
アリスがリリアの言葉を聞きながら素早く全員を確認した。
ペコをちらっと見て頭を横に振っている。
「…そっか リリアよくがんばったよ。全員天命だよ。無理にデュラハンと戦わなかったのも賢明だったよ。気にしちゃだめだよ。デュラハンを退治しなきゃいけないからね、気をしっかり持って…」
ペコが声をかけるがリリアはうつむいて泣いている様だった、無理もない。
「こんな場所に…デュラハン見物にでも来た家族かしら… とにかくご遺体を最寄りの教会に連れて行かないと… 馬車も引き上げなければ…ね…」アリス。
「あたし、ここに残るから二人で集落からギルメン呼んできて」リリアがポツリと言う。
「馬なら往復でそんなにかからいないじゃん。私が行くからリリアとアリスが残ってよ」ペコ。
湖はガラスの様に澄み、水底で馬車が泥にハマっているのが良く見える。皆あえて馬の方は見ないように努めながら話す。
気がつけば昼になり霧もほぼ晴れてきている。
「クレアレ、デル、エル…」
アリスがスクロールを読み上げるとアンデッド・ナイトがクリエイトされ、何か命令を与えている
「今、この遺体を守るように命令を与えたわ。これで熊程度なら余裕で追い払ってくれるでしょう。どちらにしても一人で行動するのは推奨されないし今こうしている間にもデュラハンが集落に現れないとも限らない。三人で集落に戻って報告して後は任せましょう。我々の最優先はダノン家をデュラハンから守ること、専念しましょう」
アリスの言う事はもっともだ。
「わかった、戻ろう。だけど、誰か一人は案内に戻らないとダメでしょ?」リリアが立ち上がる。
「大丈夫よ、デスティネーションの魔法で道標を残してあるから感知できる者なら迷わずここまで戻れる」アリス。
「集落にいるメンバーなら最低でもゼルスとアマネなら感知できるよ」ペコが言う。
「… そう、リリアには何も見えないけど… ペコは見えるの?」リリアがアリスの周辺を見つめる。
「私は場所打ちできないけど感知魔法は持ってるよ。色々便利だからね。これに比べるとリリアは無能力なのに驚異的な方向感覚を持ってるよね」ペコ。
リリア達はアンデッド・ナイトを残して馬を発進させた。
リリア達がナト村に戻って報告すると集まっていた冒険者達が事故現場に赴き、遺体と馬車を回収した。
リリア達はデュラハン撃退の責任者である。村に残っていた。
「リリア、顔色良くないよ。居残り組と私たちが見張っているから少し休みなよ」
ペコがリリアを気遣う。
「… そうだね、すっごく疲れた。少し何か食べて横になるよ…」リリアは明らかに元気がない。
「… 無理もないなぁ… あの惨状だったからなぁ、少し休めよ」ダカットも心配する。
リリアは言うと用意してあった食事を葡萄酒と一緒に済ませ「あんな思い… ごめんだよ…」と呟きながら馬車の荷台にあがっていった。
「… ねぇアリス、リリアはミートパスタの大盛りおかわりしてたよね…本当にショック受けてるのかな?」ペコが呟く。
「しっかり休んで、しっかり仕事をしてもらわなければなりません」ディル。
「あ… ディルいたんだったね…」
ペコが振り返る
アリスはペコを治癒すると馬に怪我がないか確認している。
「ありがとう、アリス。リリアに追いつかないとね。アリスは大丈夫だった?」ペコが気を使う。
「とっさにプロテクトをしたわ。少し怪我したけどまともに地面に激突しなかったから…」アリス。
「そっか… よし、リリアを追いかけよう」
ペコとアリスは馬に怪我の無い事を確かめ再び騎乗した。
「すっかりやる気無くしたみたいだね、走ってくれない」
ペコとアリスはリリア達が走り去った道を追いかける。馬も疲労と転倒したショックですっかりやる気を無くしている。かなりゆっくりとしたペースで森の中を進む。
一本道だから迷う事は無いだろうがもしリリア達が全力で走り続けていたら追いつけるはずがない。
「リリア?こちらペコ」
何度か繰り返し通信してみるが反応が無い。
しばらく道なりに馬を進ませながら通信してみる。
「ペコ?ペコとアリスね!無事だった?リリアだよ!」
やっとリリアから返事が戻ってきた。もうそう遠くない場所にいるようだ。
「こちらペコ。落馬したけど追いかけてきた。アリスも無事。リリアはどこなの?デュラハンは?」ペコが返事する。
「デュラハンは逃げたよ。追いかけてきたなら一本道だからそのまま進んで。そしたらリリアが道に馬を繋いでいるから… それで馬車の部品が散乱している場所があると思う。そこから湖を覗くと斜面になっていて、そこにリリアはいるよ」リリアが応える。
「怪我はないんだね?元気ないけど大丈夫?もう近くまで来ているはず。状況を説明してよ」ペコ。
「逃げていた馬車が車体ごと湖に落ちてね… デュラハンは立ち去ったよ。救助活動中だけど… 一刻を争う状況じゃないよ…」リリアが力なく言う。
アリスは無言で馬に鞭を入れた。
「わかった… 無理しないで私達を待ってもいいよ。もう近いはず、今行くから」
ペコも通信を終えてアリスの後を追った。
「リリア!」
ペコとアリスが到着すると道端にびしょ濡れで座り込んでいるリリアを見つけた。
「あたし追いかけたんだけど… だんだん離されてね… ここまで追って来た時には馬車ごと落水した後で… 多分事故だよ。デュラハンの馬車がいたけど…救助に向かう間にデュラハンは逃げていった。木に人が引っかかっていて… まだ生きていたからポーションを飲ませてあげたかったけど… 完全にあばらとかいっちゃってて、動かせない状態だったしあのままポーションを飲ませても地獄だったろうし… で、その人にはお別れを告げて… それで、馬車の中の人を助けにいったけど、底が腐葉土の泥になっていて馬車は横転してハマっているし… 何とかドアを開けて全員助け出したけど… 手遅れだったよ…」
リリアの傍には合計6名の遺体がある。4人家族だろう、子供を含めた4名と護衛が真っ白になって横たわり、歪んだ遺体が1人横たわっている。
アリスがリリアの言葉を聞きながら素早く全員を確認した。
ペコをちらっと見て頭を横に振っている。
「…そっか リリアよくがんばったよ。全員天命だよ。無理にデュラハンと戦わなかったのも賢明だったよ。気にしちゃだめだよ。デュラハンを退治しなきゃいけないからね、気をしっかり持って…」
ペコが声をかけるがリリアはうつむいて泣いている様だった、無理もない。
「こんな場所に…デュラハン見物にでも来た家族かしら… とにかくご遺体を最寄りの教会に連れて行かないと… 馬車も引き上げなければ…ね…」アリス。
「あたし、ここに残るから二人で集落からギルメン呼んできて」リリアがポツリと言う。
「馬なら往復でそんなにかからいないじゃん。私が行くからリリアとアリスが残ってよ」ペコ。
湖はガラスの様に澄み、水底で馬車が泥にハマっているのが良く見える。皆あえて馬の方は見ないように努めながら話す。
気がつけば昼になり霧もほぼ晴れてきている。
「クレアレ、デル、エル…」
アリスがスクロールを読み上げるとアンデッド・ナイトがクリエイトされ、何か命令を与えている
「今、この遺体を守るように命令を与えたわ。これで熊程度なら余裕で追い払ってくれるでしょう。どちらにしても一人で行動するのは推奨されないし今こうしている間にもデュラハンが集落に現れないとも限らない。三人で集落に戻って報告して後は任せましょう。我々の最優先はダノン家をデュラハンから守ること、専念しましょう」
アリスの言う事はもっともだ。
「わかった、戻ろう。だけど、誰か一人は案内に戻らないとダメでしょ?」リリアが立ち上がる。
「大丈夫よ、デスティネーションの魔法で道標を残してあるから感知できる者なら迷わずここまで戻れる」アリス。
「集落にいるメンバーなら最低でもゼルスとアマネなら感知できるよ」ペコが言う。
「… そう、リリアには何も見えないけど… ペコは見えるの?」リリアがアリスの周辺を見つめる。
「私は場所打ちできないけど感知魔法は持ってるよ。色々便利だからね。これに比べるとリリアは無能力なのに驚異的な方向感覚を持ってるよね」ペコ。
リリア達はアンデッド・ナイトを残して馬を発進させた。
リリア達がナト村に戻って報告すると集まっていた冒険者達が事故現場に赴き、遺体と馬車を回収した。
リリア達はデュラハン撃退の責任者である。村に残っていた。
「リリア、顔色良くないよ。居残り組と私たちが見張っているから少し休みなよ」
ペコがリリアを気遣う。
「… そうだね、すっごく疲れた。少し何か食べて横になるよ…」リリアは明らかに元気がない。
「… 無理もないなぁ… あの惨状だったからなぁ、少し休めよ」ダカットも心配する。
リリアは言うと用意してあった食事を葡萄酒と一緒に済ませ「あんな思い… ごめんだよ…」と呟きながら馬車の荷台にあがっていった。
「… ねぇアリス、リリアはミートパスタの大盛りおかわりしてたよね…本当にショック受けてるのかな?」ペコが呟く。
「しっかり休んで、しっかり仕事をしてもらわなければなりません」ディル。
「あ… ディルいたんだったね…」
ペコが振り返る
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